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抗がん剤治療について

[管理番号:2612]
性別:女性
年齢:51歳
お世話になります。
抗がん剤治療について悩んでおります。
治療経過等は以下の通りです。
51歳 閉経しております。
2015年10月 乳ガン見つかる。
全検診より2年。
しこりも感じたため、受診。
11月 手術 腫瘍摘出。
術中の検査でリンパ節転移が見つかり、駅かリンパ節郭清をー行う。
乳頭の近くではあったが、乳房温存手術。
12月~1月 放射線治療 乳房の中心と鎖骨付近の2箇所、25回、更に乳頭付近を5回追加照射。
2016年2月より タモキシフェン服用。
腫瘍の大きさ 1.5×1.3 センチ。
リンパ節の転移数 2/10
浸潤がん
ホルモン反応性は、エストロゲンのみ陽性
異型度 グレード1
脈管浸潤あり、
HER2 +3 (針生検)
FISH法 陰性 増殖なし。
当初、ハーセプチン+抗がん剤の治療を主治医より言われておりましたが、FISH法陰性とのことでハーセプチン治療がなくなりました。
ただ、転移があったことと、ホルモン感受性がエストロゲンのみでしかも強陽性ではなく、プロゲストロンへの反応性はマイナスだったこともあり、抗がん剤治療をすすめられています。
頭では、したほうがいいと思っています。
ただ、できればしたくないという希望もありました。
また、私自身が大変な怖がりであり、抗がん剤のことを考えると過呼吸を起こしてしまうのではないかという不安があり、主治医に伝えたところ、セカンドオピニオンに行ってくることを勧められ大学病院を受診しました。
現在は、地域 中核病院です。
そこでこれまでは手術、治療をしています。
結果、主治医からすすめられていた抗がん剤治療よりも更に長期で強いお薬をすすめられてしまいました。
主治医からはアブラキサンの抗がん剤を3週に一度,4回の治療と言われていました。
しかし、セカンドオピニオンでは、それでは弱すぎのため、FECを3週に一度4回した上で、タキソテールをすることをお勧めすると言われました。
また、ホルモン剤に関しても、タモキシフェンではなく、アロマターゼインヒビタ、アリミデックス、フェマーラを勧められました。
また、厳しい抗がん剤治療なので、腫瘍内科での治療が良いのでは?とも言われました。
先生によってこれほどまでにおっ しゃることが違い、悩んでおります。
ご意見を伺えればと思っております。
けれど、やはり、私は娘たちのためにも、ちゃんと、抗がん剤治療を受け、可能性を少しでも減らさないといけないんだという気持ちになれたことは、セカンドオピニオンを受けてよかったと思っております。
こちらでの先生のコメントは、いつも患者さんへの思いやりを感じておりましたので、先生からもご意見を伺い、前に進んでいきたいと、勇気を出して質問させていただきました。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
pT1c(15mm), pN1, luminal, NG1
「主治医からはアブラキサンの抗がん剤を3週に一度,4回の治療と言われていました。」
⇒アブラキサンは術後補助療法の適応外です。
 
「しかし、セカンドオピニオンでは、それでは弱すぎのため、FECを3週に一度4回した上で、タキソテールをすることをお勧めすると言われました。」
⇒これはいわゆる「アンスラサイクリン+タキサン」であり、抗がん剤ではgold standardではあります。
 
「また、ホルモン剤に関しても、タモキシフェンではなく、アロマターゼインヒビタ、アリミデックス、フェマーラを勧められました。」
⇒当然アロマターゼインヒビターです。
 そもそも、なぜ「タモキシフェンを勧めたのか?」全く理解不能です。
 
「また、厳しい抗がん剤治療なので、腫瘍内科での治療が良いのでは?とも言われました。」
⇒普通の抗がん剤です。
 腫瘍内科の方がいいとは(私は)思いません。
 
「ご意見を伺えればと思っております。」
⇒医師によって「言う事が異なって困る」という中では言いにくいのですが…
 私であれば「ホルモン療法単独」とします。
○Ki67を測定していないので、不明ではありますが、NG1より「luminalA」と考えます(プロゲステロンは考慮しません)
 そうすると、「リンパ節転移2個では、化学療法の上乗せ効果は乏しい」と考えます。St. Gallen 2015 voting結果より
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生、ありがとうございます。
私の不十分な情報、乏しい知識に加え、質問の文章も誤字が多く、申し訳ありませんでした。
そのような質問に対しても、ご丁寧にそして迅速にご対応いただき、うれしく思いました。
本当に、ありがとうございます。
私の病状は、田澤先生の御診断はluminal Aということでしたが、主治医、セカンドオピニオンの医師共にluminal Bという診断でした。
ステージはⅡAです。
手元にはないのですが、主治医のパソコンにKi67は20%とあったように思います。
(もしかするともう少し高値なのかも知れません。確認します)
核異型 スコア2
核分裂像 スコア1
でした。
ホルモン剤に関しては私も実は疑問に思っておりました。
関係のない症状かも知れませんが、薬を飲み始めてからオリモノが再び始まったりとむしろ女性ホルモンの働きが活発になってきたのでは?と思うこともあり、不安でした。
ただ、主治医は骨粗鬆症を心配していたので、今服用しているタモキシフェンを選んでくれたのかとも思っていました。
アロマターゼインヒビターに変更をお願いしようと思います。
私がluminal Bであったとすれば、田澤先生でしたら、アンスラサイクリン+タキサンの治療を推奨されますでしょうか?
医学の知識がないものがいうべきことではないのですが、そこまでの治療が私に必要なのかどうなのか、まだ納得できないでいます。
抗がん剤の必要性の有無、もし必要であるならば、具体的な抗がん剤についてもアドバイスいただけるようお願いいたします。
家族は、抗がん剤で再発の可能性を極力小さくしてほしいと願っているようです。
私は、抗がん剤治療がとても怖く、できればしたくないと思う気持ちと、再発を避けるために、抗がん剤治療を受けなければという気持ちの中で不安になっているのが現状です。
自分の年齢を考えると、いい大人なのに・・・と自分自身を情けなく思うこともあります。
実は、主治医は一時期はホルモン療法単独という意見も提示してくれていました。
ただ、腫瘍が乳頭に近く、腫瘍周辺の切除が十分にとれていないこと、転移があること、エストロゲンのみの陽性であり、ホルモン剤だけでは弱い、この不安要因から、後悔のないようにと抗がん剤治療を進めてくれています。
切除した断面は、悪性の所見は認められていないです。
どうぞよろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
前回「私であれば「ホルモン療法単独」とします。
○Ki67を測定していないので、不明ではありますが、NG1より「luminalA」と考えます(プロゲステロンは考慮しません)
そうすると、「リンパ節転移2個では、化学療法の上乗せ効果は乏しい」と考
えます。St. Gallen 2015 voting結果より」と回答しました。
「私がluminal Bであったとすれば」
⇒私の判断は「前回、回答したように」luminalAです。
 「もしもluminal Bであったら」という質問には(失礼ですが)回答できません。
 
「抗がん剤の必要性の有無、もし必要であるならば、具体的な抗がん剤についてもアドバイスいただけるようお願いいたします。」
⇒(前回、回答したように)私であれば「ホルモン療法単独」とします。
 
「腫瘍が乳頭に近く、腫瘍周辺の切除が十分にとれていない」
⇒これは術後療法(全身療法)とは無関係な要素です。
 局所は局所で対処(再切除もしくはBoost照射など)すべき問題です。
 
「転移があること」
⇒前回、回答したように「luminalAでは リンパ節転移4個以上でないと化学療法の追加」を私はしません。
 
「エストロゲンのみの陽性であり、ホルモン剤だけでは弱い」
⇒(前回回答したように)
 私は、そう思いません。