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抗がん剤治療についての質問

[管理番号:3303]
性別:女性
年齢:68歳
68歳の母が今年6月(中旬)日に左乳房温存手術をしました。
手術の結果や今後の治療について以下に記載します。
センチネルリンパ節に1個転移(1.7ミリ)あり
リンパ節転移なし
腫瘍1.8センチ
ER:J -score3bで陽性
Allred score 3+5=8
PR:J-score0で陰性
Allred score0
Her2:境界域(2+)
Ki67:40%
サブタイプがルミナルb
体重 37キロ
身長 147センチ
今後の治療は抗がん剤4回投与→放射線治療→ホルモン療法(5年)を順番にするとのことでした。
追加で抗がん剤治療を4回でき、効果が少し上乗せになるとのことです。
4回にするか、8回にするか決めてくださいとのことでした。
そこで、田澤先生にお聞きしたいのは、以下の三点です。
よろしくお願い致します。
①Her2が2+はfish法で確認した方が良いのでしょうか。
今からでも問い合わせればできるものでしょうか。
②ホルモン療法と放射線治療のみで抗がん剤をしなかった場合、4回抗がん剤をした場合、8回抗がん剤をした場合で具体的にどのくらい再発する確率を減らせるのでしょうか。
③母の68歳という年齢や、若い頃から体を酷使して働いてきたため、疲れやすく、体力があまりないように思います。
抗がん剤を投与して、再発するリスクを下げたい反面、抗がん剤によって体力が消耗され生活の質が落ちることが心配です。
また、4回投与がいいのか、8回が母にとってベストなのかで悩んでおります。
母にとってどのような治療を選択することが標準治療だと田澤先生はお考えになりますか。
お忙しい中、申し訳ありませんが、教えていただけると助かります。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
pT1c(18mm), pN0, luminal typeですね。
Ki67=40%であれば「ホルモン療法+抗ガン剤」とはなりますが…
しかし、実際に私なら「同提案するか?」と考えると
 70歳以上での「術後化学療法によるベネフィットは証明されていない」という事をお話し(質問者は68歳ではありますが)『早期だし、ホルモン療法単独で行きましょう』と勧めると思います。
♯今では、変に「サブタイプの考え方」が浸透していますが、これが15年前だったら「100人の医師の100人ともがホルモン療法単独で迷わなかった」筈です。
 そして(ここが大事ですが)実際に、それ(抗癌剤をしなかったこと)で後悔する事は殆ど無かったでしょう。
 
「追加で抗がん剤治療を4回でき、効果が少し上乗せになるとのことです。4回にするか、8回にするか決めてくださいとのことでした。」
⇒この医師は完全に「バランスを欠いている」様です。
 そもそも上記コメントのように「抗がん剤をすべきか?(提案されているのはTCですよね?)」というところであり、「4回か、8回か?」という問題ではありません。(8回など、もっての他です)
 
「①Her2が2+はfish法で確認した方が良いのでしょうか。今からでも問い合わせればできるものでしょうか。」
⇒当然すべきです。
 (陰性となる可能性が圧倒的に高いですが)万が一「FISH陽性」となっても「必ずしも抗ガン剤をすべきか?」となると疑問点があります(冒頭の理由です)
 ただ、今後の参考として「確認しておくべき」とは思いますし、(luminalBとして抗がん剤をするよりは)HER2陽性ならば抗HER2療法を検討してもいいでしょう。
 
「②ホルモン療法と放射線治療のみで抗がん剤をしなかった場合、4回抗がん剤をした場合、8回抗がん剤をした場合で具体的にどのくらい再発する確率を減らせるのでしょうか。」
⇒グレードの記載がないので数字はだせません。
 ただ、68歳という年齢からは「どちらにしても信頼できる数字とはならない(もっと若年でのデータとなるのです)」ことは間違いありません。
 また「4回vs8回」は殆ど差はないでしょう。
 
「また、4回投与がいいのか、8回が母にとってベストなのかで悩んでおります。」
⇒そもそも「抗がん剤をすべきか?」もう一度考えてみましょう。
 
「 母にとってどのような治療を選択することが標準治療だと田澤先生はお考えになりますか。」
⇒ホルモン療法単独です。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生
前回のご回答、本当にありがとうございました。
母の年齢や体力を考えてくださった上でのホルモン療法単独を提案して頂き、
心強く思いましたし、とても安心しました。
さて、グレードですが、主治医に確認したところ、グレードは3ということでした。
また、Her2はfish法をしており、陰性とのことでした。
抗がん剤については、おそらくTC療法かと思われます。
乳腺外来がない病院のため、抗がん剤治療については、主治医ではなく、大学病院から
月2回来る先生が担当になるため、現段階で確認できず、すみません。
検査結果を頂きましたので、以下に記載致します。
核異形スコア3
核分裂スコア2
腺管形成スコア3で核グレード3
組織学的グレード3
センチネルリンパ節1.7ミリの転移あり
レベル1リンパ節転移なし
(0/14 , pT1c, f , ly1 , v0 , pN0(0/14) pN1mi
(sn))
そこで、今回の質問です。
よろしくお願い致します。
①グレードが残念ながら高いのですが、それでも前回ご回答いただいた通り、ホルモン療法単独が
母にとって標準治療でしょうか。
②母の結果で、ホルモン療法単独の場合、またはホルモン療法に加えて4回の抗がん剤投与をした場合、
それぞれの今後の再発率、生存率を教えてください。
③担当医からは抗がん剤投与を行う場合、抗がん剤後、放射線治療をしてから、ホルモン療法という
順番を提案されていますが、これで大丈夫でしょうか。
ホルモン療法が効果があるタイプなのにも関わらず、今何も治療をしていないことも不安です。
また、他の方の回答で、抗がん剤とホルモン療法を併用した方が良いという内容を拝見しました。
そのようなことを主治医に相談してみたほうが良いのでしょうか。
他の方の質問でも同様の内容があり、勉強させていただいておりました。
先生の経験に基づいた的確で具体的な数字での分かりやすいご回答や、患者に寄り添った真摯な対応に、
尊敬の念と、感謝の気持ちでいっぱいです。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「①グレードが残念ながら高いのですが、それでも前回ご回答いただいた通り、ホルモン療法単独が母にとって標準治療でしょうか。」
⇒グレードは無関係です。
 
 前回、回答したように…
 ルミナールタイプBなので抗ガン剤が標準治療とはなります。
 ただ、私がそれでも「ホルモン療法単独を勧める」のは「68歳という年齢」です。
 絶大な効果がある事が解っている「最良のターゲット療法である抗HER2療法」ならまだしも、『あくまでも、ホルモン療法が主役であるルミナールタイプで抗ガン剤を上乗せするかどうか?』となると、
 「年齢が重要な要素となる」ということです。
「②母の結果で、ホルモン療法単独の場合、またはホルモン療法に加えて4回の抗がん剤投与をした場合、それぞれの今後の再発率、生存率を教えてください。」
⇒先週から「NewAdjuvant.comに繋がらない」状況です。
「③担当医からは抗がん剤投与を行う場合、抗がん剤後、放射線治療をしてから、ホルモン療法という順番を提案されていますが、これで大丈夫でしょうか。 ホルモン療法が効果があるタイプなのにも関わらず、今何も治療をしていないことも不安です。」「 また、他の方の回答で、抗がん剤とホルモン療法を併用した方が良いという内容を拝見」
⇒ホルモン療法は「抗ガン剤や放射線と併用」しても一向にかまいません。(私自身は、昔のデータよりアンスラサイクリンとタモキシフェンの併用だけは避けています)