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ハーセプチン+抗がん剤の適用について

[管理番号:3643]
性別:女性
年齢:46歳

初めまして。
(関東)県に住む46才、2児の母です。
よろしくお願いいたします。

昨日9月(中旬)日、○○医大にて正式に乳がんの告知を受けました。
まったくの素人なが
ら、インターネットや本などで、現在行われている乳がんの治療について、自分なりに
知識を身につけた上で、○子医大の説明について少し違和感を覚えたので、田澤先生にご相談してみたいと思い、メールをさせていただきました。
現在わかっている情報を記載いたします。
なにぶん初めてのことなので、間違い、わかりづらいなどなどありましたらすみません。

○平成24年2月下旬、近所の乳腺外科にて初めての乳がん検診。
マンモグラフィだけの予定だったが、乳腺の映り方がちょっと気になったようで、超音波も受ける。
左胸を入念に調べていたが、結局異常なしと判断。
その後は検診をさぼってしまっていた(マンモはちょっと高額だったため…今では反省しております)

○平成28年7月下旬、左胸の乳首の下あたりに、しこりを自分で発見。
前回の乳腺外科にて穿刺吸引細胞診を受け、8月中旬にCLASSⅤの診断。

○近場の○○病院に紹介状を書いてもらったが、外来の予約ができるのが1か月先の9月(中旬)日と聞き、もう少し早く診断を受けられる病院はないかとインターネットで調べ、板橋の○○○クリニックにて9月(上旬)日、バネ式の針生検を受ける。
その場で○○医大に予約を入れてもらい、(中旬)日にデータが用意できるとのことで、当日そのデータを持って○○医大へ(結局(中旬)日…)。

○乳腺内分泌科にて告知を受ける。
以下、その内容です。
・25ミリの腫瘍
・ホルモン療法が効くタイプのがん(チラ見した○○の診断書?には2行で両方50パーセント以上とありました)
・ハーセプチンが効くタイプのがん(やはりチラ見した診断書にはHER2+3とありました)先生によると、するとしないとでは30~40%の違いがある。
使用することにより、よりルミナルタイプに近づけるためだとの説明をされました。
・○○医大で当日受けた検査は血液検査、尿検査、心電図、乳房の超音波でした。
抗がん剤や手術に耐えられる体力かどうかの検査だとのことでした。
・今後の治療として、9月(下旬)日にPET検査を行ったのち、まずハーセプチン+抗がん剤の治療を3か月してから手術を予定しているとのことです。
その後のことはまだ聞いておりません。

質問①
ほかのQ&Aほどの細かい情報がないのですが(○○の診断書のコピーが欲しいと言ったら、後日わかりやすく説明しますからともらえなかった)、私のがんは→ルミナルBタイプ(HER2陽性)、いわゆるトリプルポジティブということで良いのでしょうか。
また、PET検査が必要な状況であることに間違いはないでしょうか?

質問②
○○の先生から「抗がん剤をしないと死ぬよ」と脅かされたり「毎年検査してたらこんなことにはならなかったんだから、このがんで死んだらあなたのせいだよ」などと
言われ、少々頭にきてしまっているのですが(まぁ事実なのですが)、やはり抗がん剤(+ハーセプチン)をしないと死んでしまう確立が高いのでしょうか。

質問③
私の希望としては、左胸は全摘で良い、これ以上大きくなる前に一日も早く手術をしてほしい。
ホルモン療法が有効であれば使う。
抗がん剤はできるだけ使いたくないが、術後の詳しい病理検査が出た後で、どうしても使わないといけないとなれば我慢して使おうという気持ちです。
HER2陽性+3のがんで、ハーセプチンを使わずに術後ホルモン療法だけというのは難しいのでしょうか。
グレードやステージがはっきりしないのですが…
(ここは後ほどきちんと聞くつもりです)。

質問④
実は私にはパニック障害の気があり(嘔吐恐怖、会食恐怖)、抗がん剤の副作用が怖いと言ったら「あなたには吐き気の出ないやつを使うから。
吐き気止めも使わなくて大丈夫なやつだよ」と言われたのですが、そのような薬があるのでしょうか?とても優しく、なだめるように言ってくださったのですが…。
また、その薬が私のがんには効かない、ということもあるのでしょうか?との質問には「3%未満くらいの確立ですね。
効かなければ手術です」との答えでした。

質問⑤
ハーセプチンを使いながら、3か月も手術をしないで、大丈夫なのでしょうか?と聞いたら、「今の考えとしては、がんは全身病だから、手術よりもむしろ早く抗がん剤を使いたい、そのほうが安全です」「その結果、腫瘍が小さくなったら温存できるかも。
チャレンジですね」との答えでした。
とにかく「術前抗がん剤治療ありき」という気持ちがすごく感じられ、そこにいちばんの疑問を持ちました。
田澤先生はどう思われますでしょうか

質問⑥
もし田澤先生が、手術先行で早く詳しい病理検査の結果が知りたいという私の気持ちを
くんでくだされば、ぜひ江戸川病院で手術をお願いしたいです。
そしてその結果、やはりハーセプチンや抗がん剤が必要となったら、万一の副作用のことも考慮し、投与に通うには少々遠方ですので、術後の治療については近場の病院にお願いしたいと思っております。
そのようなことは可能でしょうか?

お忙しいなか、長文で申し訳ありません。
どうぞよろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

「私のがんは→ルミナルBタイプ(HER2陽性)、いわゆるトリプルポジティブということで良いのでしょうか。」
⇒その通りです。

「また、PET検査が必要な状況であることに間違いはないでしょうか?」
⇒不要です。
 大学病院らしい「無駄な検査(被爆と医療費)」です。

「○○の先生から「抗がん剤をしないと死ぬよ」と脅かされたり「毎年検査してたらこんなことにはならなかったんだから、このがんで死んだらあなたのせいだよ」
などと言われ、少々頭にきてしまっている」

⇒私も患者さんから「そのような言い方をされている」話をたびたび聞くのですが…
 医師としての資質の問題があります。
 そもそも人間としてどうでしょうか?

「やはり抗がん剤(+ハーセプチン)をしないと死んでしまう確立が高いのでしょうか。」
⇒そんなことはありません。
 たしかに、抗HER2療法は「再発率を半分」にします。だから当然した方がいいし私も勧めます(ただし、十分早期であれば、行わなくても再発しない可能性も高くはあります)

「HER2陽性+3のがんで、ハーセプチンを使わずに術後ホルモン療法だけというのは難しいのでしょうか。」
⇒推奨はされませんが…
 術後補助療法は、最終的に患者さんの選択です。(やらなければ死ぬよ。などと自ら死という言葉を発する医師の存在に、腹が煮えくります)

「「あなたには吐き気の出ないやつを使うから。吐き気止めも使わなくて大丈夫なやつだよ」と言われたのですが、そのような薬があるのでしょうか?」
⇒これは「カドサイラ」のことを言っている様です。(おそらく)
 医師の中には(本来、転移再発乳がんにしか適応がない)カドサイラを「術前や術後補助療法として使用する」不届き者がいるのです。

「とにかく「術前抗がん剤治療ありき」という気持ちがすごく感じられ、そこにいちばんの疑問を持ちました。田澤先生はどう思われますでしょうか」
⇒術前抗がん剤の唯一の適応は「小さくして温存」です。
 それ以外の「何の根拠も無い」理由は、一切認めません。

「ハーセプチンや抗がん剤が必要となったら、万一の副作用のことも考慮し、投与に通うには少々遠方ですので、術後の治療については近場の病院にお願いしたいと思っております。そのようなことは可能でしょうか?」
⇒可能です。
 実際にそのような方も大勢いらっしゃいます。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

ホルモン療法の影響?卵巣嚢腫について
性別:女性
年齢:47才

管理番号【3643】
いつもお世話になっております。
元気になりま証 ID番号●●です。

昨年10月末に左乳房全摘手術を終え、その後ホルモン治療を続けていましたが、
今年の夏に地元の婦人科で検診をしたところ、左の卵巣が腫れているとのことでMRI検査をしたところ、6センチの卵巣嚢腫のほか、筋腫やポリープ(疑い)も見つかりました。
画像診断の報告書より(中略あり)

○左付属器領域においては67×40×37㎜ほどの嚢胞性腫瘤が認められます。

○明らかな充実性成分は認められません。
卵管留水腫もしくは漿液性嚢胞腺腫等を疑います。

○子宮体部後壁漿膜下に径22㎜の子宮筋腫が認められ、子宮頚部及び前壁筋層内にも12㎜までの複数の子宮筋腫が形成されています。

○子宮内膜の軽度肥厚が認められ、矢状断面像において15㎜程となっています。
また子宮底部内膜においては微小な嚢胞性変化を伴う低信号領域が8㎜程で存在するようであり、子宮内膜ポリープの可能性があります。
さらに血液検査において、腫瘍マーカーには異常がなかったのですが、
(E2)エストラジオール値が 1160.2pg/mL と高値でした。
(この点について婦人科の先生はどうしてだろう?という感じで理由が分からないようでした)
ちなみに次の生理は9月7日~でしたので、排卵後くらいの時期であったと思います。

質問①
こちらのQ&Aを拝見いたしましたが、タモキシフェンを内服していると卵巣が腫れることはよくあるとのことで、前回の診察時にも田澤先生に教えていただきました。
筋腫やポリープも、今まで一度も診断されたことはありませんでしたが、それもやはりタモキシフェンが原因である可能性は高いですか?

質問②
もしそうであるなら、ホルモン療法を中断することになると思うのですが、その場合エストラジオール値が高い状態でタモキシフェンを止めることは、乳がんの予後において危険ですか?婦人科の先生は、主治医の先生にそこを確認してほしいと言っておられました。

質問③
素人ながらネット等で調べてみましたが、卵巣嚢腫の中には『エストロゲン産生腫瘍』
というものがあるとのことでした。
この可能性はありますか?もしそうであるなら、
ホルモン療法を中断することによりエストラジオール値も下がる可能性があるということでしょうか。

質問④
ホルモン療法を中断した場合、卵巣の腫れが落ち着くまではどのくらい時間が
かかりますか?個人差があるかと思いますので、だいたいで構いません。

質問⑤
婦人科の先生からは、6センチでは十分適用サイズとのことで腹腔鏡下での摘出手術を
勧められたのですが、できれば手術はしたくありません。
タモキシフェンの中断で、
手術を回避できる可能性は高いですか?

お忙しい中恐れ入ります。
どうぞよろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

タモキシフェンは子宮に刺激(子宮筋腫や内膜症の原因となる)するし、卵巣を刺激して卵巣腫大をときどき引き起こします。

「筋腫やポリープも、今まで一度も診断されたことはありませんでしたが、それもやはりタモキシフェンが原因である可能性は高いですか?」
⇒可能性は十分にあります。

「エストラジオール値が高い状態でタモキシフェンを止めることは、乳がんの予後において危険ですか?」
⇒無関係です。
 タモキシフェンを止めるだけでなくリュープリンを行えばE2値は低下します。

「この可能性はありますか?もしそうであるなら」
⇒違うと思います。
 そんな珍しいものを思い浮かべるより、物事はシンプルに考えるべきです。(あくまでもタモキシフェンによる卵巣刺激⇒E2高値と考える方が自然です)

「ホルモン療法を中断することによりエストラジオール値も下がる可能性がある」
⇒おそらく下がります。

「ホルモン療法を中断した場合、卵巣の腫れが落ち着くまではどのくらい時間がかかりますか?個人差があるかと思いますので、だいたいで構いません。」
⇒最近で同様のケースでタモキシフェンを中止した人が居ましたが…
 タモキシフェン中止後、1カ月後に卵巣は戻っていました。(婦人科医からは、何も異常ありませんね。とサラリと言われたそうです)

「タモキシフェンの中断で、手術を回避できる可能性は高いですか?」
⇒非常に高いです。
 LH-RHagonistを使えば、更に確実です。(そのような話を、先日の外来受診時にした筈ですが…)

 
 

 

質問者様から 【質問3 】

肺転移→摘出→縦隔リンパ節&骨転移
性別:女性
年齢:50歳
病名:
症状:
投稿日:2021年6月25日

田澤先生、ごぶさたをしております。

2019年末に肺に転移が見つかり、翌2月に摘出手術。
腫瘍は取りきれましたが、当然
抗HER2療法を強く勧められました。
その時もやはり抗がん剤が怖く、ホルモン治療
だけは続けたいとタモキシフェンを再開。

リュープリンも継続。

しかし昨日、PETにて縦隔リンパ節&左腸骨転移がみつかり、これはもう仕方ないと抗HER2療法に挑戦することにしました。

主治医は乳腺専門ではないため、田澤先生に指示を仰ぎたいのですが、外来の予約は1ヶ月待つとHPに記載があったため、こちらで質問させていただきます。

抗がん剤を避けてきた結果、遠隔転移を招き後悔をしていますが、まだ見込みはあるでしょうか。
また、先生のお勧めのレジメンがあればお聴きしたいです。
嘔吐恐怖があるため、できれば副作用のできるだけ少ない方法が希望です。

あるあるQで拝見したトモセラピーにも興味があります。
どのように治療をすすめていくのが効果的でしょうか?
また、やはり江戸川に戻りたいとなった場合、1ヶ月待ちでも治療が間に合うでしょうか。

勝手ばかりの患者ですが、どうぞよろしく
お願いします。

 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは田澤です。

「嘔吐恐怖があるため、できれば副作用のできるだけ少ない方法が希望」
⇒一番副作用が軽いのはeribulinですが、さすがに「taxane」未治療であればtaxaneを選択することになります。

Trastuzumab+pertuzumab+paclitaxel(taxane)となりますが、(同じtaxaneでもdocetaxelは副作用を強く感じる可能性があります)12回程度(毎週投与です)であれば問題なく完遂できると思います。

上記抗がん剤⇒放射線(tomotherapy)でcCRを狙いましょう。 cCRとなってしまえば(抗がん剤抜きで)分子標的薬であるtrastuzumab+pertuzumabを(その後に)継続しましょう。

 
 


 

質問者様から 【結果4 】

ハーセプチン+抗がん剤の適用について
性別:女性
年齢:50歳
病名:
田澤先生の診察:[診察あり]
田澤先生の手術:[手術あり]

田澤先生、いつもありがとうございます。

7/(中旬)(〇)抗HER2療法1クール目

●TC療法(ドセタキセル+エンドキサン)
●ハーセプチン

こちらの病院では、TC療法でのタキサンはドセタキセルのみとのことでした。分子標的薬のパージェッタは使えるのか?質問をしたところ『薬価が高いよ』と言われたのでとりあえず保留。副作用はほぼなく吐き気もなし。白血球が下がってきたころ倦怠感、筋肉痛、下痢症状あり。

その後白血球の値を上げる注射を打ちに行った際に『パージェッタ保険適用できる。ご主人と相談して』と言われ、主人と話し合い。高額療養費制度を活用できそうなので、次回からパージェッタをお願いすることに決定。白血球の値が正常になり諸症状は改善。

8/(上旬)(〇)2クール目

●ドセタキセル
●ハーセプチン
●パージェッタ

今回はエンドキサンを抜いたためかさらに副作用は感じられず(脱毛はあり。ウィッグデビュー)、多少の倦怠感と下痢のみ。白血球の減少もゆるやかでした。さらに、抗がん剤終了後に放射線治療を希望している旨を伝えたところ『適用あります』とのことでしたので、江戸川病院でトモセラピーをお願いすることになりそうです。ここへきて田澤先生のお勧めコースと完全一致してひと安心!トモセラピー終了後にはハーセプチンとパージェッタを引き続きこちらで続ける旨を確認し、2クール目終了。近々江戸川病院の放射線科に予約のタイミングを問い合わせる予定です。

<Q&A結果>