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抗がん剤の必要性について

[管理番号:6524]
性別:女性
年齢:45歳
初めまして。
今年3月に乳がんと診断されてから、こちらの先生のサイトで勉強させて頂いております。
手術については躊躇なくここまで進んできたのですが、今回術後の治療について大変悩んでおります。
今までの皆様への先生の回答の中で、正直ある程度把握している部分はあるのですが、自信がなく、どうしても先生のお考えを直接お伺いしたくご連絡した次第です。
[診断詳細]
診断:浸潤性乳管癌
浸潤径:1.2×1.0cmと近くに0.5cmの2つ
腋窩リンパ節郭清:あり(2/9)
ホルモン受容体:陽性(ER:7、PgR:8)
核グレード:3
脈管侵襲:なし
HER2:陰性
Ki-67:20%
当初ステージは初期のⅠでしたが、
リンパ転移があったためステージⅡa
この診断で主治医と腫瘍内科医の見解としては、
化学療法(TC療法3週×4)その後ホルモン療法5年を提案されています。
こちらの病院はki-67、14%以上はルミナールBの判定としているため、規定どおりでこの提案になるのだと認識しております。
化学療法の上乗せとしてはどの位か質問したところ、約10%という回答でした。
自覚症状が全くないまま、たまたま受けた健診で見つかり、
初期段階であることから当初は抗がん剤まで必要がないと思っていたのですが、現状それでも必要かどうかの判断を迫られています。
家族は少しでも生きてほしいという願いから病院の提示を推奨するので、余計モヤモヤして悩んでおります。
お忙しいところ大変恐縮ですが、先生のご意見を是非お伺いさせてください。
・先生のサイトを拝見させて頂いた私としては、
ki-67の20%という数値からルミナールAであり、
ホルモン療法のみで良いのではないかと考えておりますが先生の診断ではいかがでしょうか。
リンパ転移、グレード3を考慮した判断は必要でしょうか。
オンコタイプを申請した方がより良いとは思いますが、
時間がかかるようで病院側はあまりお勧め傾向ではありませんでした。
・そもそもステージ2aの上記状況での5年、10年の再発率はどの位でしょうか。
ホルモン療法単体、化学療法+ホルモンの両方を先生の私見で構いませんので教えてください。
・ちなみにもし化学療法を追加した場合、「10%の上乗せ」は合っていますでしょうか。
・腫瘍内科の先生から、化学療法の代替え案としてCMF(6か月)もしくはUFT(2年)という抗がん剤の経口薬の選択肢を提案されました。
但し現状スタンダードではないので、これをするなら通常はTCという選択であると。
私が化学療法に拒否反応をしめしていたため、少しでも上乗せするのであれば、の提案かと思います。
もしホルモン単独にする場合、このどちらを追加するメリットはありますか。
大変恐れ入りますが、ご回答お待ちしております。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
質問者はこのQandAを読んで、私の回答を予測しているようなので話が早くてよかったです。
「・先生のサイトを拝見させて頂いた私としては、ki-67の20%という数値からルミナールAであり、ホルモン療法のみで良いのではないかと考えておりますが先生の診断ではいかがでしょうか。」
⇒その通りです。
「リンパ転移、グレード3を考慮した判断は必要でしょうか。」
⇒不要。
「・そもそもステージ2aの上記状況での5年、10年の再発率はどの位でしょうか。」
⇒これは「ルミナールAなのか、Bなのかで全く異なる」ので統計の数字は無意味です。
「ホルモン療法単体、化学療法+ホルモンの両方を先生の私見で構いませんので教えてください。」
⇒私の予想どおり、ルミナールAと仮定して予測すれば
 ホルモン療法単独で88%
 ホルモン療法+化学療法では86%(ルミナールAではマイナスになります)
 ☆『今週のコラム 99回目 ★グレードは「参考程度」ということでいいですね?』の中のグラフ(リンパ節転移1-3個)を参照のこと
「・ちなみにもし化学療法を追加した場合、「10%の上乗せ」は合っていますでしょうか。」
⇒もしもルミナールBならばその位になるかもしれません。
「もしホルモン単独にする場合、このどちらを追加するメリットはありますか。」
⇒ありません。
 ルミナールAだとすると(何であれ)化学療法のメリット自体がないのです。(上記☆参照)