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抗がん剤について

[管理番号:2713]
性別:女性
年齢:56歳
田澤先生、初めまして。
先生の丁寧なQ&Aやコラムを拝見させて頂き、
病気に対して冷静に向き合えるようになってきました。
去年温存手術して、病理結果から、
抗がん剤: AC 4回
放射線: 25回
ハーセプチン: 18回
の治療に決まり、現在ハーセプチン治療中です。
病理結果は、
Breast, left,
partial resection: invasive ductal carcinoma, papillotubular type, 6 x 8 x 7 mm, intraductal spread (+, 15 x 15 x 7 mm), f, ly1, v0, Nuc. Grade 3, surgical margin invasion (-)
Lymphnode: negative for metastasis (0/1)
ER: J score 0
PgR: J score 0
Ki-67 Ll ≒50%
HER2: 陽性(3+)
「今週のコラム19回目 「つまり「術前化学療法を行う理由」として「効果の有る薬剤を調べる」というのは、『ナンセンス』なのです」を読み、私の抗がん剤治療に疑問を持ちました。
同じ病院の患者仲間にはTCの人もいれば、ACの後、別の抗がん剤+4回の人もいます。
効果はTC>AC なのですよね。
私はAC4回で良かったのでしょうか?
どんな理由が考えられますか?
どうぞよろしくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
pT1b(8mm), pN0, HER2 typeですね。
超低リスクです。
今週のコラムを読んでいただき、ありがとうございます。
「抗HER2療法の非アンスラサイクリンレジメン」まさに、質問者のような「低リスク」のためにあるのです。
「私はAC4回で良かったのでしょうか?どんな理由が考えられますか?」
「ACx4」⇒「HER単剤x18」というレジメン
 とても興味深いです。
 抗HER2療法のgolden standardは「アンスラサイクリンx4」⇒「タキサン+HERx4」⇒「HER単剤x14」です。
 ここから、「低リスクに対するレジメン」は通常「アンスラサイクリンを抜く」ように推移しています。(所謂非アンスラサイクリンレジメン)
 ○質問者は、これに対し「アンスラサイクリンを残し」「タキサンを削る」という方法になっています。(通常の考え方は逆だと思いますが…)
 かつての「FEC療法全盛」の名残り「アンスラサイクリン最強説」が頭から離れないのだと思います。
 ♯同様の例として、(HER2-の患者さんに対して)TCではなく、敢えて「FECやAC」をやる医師はいまだに少なからずいます。