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抗癌剤

[管理番号:2865]
性別:女性
年齢:37歳
はじめまして。
37歳、出産2回です。
よろしくお願いします。
3日前に右胸、上左、胸の盛り上がりはじめ辺りにしこりを発見しました。
かたく、自分では押すと動くと思っています。
翌日乳腺科へ行き、マンモ、エコー、針検診を行い結果待ちです。
先生は、まだ癌とも言えないが、ほかっておけないので調べると言われました。
今思えば、仕事で片膝を立てた時、右胸に足が当り激痛があったり、授乳する時のような胸のはりもありました。
母が5年前に右胸全摘、リンパも取りました。
私は5年前からヤーズを飲み続けています。癌なら治療して行くし
かないと思っています。
しかし、まだ子供も小さく人に会う機会が多いため、抗癌剤だけは避けたいと思っています。
(脱毛に耐えれないため)もし癌だった場合、抗癌剤をやらなくても大丈夫な治療はありますか?
しこりの大きさは先生が定規で測った時は2センチないと言われましたが、私は2センチ以上あるようにおもいます。
リンパの腫れはエコーを見る限りではないと言われました。
よろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「まだ癌とも言えないが、ほかっておけないので調べる」
⇒確かに、非常に気になる症状です。
 
「しこりの大きさは先生が定規で測った時は2センチない」
「リンパの腫れはエコーを見る限りではない」
⇒十分、早期です。
 cT1, cN0, cStage1 大丈夫です。
 
「もし癌だった場合、抗癌剤をやらなくても大丈夫な治療はありますか?」
⇒サブタイプによって決まります。
 乳癌の治療は「局所療法(胸をどうするか?)手術±放射線」と「全身療法(内服や点滴などで全身の再発を予防)ホルモン療法、抗ガン剤」に明確に分けてください。
  つまり「局所療法をどうするのか」(部分切除して放射線をかけるのか?
それとも全摘するのか?)と「全身療法をどうするのか」(ホルモン療法?抗ガン剤?)は全く別(独立したこと)となります。
 ○そして全身療法はサブタイプによって決まるのです。(基本的に進行度=ステージとは無関係です)
 
 (参考に) ◎サブタイプとは?
  組織検査(針生検や手術標本)などで以下の3点を調べます。
   エストロゲンレセプターの発現(ER)
プロゲステロンレセプターの発現(PgR)
HER2蛋白の過剰発現の有無(HER2)
⇒これらの組み合わせで
     ●luminal type:(ER陽性、PgR陽性、HER2陰性) ホルモン療法が有効(更に増殖指数Ki67の値が低いAと高いBに分けます)
       ♯luminalA(Ki67低値)ではホルモン療法単独を、luminalB(Ki67高値)には(ホルモン療法に加え)化学療法も行う事が多い
     ● HER2 type:(HER2陽性のもの) ハーセプチンという分子標的薬と通常の抗癌剤の組み合わせを行う
     ●トリプルネガティブ:(ER陰性、PgR陰性、HER2陰性)通常の抗癌剤を行う
     ● トリプルポジティブ:(ER陽性、PgR陽性、HER2陽性)ホルモン療法と分子標的薬と抗癌剤の全てを行う
        ※正式名称はluminal B(HER2タイプ)と言います。
 ○お解りでしょうか?
   今回行った「針生検」で必ず『ER, PgR, HER2』が解るので、上記に当て嵌めて考えてください。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

先日は親切な回答本当にありがうございました。
とても勉強になりました。
その後ですが、今月初めに乳癌と診断されました。
CT.MRIを行い昨日結果が出ました。
転移なし。
 しこりの大きさ1.5センチ(エコー) 浸潤がん
病期 Ⅰ
組織的悪制度 3
エストロゲン 8/8
プロエストロゲン 7/8
HER2蛋白 1
Ki67 20%以上(先生の字が読みにくく320%とも読めるんのですが、そんな数値ありますか?)
サブタイプ ルミナールBと診断されました。
しこり以外に石灰化?が見られるので全摘。
手術の前にセンチネルリンパ節生検をやると言われたのですが、みなさんやられるものですがリンパへの転移が疑わしいためやるのですか?
手術は6月末以降になりそおうですが、遅くないですか?
ルミナールBで抗癌剤(3ヶ月)をやった方がいいと言われたのですがどぉですか?
私が気になっているのは、悪制度3,母親も乳癌歴ありなので、抗癌剤はやった方がいいのですか?
乳房同時再建を迷っています。
ティシュエキスパンダーだそうですが、圧迫感があると聞きました。
先生はすすめますか?
よろしくお願いします。
 

田澤先生から 【回答2】

「サブタイプ ルミナールBと診断されました。」
⇒20%以上で「ルミナールB」とは乱暴な判断です。
 Ki67は10-30%がグレーゾーンと言われています。
 
「手術の前にセンチネルリンパ節生検をやると言われたのですが、みなさんやられるものですが」
⇒センチネルリンパ節生検は標準術式です。
 当然行います。
 ○ただ「手術の前」とは、同日ではないのですか?
 通常は同日にそのまま行います。(わざわざ前日に行う必要はありません)
 
「リンパへの転移が疑わしいためやるのですか?」
⇒違います。
 画像診断ではわからない転移がありえるので、行うのです。
 ○むしろ「リンパ節転移を疑う」場合は「センチネルリンパ節生検をせずに」最初から「郭清」します。
 
「手術は6月末以降になりそおうですが、遅くないですか?」
⇒どこも混んでいるので仕方がないと思います(十分許容範囲内です)
 
「ルミナールBで抗癌剤(3ヶ月)をやった方がいいと言われたのですがどぉですか?」
⇒「20%以上」というグレーゾーンを、その理由にするのには反対です。
 「20~30%」とか「30%~40%」とか、摘出標本でもう少し「細かい値を確認」してから決定すべきです。
 
「私が気になっているのは、悪制度3,母親も乳癌歴ありなので、抗癌剤はやった方がいいのですか?」
⇒それらは無関係です。
 
「乳房同時再建を迷っています。ティシュエキスパンダーだそうですが、圧迫感があると聞きました。先生はすすめますか?」
⇒再建希望があり、日程が合えば、問題無いと思います。