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抗がん剤治療について

[管理番号:3559]
性別:女性
年齢:40歳
田澤先生、こんにちは。
初めて質問させていただきます。
よろしくお願いいたします。
8月に右乳房温存手術を行いました。
31mm大。
核異型度グレード3〈核異型2、核分裂3〉。
Her-2 陰性、ER 3b、PgR 3b、増殖能 中~高、断端 陰性、EIC 陰性。
ルミナールAとのことですが、判断が微妙でありルミナールBの可能性も
なくはないとのことです。
ルミナールBだと抗がん剤治療も追加とのこ
とですが、やはり抗がん剤治療も行うべきなのでしょうか。
悩んでおります。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
ルミナールA(抗癌剤は不要)とルミナールB(抗癌剤が必要)を分けるために、現在一般的に行われいるのは「Ki67の免疫染色」です。
この値が低い場合には「ルミナールAとして抗がん剤が不要」
高ければ「ルミナールBとして抗がん剤は不要」
となります。
○本来は「496もの遺伝子群の発現パターンによる分類」を『簡易的に4個(ER, PgR, HER2, Ki67)の免疫染色に簡便化』したものであり、どうしても大きな誤差が生じます。
 その誤差を埋める手段の一つがOncotypeDXです。
 これは(ER, PgR, HER2, Ki67を含む)16の癌関連遺伝子及び5の対照遺伝子の発現で、「より本物のサブタイプ分類に近付けた」と考えます。
「ルミナールAとのことですが、判断が微妙でありルミナールBの可能性もなくはないとのことです。」
⇒今回の病理結果の記載にはKi67が見当たりません。
 「判断が微妙」という記載からは(実際は)Ki67=20%前後なのでしょうか?
「ルミナールBだと抗がん剤治療も追加とのことですが、やはり抗がん剤治療も行うべきなのでしょうか。」
⇒もしも、どうしても迷うのであればOncotype DXするといいと思います。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生、こんにちは。
前回管理番号3559抗がん剤治療について質問させていただきました。
ご回答いただきありがとうございました。
本当に勉強になります。
少し説明不足がありまして申し訳ありませんでした。
増殖能がKi67のことでした。。
Ki67は中~高と示されておりました。
実際は数値ででているけど、病理検査段階で、○%~○%は中というような判断をしていたりするのでしょうか。
Ki67は必ず数値ででるものなのでしょうか。
Oncotype DXは最近はされる方は多いのでしょうか。
保険適用外とのことで。。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「Ki67は中~高と示されておりました。実際は数値ででているけど、病理検査段階で、○%~○%は中というような判断をしていたりするのでしょうか。Ki67は必ず数値ででるものなのでしょうか。」
⇒これは単純な話です。
 昔(今でも?)紅白歌合戦で紅組と白組の勝敗を判断するために「日本野鳥の会」の方達が「カチャカチャ」指で押して数えていましたね?(覚えていますか?)
 このKi67の計測はまさにコレなのです。
 実際に病理医が1000個近くの癌細胞を(野鳥の会の人達のように)カウントして(Ki67を染色する試薬に染まっているかどうか)判定しているのです。
 だから、病理医にとってはかなりの負担であり、「この作業で導かれた結果に責任を全面的に負いたくない」という意識から「結果をあいまいにしたがる」傾向にあります。
 
 想像してみてください。
 自分が「カチャカチャ」した結果の数え間違いが、ある患者さんの「化学療法をするかどうか」を決めることになるかもしれないのです。
 その精神的な負担たるや、大変なものです。
 「少しでもファジーにさせてくれ」となりますよね?
「Oncotype DXは最近はされる方は多いのでしょうか」
⇒多いです。
 江戸川では特に増加しています。(乳がんプラザで紹介していることが理由でしょう)
 前回の回答にコメントしたように…
 ○本来は「496もの遺伝子群の発現パターンによる分類」を『簡易的に4個(ER,
PgR, HER2, Ki67)の免疫染色に簡便化』したものでは、どうしても大きな誤差が生じます。
 その誤差を埋める手段の一つがOncotypeDXです。
 これは(ER, PgR, HER2, Ki67を含む)16の癌関連遺伝子及び5の対照遺伝子の発現で、「より本物のサブタイプ分類に近付けた」と考えます。