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抗ガン剤が必要か

[管理番号:5970]
性別:女性
年齢:60歳
初めまして。
宜しくお願い致します。
 昨年8月に検診で乳ガンの疑いを指摘され、検査の結果右乳房に2カ所癌(下記の表ⅠⅡ)が見つかり、右側の全摘手術を11月に行いました。
 マンモトームによる術前検診の結果 Ki67が30% を超えているため抗ガン剤をやるこ
とになると言われ、覚悟していましたが、術後の病理検査では以下のような結果でホルモン療法のみの治療と診断され、ホルモン療法を12月に開始しました。
Ⅰ 浸潤性小葉癌 腫瘍径2.4cm Grade1 腫瘍周囲の脈管浸潤 ly 0 v 0
 リンパ節転移- ER +  PgR- HER2- Ki67 17%
病期分類T2  リンパ節転移NO 遠隔転移MO StageⅡA
          TypeルミナールB
Ⅱ非浸潤性乳管癌 腫瘍径0.6cm Grade1 腫瘍周囲の脈管浸潤 ly 0 v 0
リンパ節転移- ER +  PgR+ HER2- Ki67 15%
病期分類Tis リンパ節転移NO 遠隔転移MO Stage0   
TypeルミナールA
 抗ガン剤をやらなくてよいという説明に一旦は安堵しましたが、再発すると、延命治療しかないと言われ、再度色々調べ始めたところ、再発後の10年生存率はわずかに3.8%という結果を目にし、本当に抗ガン剤をやらなくてよいのか(上乗せ効果はない)のか不安になり、質問させていただくことに致しました。
 以下のことにつきまして、先生のご意見を伺いたく宜しくお願い致します。
①術後の病理検査2つの癌のKi67 は17%と14%でした。
術前のマンモトーム検査の結果はKi67が30%で抗ガン剤が必要と言われていましたが、この術前の検査結果のことはまったく考慮しなくてよいのでしょうか。
主治医の話では術後の病理検査を主体に考えるということでした。
(マンモトームで採取した細胞の中に30%の増殖能を持つガン細胞が存在していたわけで、全摘したとはいえ、浸潤性の癌だったわけで、血管からその増殖能をもった細胞が全身にまわって体内に残っているかもしれないと考えてしまうのですが、そう考えるのは間違いでしょうか。
またKI67~%(病理検査での17%とか14%)というのは採取したガンの何カ所かの細胞の増殖能の平均の数値ということでしょうか。)
②2カ所のうち、大きい方の癌はタイプがルミナールBと判断されましたが、その根拠はPgRが-と腫瘍径が2.4センチという結果からでしょうか。
それ以外は全部ルミナールAに相当すると思うのですが。
やはりルミナールBになるのでしょうか。
③ルミナールBの場合、抗ガン剤もプラスされる事が多いようですが、私の場合はルミナールBでありながらホルモン療法のみと判断されましたがそれでよろしいのでしょうか。
(主治医によるとタイプだけで考えるのではなく、ホルモン受容体、浸潤とかリンパ節転移など総合的に考えて、ホルモン療法のみという判断になったという話でした。
セカンドオピニオンの先生の話ではルミナールAとBの間ということでした。)
④セカンドオピニオンの先生も「私ならやはりホルモン療法でいいと思います。」と言われました。
また、「心配ならOncotype DX検査をやってみてもいいと思います。」とも言われました。
私の病理結果ではOncotype DX検査をやはり受けてみた方がよいのでしょうか。
費用のことや、中リスクといった結果が出た場合にまた悩むことになるかと思うと考えてしまいます。
 また、これからOncotype DX検査を受け、1ヶ月ほど先の2月下旬の結果を待ち、
ハイリスクだった場合に抗ガン剤を開始するとして、3月過ぎになってしまうと思いますが、時期的に間に合うのでしょうか。
(昨年11月の手術です。)
⑤二つの癌うち一つの方が浸潤性小葉癌ということで、ホルモン受容体陽性の割合が
高いという説明を読みました(乳ガン関係のHP上で)。
小葉癌であることも、抗ガン剤をするかしないか、抗ガン剤の上乗せ効果と関係しているのでしょうか。
また小葉癌の場合、晩期再発多いと言う説明を読みました。
60歳という年齢も考慮してのホルモン療法のみという結果なのでしょうか。
⑥総合的に考えてのホルモン療法という診断でしたが、『化学療法の恩恵を受けることがあまりない上に、化学療法の大きな副作用を受けることになる』ため、効果と副作用のバランスからホルモン療法のみとなったと考えていいのでしょうか。
私の場合の抗ガン剤の上乗せ効果は何%位になるのでしょうか。
⑦治療方法のことではありませんが、退院後全摘した右側の肩、首のあたりが寝違えたようにな痛みを感じます。
最初は寝違えたためと思い様子を見てきましたが、手術後2ヶ月経過した現在も同じような症状が続いております。
手術と何か関係があるのでしょうか。
センチネルリンパ生検の結果郭清は行っておりません。
⑧BNCTについて
「放射線治療後に再発した乳がんや浸潤性も乳がんも治療対象です。
乳がん、炎症性乳がんは、BNCTで治療効果が得られるかもしれません」とありますが、全摘したあとの再発や遠隔転移のがんについてはいかがなものでしょうか。
また治療費等についてもわかりましたら教えて頂きたいと思います。
乳がん、炎症性乳がんは、BNCTで治療効果が得られるかもしれません。
たくさんの質問で文面も長くなり申し訳ありません。
できれば副作用のことを考えると抗ガン剤はこのまま行いたくありません。
主治医の意見でこのままホルモン療法のみでいきたいと思いますが、上記の不安もあり、先生のご意見をうかがいたく宜しくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
ⅠがルミナールBとなっていますが、Ki67=17%でルミナールBとは… (Oncotypeをやれば解りますが、Aです)
「この術前の検査結果のことはまったく考慮しなくてよいのでしょうか。」
⇒その通りです。
 Ki67は病変全体で見なければ「無意味」だからです。
「またKI67~%(病理検査での17%とか14%)というのは採取したガンの何カ所かの細胞の増殖能の平均の数値ということでしょうか。」
⇒そういうことです。
「②2カ所のうち、大きい方の癌はタイプがルミナールBと判断されましたが、やはりルミナールBになるのでしょうか。」
⇒ルミナールAです。
「③ルミナールBの場合」「セカンドオピニオンの先生の話ではルミナールAとBの間ということ」
⇒Aです。
「私の病理結果ではOncotype DX検査をやはり受けてみた方がよいのでしょうか。」
⇒『今週のコラム98~101』を見てもらえば解りますが…
今週のコラム 98回目 ♯このグレーゾーンを「AとBに分ける」ためにOncotypeDXがあるのです。
今週のコラム 99回目 ★グレードは「参考程度」ということでいいですね?
今週のコラム 100回目! 「若いから」抗ガン剤をしましょう。は過ちなのです。
今週のコラム 101回目 (Ki67が20代はluminal Aの可能性が圧倒的に高く)本当に「Aなのか、Bなのか迷うのは30代以降」と言えるのです。
 Ki67=17%では(私なら)わざわざOncotypeDXを勧めることはありません。(Aとしてホルモン療法とします)
 ただ、質問者がもしも「再発率が知りたい!」となれば、行う価値はあります。
「時期的に間に合うのでしょうか。」
⇒全く問題ありません。
「小葉癌であることも、抗ガン剤をするかしないか、抗ガン剤の上乗せ効果と関係しているのでしょうか。」
⇒組織型は無関係です。
「また小葉癌の場合、晩期再発多いと言う説明を読みました。」
⇒全く無意味な情報です。
「私の場合の抗ガン剤の上乗せ効果は何%位になるのでしょうか。」
⇒ルミナールAだから、3%未満と予想します。
「退院後全摘した右側の肩、首のあたりが寝違えたようにな痛み」
「手術後2ヶ月経過した現在も同じような症状が続いて」「手術と何か関係があるのでしょうか。」

⇒間違いなく…
 手術の影響です。(寒い時期には、特に起こり易い症状です)
「全摘したあとの再発や遠隔転移のがんについてはいかがなものでしょうか。」
⇒まずは「他の治療が第1選択」となります。
 BNCTはあくまでも(他の治療が功を奏さなかった)場合に考えるべき事です。
「また治療費等についてもわかりましたら教えて頂きたいと思います。」
⇒考え過ぎです。