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抗がん剤の使用と今後の治療について

[管理番号:3733]
性別:女性
年齢:45歳
田澤先生はじめまして。
6月末に右乳管癌温存手術を終え、9月末で放射線治療も終了しました。
9×6㎜ idc a3 NG1(NA2+MC1) pT1b f+
ductal spread + , ly- v- pNO(0/1)
ER+++ PgR+++ HER2;0 Mib1=40% P53=30%
とても痩せており、胸も脂肪も殆ど無いのですが、やはり、露出(-)だが近接で、
本当に露出ギリギリだったそうです。
放射線治療は25回と電子線5回追加ブーストでした。
主治医からはホルモン治療に加え、抗がん剤治療をすすめられていますが、今後の治療の事で悩んでいます。
痩体質で体力もないので強い点滴抗がん剤の副作用や更なる体重減少に耐えうるか不安です。
脱毛も気になりますが、Mib1が高い事と、近接していた事で再発が心配です。
またホルモン経口抗がん剤にについても最近知ったのですが、大学病院などでのTS-1の
先進医療や試験は、申請に時間がかかるようで。
手術から3か月経ちますので早く始めたい思いもあります。
どの抗がん剤をする場合にもホルモンと同時期に開始して構いませんか。
また、閉経前ですが年齢的に、ホルモン剤の注射の追加は必要でしょうか。
手術、放射線治療まではこちらのQ&Aを見せていただき、田澤先生のお言葉にとても勇気づけられました。
是非とも、今後の治療計画についてアドバイスをお願いいたします。
病理を見ての再発率なども教えていただければありがたいです。
よろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
pT1b(9mm), pN0, luminal, NG1
完璧な早期癌です。
このレベルだと「luminalBでも(私なら)化学療法を勧めることはありません」
「主治医からはホルモン治療に加え、抗がん剤治療をすすめられています」
⇒もう少し、「全体のバランスを見て考えるべき」でしょう。
 9mmのルミナールタイプに「抗ガン剤を勧める?」少々、センスがないように思います。
 ○そもそもMC1だし、(おそらく)OncotypeDXをすると「化学療法の上乗せなし」となりそうです。
「Mib1が高い事と、近接していた事で再発が心配」
⇒考え過ぎです。
 そもそも「近接」は「局所再発に関係する因子」であり、「遠隔転移再発とは明確に区別」しなくてはなりません。(化学療法を選択する理由とはなりません)
「どの抗がん剤をする場合にもホルモンと同時期に開始して構いませんか。」
⇒アンスラサイクリンとタモキシフェンは「同時期では良くない」という「とても古い文献」があります。(それ以外は根拠がありません)
「また、閉経前ですが年齢的に、ホルモン剤の注射の追加は必要でしょうか。」
⇒不要です。
 LH-RHagonistの適応は「ASCO(2016)ではステージⅡ以上」「SOFT試験では①35歳未満②化学療法閉経から回復した場合」となります。
 質問者は、それらの「どれにも当てはまらない」ことは明白です。
「是非とも、今後の治療計画についてアドバイスをお願いいたします。」
⇒タモキシフェン単独です。
「病理を見ての再発率なども教えて」
⇒再発率は(ホルモン療法単独で)9%です。 10年生存率97%です。