Site Overlay

抗がん剤の選択肢について

[管理番号:5514]
性別:女性
年齢:40才
田澤先生、おはようございます。
毎日のようにこのサイトを見て、病気との付き合い方・考え方の整理をしております。
私は左胸外側のしこりに気づき乳腺外科を受診、その一か月後に部分摘出手術を受け、
現在は手術後2週間経過したところです。
主治医より以下の病理検査結果の説明とともに、今後の治療方向として化学療法
(FEC100×4コース→DTX75×4コース)、その後の放射線治療を提案されました。
10日後に確認のための外来受診を予定しています。
田澤先生への質問は4点です。
1.転移を減じるための抗がん剤使用は納得しておりますが、副作用(特に治療後の毛髪)の強さが心配でもあります。
抗がん剤の種類や頻度について他の選択肢があれば、
その理由とともに教えていただきたいです。
2.組織所見で pN0(0/0);♯リンパ節(0/0)とありますが、0/0というのは検体が一つもとれていなかったのでしょうか?そうだとすればリンパ節転移がない、という所見はどこからなのでしょうか。
3.ステージ1、十分早期だとわかっているつもりですが、トリプルネガティブ・グレード3・Ki-67値などから低リスクとも思えず、気持ちの整理がつきません。
5年後・10年後の無再発生存率を知りたいです。
どんな状況になったら「完治」と思えるのでしょう。
私には3人の子供がいます。
自分の父が早く亡くなっていることもあり、自分は子供たちの将来を見守りたい、と強く願っています。
目標をもち、あきらめずに病気を克服できるよう、どうぞお力添えをお願いします。
【臨床所見】
US上左C領域1cm、IDCの診断、
手術 Bp+SLNB
迅速診断ではセンチネル陰性
乳頭側、頭側、尾側断端陰性
【病理組織所見】
腫瘍の最大割面は6×5㎜(pT1b)
異形細胞の充実性増殖を認め一部で管状構造を伴うinvasive ducal
carcinoma,solid- tublar carcinoma.
周囲にリンパ球浸潤を伴い、核グレード3(異形度3、分裂像3)
脂肪組織まで波及(f)、脈管侵襲なし(ly0、v0)
乳管内進展が僅かにあり、断端深部、側方ともに陰性。
リンパ組織は脂肪細胞のみでリンパ節は含まれていない(pN0(0/0);♯リンパ節
(0/0))。
〔pT1b,pN0(センチネル),cM0,pStageⅠ〕
ER:陰性、score0
pgR:陰性、score0
HER2:陰性、score0
Ki-67 index:68.3%
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
pT1b=6mmなのに再発リスクを心配する必要はありません。
私はかなりの症例を診てきましたが、(そもそも再発は皆さんが思うほど多くはありませんが)、その再発する患者さんはやはり「あぁー、再発してしまったか!」と思う一方で、「まぁ、確かに(手術時は)あれだけの腫瘍だったからなぁー」と心の中で納得する自分がいます。
つまり、「えっ? こんなに早期なのに再発するか??」みたいなケースは皆無なのです。
☆NCCNのガイドラインでは「6~10mm」は「化学療法を考慮する」とあるので、抗癌剤をすることに反対はしませんが(強く勧めるわけでもありません)必須ではないのです。
私が(記憶力が万全とはいいませんが)思い出す中で、「腫瘍が1cm以下なのに再発」というケースは思い出せないのです。
「抗がん剤の種類や頻度について他の選択肢があれば、その理由とともに教えていただきたいです。」
⇒TC(ドセタキセルとエンドキサン)を3週間に1回 4サイクル
 理由… 3カ月で終了するから
「2.組織所見で pN0(0/0);♯リンパ節(0/0)とありますが、0/0というのは検体が一つもとれていなかったのでしょうか?そうだとすればリンパ節転移がない、という所見はどこからなのでしょうか。」
⇒きっと、術中に見つけられなかったのでしょう。
 ただ、「6mmの癌」だから「無理してまで(リンパ網を破壊して患肢浮腫のリスクを冒してまで)これ以上、探すには及ばない」という結論なのでしょう。
「5年後・10年後の無再発生存率を知りたいです。」
⇒この大きさのデータは存在しませんが…
 限り無く100%に近いと思います。
「どんな状況になったら「完治」と思えるのでしょう。」
⇒10年が目安ですね。
☆「トリプルネガティブ」だとか「Ki67値」とか「核グレード」など(抗癌剤が
終了したら)忘れてしまいましょう。