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抗がん剤治療について

[管理番号:2638]
性別:女性
年齢:60歳
田澤先生、初めまして。
堂々めぐりから抜け出せず、決断出来ずにいます。
来週に主治医に抗がん剤をするかどうかの返事をすることになっています。
が、このままでは決断出来ないと思い悩んでいます。
先生のご意見を伺いたいと思いますのでどうか宜しくお願い致します。
☆60歳
2/(上旬) 乳房温存手術終了
1センチの硬がん
リンパ節転移なし
ER(+)Allred判定 TS(8)
PgR(+)Allred判定 TS(8)
HER2(-)1+
Ki-67 40%
Luminal B Like
Nuclear gread3
☆治療方針
(世界的にみても標準治療だとの説明を受けています)
アリミデックス (アナストロゾール錠1mg)5年
現在、術後糸が残っていて、傷の治りが悪く形成で治療中。
(次回診察で完治の見込み)
完治するまでアリミデックスを抗がん剤開始まで飲んでいます。
(10日目)
(ほてり少々と手足が異常に冷たくなる症状があります)
傷が完治すれば(来週水曜日診察予定) TC 4回(4/上旬~)
放射線治療(内容はまだ聞いていませんが、治療を受けている病院ではできないので、他の病院で受けることになります。)
私は2015/1/(下旬)にくも膜下出血(6mm)を発症し、緊急入院、翌日、クリッピング手術をし、その2週間後対側にもあった(7mm)をカテーテル手術で脳動脈瘤コイル塞栓術を受けました。
幸いにも後遺症が残らず髪も伸び、安静の生活で体力が落ち体重も増えていたので、これから身体を鍛えようという時に間欠性跛行になりました。
その原因を調べるために受けたMRでたまたま乳癌を見つけていただきました。
幸いにも早期発見だということでしたが、くも膜下と癌、Wパンチを受け相当ショックでした。
最初はほんの小さな癌なので、
手術後ホルモン治療と放射線治療をすれば良いとのことで、何とか自分を奮い立たせ手術を終えました。
しかし病理の結果が上記のようになり、抗がん剤の追加となったのです。
この時、今まで生きてきた中で一番のショックだったと思えます。
癌告知よりも、です。
私はどうしても抗がん剤治療が受け入れられず、主治医の先生には大変申し訳なかったのですが紹介状を書いていただき、セカンドオピニオンを受診しました。
セカンドオピニオンでも結局は、抗がん剤治療をしないことで将来後悔しないかどうか、ということや、抗がん剤治療をしても再発、転移する方もあるし、しなくて再発、転移し、あっという間に亡くなった方もおられる、なので少しでも再発転移死亡率が下がるデータがあるのだからやっておくにこしたことはない。
抗がん剤を打っていただく、という気持ちにならなければ、副作用にもたえきれないかもしれない、というようなお言葉でした。
私は、くも膜下出血をしていますので、抗がん剤の影響を受けるのではないか、と不安を抱いています。
主治医やセカンドオピニオンの医師もそれには関係はない、と言われていますが、私は抗がん剤治療に非常に臆病です。
何かが起こるのではないか、今の病院で対応できるのか、などと思ってしまいます。
抗がん剤治療は出来るなら避けたいと思っております。
が、再発転移のイメージが湧いてきて苦しくなります。
出来るだけ調べて納得するようにと思いますが調べれば調べるほど自分の気持ちがわからなくなり苦しくなります。
現在、主治医の強い指示で心療内科を受診し、お薬(レメロン)をいただき、1/4錠を飲み始め(2日目)不安を抑えています。
心療内科の先生は、病にしっかり向き合って納得のいく答えを出そうとしているだけであなたには薬は必要ないと思うけど不安でしんどくなったら飲んで眠れる様にお守りとして薬を持っておけばいいね、との診断でした。
以上の様な状態の私ですが、
私が抗がん剤治療を避けた場合、再発転移の確率はどれだけあがるのでしょうか?
とても危険な選択でしょうか?
10数年後再発転移して癌で天寿を終えることについては仕方ないか、
とも思えますが、半年や5年以内に再発転移の確率が高いとあるならば抵抗せねば…との思いもあります。
でも、抗がん剤を受けたことによってまた1年、
ストレスの多い時を過ごさねばならないことに逆に免疫力や体力、気力を失ってしまうことになるのでは…と思い、
抗がん剤を受けずに身体を鍛えて
癌を生やさないようにすれば良いのでは、と堂々めぐりに陥るのです。
田澤先生、今の私にどういう考え方が必要でしょうか?
決意ができない場合、先に放射線治療を受けるという方法はいかがでしょうか?
それでは抗がん剤開始が遅すぎますか?
オンコタイプdx検査を受け、再発の可能性がわかると決意ができるでしょうか?
(セカンドオピニオンの先生はオンコタイプdx検査を受けてもki67が高いので同じ様な結果が出る、とのことでした)
また、このオンコタイプdx検査については主治医が経験がないようですが、
受ける場合はどうすればよいのでしょうか?
病院でいただいた乳がんのお話の中にAdjuvant!Onlineについて記載があり、
じぶんで調べようとしましたが、英語なのでできませんでした。
主治医にもきいてみましたが、やったことがないから、という答えでした。
私の場合の数値はどうなのでしょうか?
こちらのサイトの他の方の質問をki67で検索し、同じような悩みの方の
Q&Aを熟読しましたが自分の状態との差があるようで先生のお答えが
私に当てはまるのかどうか確信できず、思いきって質問させていただきました。
お忙しい中、大変恐縮ではありますが、お答えいただければ幸いです。
宜しくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
pT1b(10mm), pN0, luminalB, NG3
十分な早期、再発超低リスクです。
「傷が完治すれば(来週水曜日診察予定) TC 4回(4/上旬~)」
⇒確かに、「luminal type 早期乳癌」では「標準治療としてはTC」です。
 但し「10mm以下=pT1b」ではNCCNのガイドラインでは「トリプルネガティブでさえ、(抗癌剤は必須ではなく)考慮すべき」という位置づけです。
 そこから、(本来、ホルモン療法が主役であり、トリプルネガティブほどには)抗ガン剤の必要性が高くは無いであろう「cT1b, luminalB」で本当に「抗ガン剤が必要か?」という議論があるのです。
 
「しかし病理の結果が上記のようになり、抗がん剤の追加となったのです。
この時、今まで生きてきた中で一番のショックだったと思えます。癌告知よりも、です。」
⇒気持ちが「解るような、解らないような」
 「抗ガン剤の適応となったこと」は(確かに)残念だとは思いますが、しかし同時に「再発率が低いこと」も事実です。
 この病理組織検査結果で「ショックを受ける」のでは、このQandAで本当に悩んでいる方の賛同は得られないかもしれません。
 
「私は抗がん剤治療に非常に臆病です。何かが起こるのではないか、今の病院で対応できるのか、など」
⇒それは(私の経験上)問題ありません。
 乳癌の術後化学療法は、現在では「かなりの割合で適応」となっており、実に様々な数の患者さんに行っていますが、そのような事態は皆無です。
 逆に言いかえれば、「万人が受け入れられる程度の副作用だから、安心して多くの方に適応がある」のです。
 
「私が抗がん剤治療を避けた場合、再発転移の確率はどれだけあがるのでしょうか?」
⇒僅か「1%」です。
 pT1bとは、「そういうもの」なのです。
 
「とても危険な選択でしょうか?」
⇒全く、そんなことはないことは(上の数字を見れば)納得できますね?
 
「田澤先生、今の私にどういう考え方が必要でしょうか?」
⇒単純に「十分に早期であれば、luminalAとかBなどは無関係」であるということです。
 
「決意ができない場合、先に放射線治療を受けるという方法はいかがでしょうか?
それでは抗がん剤開始が遅すぎますか?」
⇒その選択はあります。
 抗ガン剤は(やるとしても)急ぐ必要はありません。
 
「オンコタイプdx検査を受け、再発の可能性がわかると決意ができるでしょうか?」
⇒(個人的には)「腫瘍径を考慮に入れない」オンコタイプDXは、質問者のケースでは「あまり参考にはならない」と思っています。(あくまでも私見です)
 
「また、このオンコタイプdx検査については主治医が経験がないようですが、受ける場合はどうすればよいのでしょうか?」
⇒業者と病院側が交渉して「料金設定を行う」必要があります。
 
「病院でいただいた乳がんのお話の中にAdjuvant!Onlineについて記載」
「私の場合の数値はどうなのでしょうか?」
⇒再発率と10年生存率ですが、

再発率 10年生存率
無治療 18% 87%
ホルモン療法単独 10% 88%
ホルモン療法+抗ガン剤 9% 89%

○注意点 この数値だと「生存率が低すぎる」ように感じますが、それは(60歳と言う年齢から)「他病死8%」が入っているからです。
 つまり、「10年間で乳癌が原因で亡くなる確率は(無治療でも)13%ではなく、5%なのです)
 平均寿命が高い「日本」では60歳で「10年間での他病死は8%も無い」ことは確実です(あくまでも心疾患で亡くなる方の多い欧米でのデータなのです)
○lumianl Bでは抗ガン剤の適応があるとはいえ、十分な早期では「必要がない」ことはデータが物語っているのです。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

先日はお答え頂き、ありがとうございました。
田澤先生のおかげで言い知れぬ不安から本当に救われ、抜け出すことが出来ました。
そして今後何かがあった場合は遠方ですが田澤先生の診察を受けさせていただこうと強く思い、
そう思うことでとてつもない安心感が得られるようになりました。
すぐにお礼を申し上げたかったのですが、大事な質問の枠をとってしまうといけないと思い、お礼が遅くなってしまいました。
その後、主治医と相談するにあたって乳がんの知識が必要だと思い、
先生のお答えはもちろん、今も毎日このQ&Aの旅に出ております。
この旅をしていると乳がんの治療をされている方の殆どが手術後の乳房の痛みや、放射線治療、抗がん剤治療への不安、ホルモン療法の副作用であろう身体の痛みなどの不安を私と同じようにお持ちだということがわかります。
そしてそれらの不安に心のこもった田澤先生のお答えを読むことで強い気持ちを保つことができています。
1年前の大病からやっと立ち直ろうとしていた矢先の乳がん告知に目の前の灯りが消えてしまって自分でも恥ずかしいくらいパニック状態でしたが、田澤先生のお答えを読んで、そしてこちらで勉強することで、冷静にそして前むきに考えることが出来るようになりました。
私を始め多くの方がこの乳がんプラザに出会ったことでどんなに救われていることか。。。
本当に感謝しております。
今回は前回のご相談させていただいたことに対するご助言をもとに、今後の治療方針を主治医と相談した中で
田澤先生にお聞きしたいことがありますので再度ご相談させていただきます。
主治医に何故抗がん剤が必要なのか、抗がん剤を受けると
どのくらい再発率が下がるのかをお聞きしました。
主治医の回答は
*何%かはわからないが確実に再発率が下がるということになっているのだからluminalBだしガイドラインでは抗がん剤は必須
*NG3でKi67が40なので再発の危険が高い このki 67の高値を無視してはいけない 抗がん剤治療をしましょう
*センチネルリンパ生検がグレー判定なので抗がん剤治療をするのがより安全
とおっしゃいました。
主治医はいつも時間を気にせずしっかりと私の話を聞いて下さいます。
が、年配で外科出身で乳腺以外も診察されています。
また、田舎ですので年間20件程度の手術件数です。
Adjuvant online
についても病院でいただいた(乳がんのお話)の冊子の中にでているのでこれで再発率を調べて下さいとお願いしましたが、僕はしていない、とのことでした。
ご相談させていただきたいことは
センチネルリンパ生検がグレー判定だったという主治医の話の件です。
手術を受ける時には
まだ私の癌の知識が乏しく
センチネルリンパ生検の意味もわかってはおりませんでした。
主治医にその場合は郭清するかどうかと聞かれたので、主治医はどうお考えか、と尋ねると、
ガイドラインでは不明の場合は郭清するとあるが、腫瘍径が小さいので郭清しなくてもいいと思う、ということだったので染まりがわるく、センチネルリンパ節がはっきり識別出来ない場合でも郭清はしないと術前に決めました。
私は今になってその意味が理解できるようになったのですが、このQ&Aの田澤先生のお答えの中に確か、
今時センチネルリンパ節がわからないというのは考えられない、というようなことが書いてあったと記憶しているのですが、
主治医の言ってることは、センチネルリンパ節をとったつもりでそれを病理に出し陰性だったが、よく染まっていなかったのでその陰性が確実とは言えないので抗がん剤治療を勧める、と理解していいのでしょうか?
そしてもしかしたら私のリンパ節に転移があるかもしれないということでしょうか?
もし、取り残しがあれば、それはいつ頃どういう状況で判明するのでしょうか?
結局抗がん剤をするしないは解決しないまま、
5%以内の違いであれば抗がん剤治療は受けないことを家族で決めましたので
その方針でお願いし、
ホルモン療法と他病院での放射線治療の手配を進めて頂き、現在放射線治療中です。
抗がん剤治療をした場合としない場合の
前回の再発率の差は1%とご提示いただきましたが、
もし、リンパ節転移があったとしたら、その数字は大幅に変わるのでしょうか。
ご指導のほど宜しくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
治療法は「サブタイプの考え方」により「オーダーメード化」により近づきましたが「十分早期の癌にも無理やりあてはめる」と、「とんでもない誤りを招く」事となります。
♯ 「今週のコラム20回目 lumianl Bでは抗ガン剤の適応があるとはいえ、十分な早期では「必要がない」ことは統計データが物語っているのです」は、質問者のためにあるのです。
 
「*センチネルリンパ生検がグレー判定なので抗がん剤治療をするのがより安全」
⇒これはどういう意味ですか?
 迅速病理診断で「異型細胞はあるが、癌の転移とは言い切れない」というようなことですか?
 もし、そうであれば「転移なし」との判断でいいと思います。(pT1bですし)
 
「今時センチネルリンパ節がわからないというのは考えられない、というようなことが書いてあったと記憶」
⇒その通りです。
 「センチネルリンパ節生検に失敗?」するとしたら、「手技的に未熟」と言わざるを得ません。
 
「主治医の言ってることは、センチネルリンパ節をとったつもりでそれを病理に出し陰性だったが、よく染まっていなかったのでその陰性が確実とは言えないので抗がん剤治療を勧める、と理解していいのでしょうか?」
⇒病理結果で「完璧に陰性」なのに(主治医が)「グレーと言っている」としたら、そうなのかもしれません。
 ちょっと、私には理解できない世界です。
 
「そしてもしかしたら私のリンパ節に転移があるかもしれないということでしょうか?」
⇒pT1b(で曲がりなりにも、センチネルリンパ節生検らしきものが陰性だったのだから)転移は無いと思います。(確率的に)
 
「もし、取り残しがあれば、それはいつ頃どういう状況で判明するのでしょうか?」
⇒1年後位に、「腋窩のエコーで腫大所見」として解ります。
 
「もし、リンパ節転移があったとしたら、その数字は大幅に変わるのでしょうか。」
⇒「リンパ節転移があったら」という前提は、どうかと思いますが…
 それでも「2%」程度です。