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浸潤性微少乳頭癌の抗がん剤使用について

[管理番号:2988]
性別:女性
年齢:38歳
田澤先生、始めまして。
2月に癌告知を受けて以降、こちらを拝見させて頂き勉強をしておりましたが、病理検査で初めて不安になり質問させて頂きます。
私は独身で出産経験もないため、卵子凍結を経て下記の運びとなりました。
4月下旬に右鏡視下乳房部分切除手術。
術前はステージ1で抗がん剤不要のコースと説明を受けていたのですが…病理検査の結果が下記となり、TC療法の追加を勧められました。
浸潤性乳頭乳腺癌25*16*14mm
浸潤性微少乳頭癌65*30*15mm
浸潤範囲gf
脈管侵襲ly3,v0
リンパ節pn1(sn)(1/2)
Nuclear grade2
ER+,PgR+,HER2 1+,ki-67〈10%
勧められた要因は元の腫瘍が結果2cm以上でリンパ菅侵襲の散財性が強くあり、また30代なので総合的に抗がん剤をする価値が出てしまったとのこと。
そのため、下記3点について質問させて頂きたく。
①上記の場合、TC療法の追加価値はあるのでしょうか?
②また先生のご診断の場合でも抗がん剤提案となりますか?
③抗がん剤可否について、具体的な再発率や生存率の差異は何%なのでしょうか?
長文となり申し訳ありません。
今月中に1度可否を返答のため、先生のご意見を頂戴したく。
組織染色の結果は抗がん剤不要のままで行けるラインだったので、大きな副作用を受けてまで再発の抑止力になるのか不安です。
以上、どうかよろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
まず重要な事は
①質問者は明らかなルミナールAであるということ
②ルミナールAでは「腫瘍径が大きい」「リンパ節転移陽性」などの場合でも「化学療法によるベネフィットがなかった」ことがSABCS2015で発表されています。
 これについては、St. Gallen 2015のvomitingでも「リンパ節転移4個以上」がルミナールAでの化学療法の基準という意見が最多でした。
 
「元の腫瘍が結果2cm以上でリンパ菅侵襲の散財性が強くあり、また30代なので総合的に抗がん剤をする価値が出てしまったとのこと。」
⇒全く根拠薄弱です。
 ②に示すように、「腫瘍径とは無関係」にルミナールAでは化学療法の有用性はありません。
 また「30代」という年齢は抗ガン剤の適応とは無関係
 ly因子は、「あくまでも局所」なので「放射線照射の参考」としてください(もともと温存なので放射線照射するのだから、それでいいのです)
 
「①上記の場合、TC療法の追加価値はあるのでしょうか?」
⇒上記でコメントした通り、無いと思います。
 
「②また先生のご診断の場合でも抗がん剤提案となりますか?」
⇒ホルモン療法単独です。
 タモキシフェン+LH-RHagonist併用とします。
 
「③抗がん剤可否について、具体的な再発率や生存率の差異は何%なのでしょうか?」
⇒再発率は10%、生存率は5%とでますが…
 上記理由により「化学療法の効果には疑問」があります。
 もしも迷うなら「OncotypeDX」を使ってみてもいいとは思います。