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抗ガン剤治療と生存率

[管理番号:4436]
性別:女性
年齢:38歳
たくさんのご質問やご回答、いつも参考にさせていただいております。
今回初めてご質問させて頂きます。
内容は、今後の治療方法(抗ガン剤治療を行うか否か)と生存率についてです。
先月、右乳房全摘出とリンパ郭清(レベル1)をしました。
術前の針生検での病理結果は、非浸潤がんでした。
手術でセンチネルリンパ生検も行なったところセンチネルリンパに転移
反応があったためレベル1のリンパ郭清を行いました。
術後の病理結果はまだ詳しくでていないようですが、
浸潤径3mm ホルモン受容体(+) HER2(-) Ki67(6%)
リンパは13個取ったけど、転移が見られたのはセンチネルの1個だけだったようです。
ステージⅡA グレード1 と言われました。
今後の治療は、
①抗ガン剤+ホルモン療法。
②、①+放射線治療(ly や v の詳しい結果が出て数値が高かった場合)。
と言われました。
放射線治療は病理の詳しい結果が出てから決定するとして、抗ガン剤は
3/(上旬)に始めましょうと言われていて、私もそのつもりでいました。
どんな抗ガン剤を使うか尋ねたら、3/(上旬)までに他の先生達とも話して決めておきますと言われました。
ところが、本日3/(上旬)に先生から、
計算してみたら
10年後の生存率はこのまま無治療で94%、
タモキシフェン治療で +2%、
タモキシフェン+抗ガン剤で +4%。
タモキシフェンは使うけれど、抗ガン剤の+2%をどう考えるかはその人の哲学次第だから、3/(上旬)当日に抗ガン剤治療をするかどうか決めてからきてくださいと言われました。
やる場合はTC療法になるそうです。
選択するのが私なのはわかりますが、最近主治医の先生の意見だけでは不安になってきました。
どうか先生のアドバイスを頂けたらと思います。
私がご相談したいのは、私の主治医の先生の言う生存率は合っていますか?
リンパ転移が1つでもあったなら抗ガン剤使うものと思っていたのですが、使わないパターンもあるのですか?
先生は、抗ガン剤治療をしたほうが良いと判断しますか?しなくて良いと判断しますか?やはり患者本人の哲学次第でしょうか。
また再発率は別問題になりますよね。
再発率も抗ガン剤を使うと少し下がるのでしょうか。
お忙しい中申し訳ございませんが、ご返答頂ければ前に進めるかと思います。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「リンパ転移が1つでもあったなら抗ガン剤使うものと思っていたのですが、使わないパターンもあるのですか?」
⇒全く「考え方」が異なります。
○治療法は「サブタイプ」によって決まります。
 質問者はルミナールA(さすがにKi67=6%で、抗ガン剤が効くなど到底考えられません)なので、「化学療法による上乗せはゼロ」だと思います。
 (リンパ節転移の有無とは無関係に)ホルモン療法単独です。
♯どうしても、納得いかないのであれば「OncotypeDX」してみましょう。
 Ki67=6%であれば「low risk」となり、「化学療法の上乗せゼロ」となると推測します。
 『今週のコラム53回目 Ki67が「30未満」ならホルモン療法単独、Ki67が「30以上なら、Oncotype DXを推奨」しています。』を参照してください。
 
 
 

 

質問者様から 【質問2】

前回、先生からご回答いただけて自分を納得させることができました。
本当にありがとうございます。
主治医には抗ガン剤治療をしないことを伝えました。
現在の状況。
2017年2月、右全摘とリンパlevel1郭清
ステージⅡA ホルモン(+) HER2(-) Ki-67(6%) リンパ転移1/13 グレード1
2017年3月、5年間のタモキシフェン服用が始まりました。
前回の病理結果に、今回私が新たに分かったことの追記と訂正しておきます。
しこりサイズ、T1b。
浸潤径、3mm→9mmへ訂正。
脈管侵襲 軽度あり。
少し脂肪にも。
質問です。
①浸潤径が9mmと訂正がありましたが、予後にはあまり問題にはなりませんか?
②私の場合、Ki-67 も低いので抗ガン剤はほとんど効果がないとのことでしたが、リンパ転移も1/13なので、田澤先生は、放射線治療も必要ないとお考えになりますか?
③ホルモン治療単体の場合10年再発率はどのくらいになりますか?
④ホルモン治療+放射線治療の場合で、10年再発率に違いはありますか?
⑤また、現在タモキシフェンの服用を始めておりますが、放射線治療が必要な場合はタモキシフェン服用との併用はできますか?
田澤先生のご意見をお伺いさせていただければと思います。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「①浸潤径が9mmと訂正がありましたが、予後にはあまり問題にはなりませんか?」
⇒ありません。
「リンパ転移も1/13なので、田澤先生は、放射線治療も必要ないとお考えになりますか?」
⇒全摘後の放射線治療の適応は「腋窩リンパ節転移4個以上」と考えます。
 きちんと郭清していれば局所の問題はありません。
「③ホルモン治療単体の場合10年再発率はどのくらいになりますか?」
⇒15%です。
 但し、上記数字は「リンパ節転移1-3個」での数字なので、(1個だけである)質問者は「おそらく一桁」となるでしょう。
「④ホルモン治療+放射線治療の場合で、10年再発率に違いはありますか?」
⇒まずは考え方を整理してもらう必要があるようです。
 放射線治療は「基本的」に、局所のために行っています。(4個以上の場合には「生存率にも影響する」となっていますが…)
 少なくとも「質問者の場合」に「放射線照射が生存率に影響」するとは到底考えられません。
「放射線治療が必要な場合はタモキシフェン服用との併用はできますか?」
⇒放射線治療が必要とは思いませんが…
 併用は全く問題ありません。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

田澤先生
いつもご迅速な回答に感謝しております。
今ではたくさんのQ&Aを毎日拝見し勉強させていただいております。
ありがとうございます。
現在、右乳房全摘術後約1ヶ月で、タモキシフェン服用2週間目です。
いまのところ気になるような副作用は感じておりません。
ただ、私の病歴とタモキシフェンの飲み合わせについて問題がないかどうか田澤先生のご意見を頂戴したいです。
約20年前 卵巣出血 開腹による緊急卵巣縫合手術 原因不明
約13年前 高プロラクチン血しょう ホルモン剤を一時期のみ服用
約10年前 脳下垂体腺腫瘍摘出手術
約10年前 橋本病 (現在経過観察中)
約10年前 気分障害 (現在内服薬治療中)
約3ヶ月前 多発性子宮筋腫核出開腹手術
約1ヶ月前 右乳房全摘術リンパ郭清 (現在ホルモン治療中)
卵巣出血の原因は不明なままでしたが、現在婦人科検診等のエコーで卵巣に何か異常を指摘されたことはありません。
子宮筋腫の術後1ヶ月検診では順調でしたが、再発もあり得るとのことなので今後も年に一度検査に行こうと思っています。
(乳がん発覚してからは婦人科へはまだ行っていません)
脳外科は術後5年経った時に経過観察終了しました。
しかし、内分泌科で甲状腺のホルモン数値と一緒にプロラクチンも診ていただいてます。
今はどちらも正常範囲内です。
次の定期検診は4月です。
気分障害では、SSRIの抗うつ剤デプロメール、抗不安剤ワイパックス、眠剤ロヒプノールを服用しています。
ホルモン系の病気をいくつかしてきたのでタモキシフェンが子宮や卵巣、脳下垂体や甲状腺に影響しないか、または逆にタモキシフェンの効果に影響がないかが気になっています。
何か注意すべきことなどはございますか?
また、精神科の先生からは「デプロメールによってタモキシフェンの血中濃度が少し高くなるから気になるなら薬を変えてもいいよ」と言われました。
パキシルではなくても影響があるのでしょうか?これについてはどう、思われますか?
大変長くなってしまい申し訳ございませんが、先生のご回答を頂ければとお待ちしております。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
タモキシフェンとの飲みあわせは気にする必要はありません。
(血栓症の多い)欧米では「血栓症を警戒」するようですが、特別な既往でも無い限り安心して飲みましょう。