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抗がん剤投与(TC療法?)回数について(4回か6回か)

[管理番号:4966]
性別:女性
年齢:41歳
現在、タイ((都市名))在住のものです。
妻の乳がんの件でご相談をお願いします。
【経緯】
5/(上旬): 2年ほど前から左胸にあったしこりが大きく固くなり、強く押した時に乳首から膿のようなものが出たのをきっかけに近所の病院にて乳がん検査を(マンモ、エコー、針生検)を行なった結果、悪性腫瘍の可能性高い(BRICS 4C)とのことでした。
5/(中旬):セカンドオピニオンのため別の大型私立病院(現在かかりつけ)にて上記病院でのマンモ、エコー結果を見せたあと、針生検の再検査を行ないました。
しこりは2つあるようで、それらがつながっているかは定かでありませんでした。
全体では5.5cm程の大きさでした。
2日後に乳がんとの診断結果になりました。
しこりが大きいので全摘手術を受けることにしました。
術中にセンチネルリンパ節生検を行い転移があれば腋窩リンパ節郭清を行うとのことでした。
5/(下旬):左胸全摘手術。
センチネルリンパ節生検が転移なしとのことでリンパ節郭清は行われませんでした。
しこりは結局1つと分かり、大きさは5.5cmでした。
ステージは2Bとのことでした。
6/(上旬):しこりの検査結果から、がん種別はSolid papillary carcinoma(日本ではなんというのでしょうか)、ER(+),PR(+),Her2(-),Ki-67 >20%とのことでした。
サブタイプはルミナルAもしくはBでKi-67が20%以上と高値であることから多分Bとのこでした。
同日、術後治療方針も伝えられ、しこりが大きかったこともあり、抗がん剤治療(4回)の後、放射線療法(25回)とホルモン療法(10年)とのことでした。
抗がん剤はタキソテール+シクロホスファミド(TC療法?)を使うとのことでした。
6/(中旬):1回目の抗がん剤投与開始。
開始前に担当医から「医師会でKi-67値をはっきりさせた方がよいと指摘があり再調査したところ60%以上の高値であることわかりました。
しこりも大きかったので、抗がん剤投与は6回をお勧めします」と言われました。
妻は判断できずとりあえず1回目の投与を受けました。
今日明日はNEUPOGENの注射も受けます。
【医師のレポート】
Pathological Diagnosis
Ⅰ)Lymph nodes,left sentinel excision:No metastasis (8 nodes) Ⅱ)Breast,left,mastectomy:Solid papillary carcinoma with invasion.size 5.5cm
Immunohistochemical study for
ER is positive 4+ (nuclear staining of 90-100% of tumor cells) PR is positive 4+ (nuclear staining of 90-100% of tumor cells)
Her-2 is negative(score 0)
Ki-67 is unfavorable (>60%)
Microscopic Examination
Section of lymph nodes show no metastssis(6 nodes). the remaining fat shows
2 small reactive nodes.
The neoplasm is that of solid papillary carcinoma with invasion and DCIS,cribriform type.
Angiolymphatic invasion is not seen.
Microcalcification is not present.
The superior resected margin is not free of tumor.
The nipple does not have alession.
The remaining breast tissue shows DCIS, cribriform pattern,intermediated nuclear grade.
Gross Examination
1)The specimen is received in fresh,labeled with the patient’s name and labeled with the accession number with additionak kabeking as left sentinel lymph node and consists of 2 soft fibrotfatty tissue,measuring 2.5x2x0.8 cm in aggregation. Six lymph nodes are identified, varying from 0.7 to 1cm in diameter.The entire lymph nodes are submitted as A=1 node/sliede, B=3node/sliede,C=1node/slide,D=1node/slide,E=remaining fatty tissue.
Frozen: negative
2)The specimen is received formalin,labeled with patient’s name with accession number with additional labeling as "left breast" and consists of a left breast without azillary content, measuring 11.5×10.5×3 cm. The skin ellipse is 8×4 cm.
the nipple is everted,measuring 1.5×1.5×1.3 cm There is a biopsy scar at the upper part, meauring 0.5cm in diameter.
Beneath the scar reveals a hemorrhagic area of 2x2x1 cm. the serial section reveals three ill-defined firm greyish white mass with yellow dots at the outer upper quadrant,measuring 5.4×4.3×2.5cm. The tumor locates 0.5cm from the anterior, 3 cm from the inferior, 0.8cm from the skin, 0.1 cm from superior,
0.6 cm from the medial,4Cm from lateral and close to the deep margin. The remaining breast tissue is unremarkable.
【質問】
1.上記の内容で、抗がん剤投与回数が6回というのは妥当でしょうか?
このサイト内でTCを6回行ったことはないとの記述も拝見しましたが、Ki67が高値か
つしこりが大きいということで6回行うことはあるのでしょうか?
4回も6回もあまり予後が変わらないというのであれば4回で済ませたいと思います。
(情報不足の場合は、担当医に確認しますので、質問事項も教えて頂きますと幸いです。)
2.4回のときと6回のときで、投与完了後の体の状態は変わりますか?例えば骨髄などに影響が残る可能性は増えたりしますか?
これは私個人の見解で恐縮ですが、タイの私立病院では患者が日本人である場合軽微な風邪や腹痛でも入院を薦めてくることが多く、病気の回復よりもお金優先?と感じてしまうことがあります。
また、術後治療方針も医師(多分腫瘍内科)によって発言が異なることもあり、ちょっと不信を感じています。
このこともあって投与回数について疑問に思っております。
先生のご見解をお聞かせ頂きたく、何卒よろしくお願い申し上げます。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「1.上記の内容で、抗がん剤投与回数が6回というのは妥当でしょうか?」
⇒TCを6回やる理由がありません。
 通常の4回でいいでしょう。
 ただ、Solid papillary carcinoma(充実乳頭癌)は典型的には(乳頭分泌で見つかる)「大人しいタイプの癌」という認識です。
 その意味で(Ki67の値も含めて)「本当にルミナールBなのか?」疑問があります。
 私であれば「OncotypeDXを勧める」でしょう。
「担当医に確認しますので、質問事項も教えて」
⇒タイのガイドラインでTC6回を勧めるものがあるのかどうか?
 聞いて見てください。
「4回のときと6回のときで、投与完了後の体の状態は変わりますか?例えば骨髄などに影響が残る可能性は増えたりしますか?」
⇒TCを6回行ったことはないので、解りませんが…
 再発治療として(TCではありませんが)タキサン系を長期投与する経験から類推すると…
 (骨髄ではなく)「痺れ」が問題となるでしょう。
  ♯浮腫も出ますが、これは完全に回復しますが、「痺れ」に関しては「過剰投与となった場合の回復にかんしては未知」となります。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

先日は、お忙しいところ、ご回答を頂きましてありがとうございました。
あれから、いくつか病院で確認致しましたので、また質問をお願いいたします。
⇒タイのガイドラインでTC6回を勧めるものがあるのかどうか?
1ヶ月くらい前に発表されたアメリカの検査結果で抗がん剤TC療法4回よりも6回が効くと
いうことが病院内の医師会で発表されたとのことでした。
日本では4回ですがと説明したところ、まだ新しい発表なので日本にはないのでしょうとのことでした。
また、オンコタイプDX検査についても担当医と相談しまして、これから検査を行って頂く予定です。
結果発表までは2週間くらいかかるとのことです。
以下質問をお願いいたします。
1.担当医からは結果が低リスクの場合でも、腫瘍が大きいこと、Ki67値が高いことの理由から、TC療法最低4回を勧められています。
オンコタイプDXの結果のみでは抗がん剤が
有効かどうか決められないのでしょうか。
2.来週には2回めのTC投与となりますが、検査結果の出る2週間後まで投与を延ばしても
大丈夫でしょうか?通常は3週間毎のようですが、4または5週間の間をおいてもよいのでしょうか?(検査結果、中低リスクの場合は投与中止も検討しています。)
3.もし、抗がん投与を中止したとして、今後の治療方針ですが、放射線治療は必要でしょうか?
リンパ転移もなかった点では必要なし、ただ腫瘍が5.5cmという点ではやっぱり必要なのかなと思っています。
(ホルモン療法は行うつもりです)
以上です。
何卒よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
私が知っている限りでは「TC4回とTC6回の直接比較の大規模臨床試験はない」し、少なくとも国内での小規模な発表では「TC6回は有効性に乏しく、有害事象は多い」と結論されています。
「1.担当医からは結果が低リスクの場合でも、腫瘍が大きいこと、Ki67値が高いことの理由から、TC療法最低4回を勧められています。」
⇒全く、とんでもない考えです。(常識がない?)
 これでは「OncotypeDXの意味」がありません。
「オンコタイプDXの結果のみでは抗がん剤が有効かどうか決められないのでしょうか。」
⇒通常は、それで決めます。
「2.来週には2回めのTC投与となりますが、検査結果の出る2週間後まで投与を延ばしても大丈夫でしょうか?」
⇒勿論です。
「3.もし、抗がん投与を中止したとして、今後の治療方針ですが、放射線治療は必要でしょうか?リンパ転移もなかった点では必要なし、ただ腫瘍が5.5cmという点ではやっぱり必要なのかなと思っています。」
⇒あまり意味はないと思います。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

田澤先生こんにちは。
以前は夫が質問しておりましたが、本人です。
いつもご回答ありがとうございます。
オンコタイプDXの検査結果はまだ出ていません。
抗がん剤(TC療法)2回目の予定は結果が出るまで延期しています。
自分の癌について調べていて質問がありますのでお願いいたします。
前回の質問では、
「1.担当医からは結果が低リスクの場合でも、腫瘍が大きいこと、Ki67値が高いことの理由から、TC療法最低4回を勧められています。」
⇒全く、とんでもない考えです。
(常識がない?)
 これでは「OncotypeDXの意味」がありません。
「オンコタイプDXの結果のみでは抗がん剤が有効かどうか決められないのでしょうか。」
⇒通常は、それで決めます。
との回答を頂き、オンコタイプDXの結果が低リスクだった場合は抗がん剤を中止したいと思いました。
そして、[管理番号:2282の方の質問の回答として、腫瘍の大きさ別の再発率の表があります。
私の場合、腫瘍径5.5cmですので、>5.0cmの欄になりますが、ホルモン療法のみの場合は31%、ホルモン療法+抗がん剤の場合は21%となっています。
これをみて、腫瘍の大きさと抗がん剤治療は関係があるのでは?と混乱しています。
【質問1】腫瘍径が大きい場合、ルミナールAタイプやオンコタイプDXの結果が低リスクの場合でも、抗がん剤の有効性が変わることはありますか?
前回の質問
「3.もし、抗がん投与を中止したとして、今後の治療方針ですが、放射線治療は必要でしょうか?リンパ転移もなかった点では必要なし、ただ腫瘍が5.5cmという点ではやっぱり必要なのかなと思っています。」
⇒あまり意味はないと思います。
【質問2】放射線治療の意味がないという理由を教えてください。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
「【質問1】腫瘍径が大きい場合、ルミナールAタイプやオンコタイプDXの結果が低リスクの場合でも、抗がん剤の有効性が変わることはありますか?」
⇒ありません。
 「[管理番号:2282]の方の質問の回答として、腫瘍の大きさ別の再発率の表」は、
あくまでも「ルミナールAとBが混じった」ものをNewAdjunvat.comで評価したものです。
  模式的に言えば(以下の表はあくまでも模式的です)
          ルミナールA   ルミナールB     AとBが混じると
  1cm    上乗せ0%     上乗せ5%      上乗せ3%
  5cm    上乗せ0%     上乗せ10%     上乗せ7%
   上記のように考えれば解り易いと思います。
   つまり、全体としてはステージが上がるほど化学療法による効果が大きいが、ルミナールAだけで言えば無関係なのです。
「【質問2】放射線治療の意味がないという理由を教えてください。」
⇒エビデンスがないからです。
 
 

 

質問者様から 【質問4】

抗がん剤投与(TC療法?)回数について(4回か6回か)
性別:女性
年齢:42歳
妻の乳がんの件で、誠にお世話になっております。
現在の病院では、毎回通訳者も異なり、主治医と円滑なコミニュケーションが
取れず不安な状況の中、田澤先生から、このようにご回答を頂けておりますこと本当に励みになりますし感謝致しております。
先日、オンコタイプDXの結果がでましたので、再度ご質問をさせて頂きたくご回答をお願いいたします。
【オンコタイプDX結果】
Score/6,ER/11.3(Positive),PR/9.2(Positive),HER2/9.5(Negative)
上記を受けた腫瘍内科主治医の見解は、「低スコアとは言うものの腫瘍経とKi67高値なのでやはりTC療法しないと心配です」とのことでした。
【状況まとめ】
上記の結果以外に核グレードも確認しましたので、現在の状況を下記にまとめてみました。
42歳,5月左胸全摘出,Solid papillary carcinoma(充実乳頭癌)
腫瘍径:5.5cm,リンパ節転移なし,Ki67>60%,ステージ2B
luminal?AもしくはB(多分Bとのこと)
核グレード2(核異型中間,核分裂像の数8/10)、脈管浸潤ネガティブ
術後治療:TC療法を1回のみ行う
オンコタイプDX:Score/6,ER/11.3(Positive),PR/9.2(Positive),HER2/9.5(Negative)
【質問】
1.今後もTC療法を続けるかについて妻と話し合いました。
妻は中止を決めましたが、私は当サイトの管理番号:1162「炎症性乳がん」での先生の回答"「luminal Bであり、オンコタイプDXのRSがローリスク」の場合に、どちらを優先させるかは「総合的に判断すべき」もの"
に該当すると思い判断をつけられません。
もちろん妻の意向を最優先致しますが、先生ならどのように判断されますか?
 これを記述中に妻が病院に行ったところ、放射線の先生からオンコタイプDXが低リスクなので抗がん剤は中止でよいでしょう。
腫瘍内科の主治医とも相談した。
腫瘍径を気にするのは昔の話ですよと伝えられたそうです。
同じ病院内でも先生によって見解は異なり(タイの大型私立病院では病院直属の先生以外に、他の大学病院からも先生を集めていることもあり見解の相違はありえると思っています)、これは患者側からみると不安ですが、それほど判断難しいところなのかな?と思っています。
2.田澤先生からは放射線治療の意味はないでしょうとの回答を頂きましたが、上記の放射線の先生からは、腫瘍が5cmより大きかったこと、それが皮膚に近かったこと(皮膚からの距離については上記質問1をご確認願います)で放射線治療を薦められています。
放射線治療をしない場合の再発率は30%だが、放射線治療すれば3-5%程に下げられるとも言われております。
また、先生のいらっしゃる江戸川病院 化学療法センターのHPや管理番号:1001「腫瘍径と放射線照射の適応」にも「乳房切除を行った場合、腫瘍径5cm以上、腋窩リンパ節転移4個以上の場合には胸壁・領域 リンパ節に放射線療法を行う。」とありますが、これは腫瘍径5cm以上でかつ腋窩リンパ節転移4個以上の場合と理解すればよいのでしょうか?(そもそも田澤先生からの回答「放射線治療意味なし」という私の理解が間違っておりますでしょうか?)せっかくご回答を頂いたにも関わらず混乱してしまい恐縮ですが、田澤先生なら現在の状況で放射線治療を薦めますか?
(妻は放射線治療をうける意向ですし、私も受けた方がよいのでは?と思っています。)
3.今後もしも癌が再発・転移した場合、それは現在スコア6の癌細胞がそのままの性質(遺伝子)で再発・転移したとみるのでしょうか?(再再発の可能性もやはり低)それとも今の癌細胞が突然変異したとみるのでしょうか?突然変異したと見る場合は、必要に応じてまたオンコタイプDXの検査が必要となるのでしょうか?
4.今回TC療法を1回で中止する意向ですが、もしも再発した場合、すでにその癌細胞に薬剤耐性がつき、TC療法は使用できなくなっているという可能性はありますか?
お忙しいところ、色々とご質問させて頂きまして本当に恐縮ではございますが何卒よろしくお願い申し上げます。
 

田澤先生から 【回答4】

こんにちは。田澤です。
OncotypeDXでRS=6なのに化学療法を勧めるとは!!!(!の個数で私の気持ちをお察しください)
「1.今後もTC療法を続けるかについて妻と話し合いました。」
⇒全く私の理解を超えています。
 RS=6で化学療法とは…
「田澤先生なら現在の状況で放射線治療を薦めますか?」
⇒前回と同じ質問では?(重複は避けましょう。私の回答が変わる事はありません)
 (前回の回答)
 『「【質問2】放射線治療の意味がないという理由を教えてください。」
⇒エビデンスがないからです。』
「突然変異したと見る場合は、必要に応じてまたオンコタイプDXの検査が必要となるのでしょうか?」
⇒完全に勘違いしています。
 RS=6は「低リスク」であることと、「化学療法が無意味」であることを表現していますが、「再発がゼロではない」ことも、そこに記載されていますよね??
(Tam Alone ○%のように)
「4.今回TC療法を1回で中止する意向ですが、もしも再発した場合、すでにその癌細胞に薬剤耐性がつき、TC療法は使用できなくなっているという可能性はありますか?」
⇒考え過ぎです。
 「もしも再発した場合」など考える意味はありません。