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抗がん剤を使用した方が良いか

[管理番号:5023]
性別:女性
年齢:44歳
初めまして。
6月初旬に手術しました
病名 右乳房下外側部乳癌
診断 浸潤性乳管癌
手術名 乳房部分切除と腋窩リンパ節郭清
術後の病理検査の結果
浸潤癌の大きさは1.8CM
リンパ節 2/15
でステージ2a
エストロゲンレセプター +
プロゲステロンレセプター +
HER2 ー
Ki67 15.7→数値が高くも低くもない
核グレード2→胸のしこり顕微鏡上で10シェア(個)の内9個有り。
10個
有るとグレード3になるので3よりの2。
でルミナールB
と診断されました。
今後の治療方法で相談したくメールさせていただいました。
ホルモン治療だけで済むタイプではなさそう→手術前はルミナールA診断
リスクはあるが抗がん剤が効くタイプなのでやるとしたらEC療法3週間に1度を4回と、ドセタキセルを3週間に1度を4回。
その後ホルモン治療
と放射線治療するとの事でした。
抗がん剤をやるかは本人が決める事だが再発リスクは12%
手術前にリンパ節転移が2個ある事からもふまえ、今は他には転移していないがそのリスクを減らす為に抗がん剤をした方が良いのではないかとの話でしたが副作用のリスク等を考えると躊躇しています。
再発リスクを下げる為に抗がんは使用した方は良いでしょうか。
病理検査の結果のリストをもらえませんでしたのが、他に聞いておいた方が良い数値や内容はありますか。
他の方の質問を拝見させていただきますともっと%とかまで記入してあるので上記内容だけで大丈夫でしょうか。
よろしくお願いいたします
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
物事はシンプルに考えましょう。
OncotypeDXの存在で(St.Gallen 2017では、その存在意義がより明確になっています)
(効くか解らないけど)「抗癌剤をやってしまえ」という時代は終焉に近づいています。
○そもそも「Ki67 15.7→数値が高くも低くもない」というコメントには大変な驚きです。(沢山の症例を見ていれば、その値が十分すぎる位「低い」ことを実感している筈ですが…)
 Ki67≦20は「十分低い=ルミナールA」とする施設が大部分でしょう。
  
「ルミナールBと診断されました」
⇒??
 Ki67=15.7%でルミナールBの診断は、「ちょっと違う」と言えます。
 担当医が「言い張る」のであれば、「OncotypeDX」をして「動かぬ証拠」を見せてあげましょう。
 ♯ちなみに、「閉経前、リンパ節転移陽性でもOncotypeDXの適応」あります。(主治医が誤解していることも多いため念のため)トップベー時「お知らせ」内の『Oncotype DXで勘違いしていませんか??』をご参照のこと
「再発リスクを下げる為に抗がんは使用した方は良いでしょうか。」
⇒私であれば…
 Ki67=15.7%では(当然)ルミナールAとして「ホルモン療法単独」とします。
 ♯患者さんが不安に思う場合には積極的にOncotypeDXを推奨しています。
「病理検査の結果のリストをもらえませんでしたのが、他に聞いておいた方が良い数値や内容はありますか。」
⇒上記で十分です。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

こんなに早く適切なご返答頂けました事、感謝致します。
すぐに治療方法を決めなければいけないと迫られていますので早々の再質問お許しください。
先生の他の方とのQ&Aを拝見させて頂いていてKi67 15.7が高くないと理解していましたが、主治医は核グレードが3よりの2という点とリンパ節転移有りを考慮しての総合判断でルミナールBとするとの事でした。
先生が私の症状をルミナールAと考えてくださるのはKi67の数値を判断基準と考えて良いのでしょうか?(他の核グレードとかリンパ転移の数は重要視しなくて良いという事でしょうか?)
ホルモン治療単独とした場合はタモキシフェン10年でしょうか?
その際のスケジュールはすぐホルモン治療の開始となりますか?
温存手術でしたので放射線治療もすると事前に言われていたのですが先生の前回のご回答ではホルモン治療単独とありました。
放射線治療も必要ないと言う事でしょうか?
もし放射線治療をする際はホルモン治療と同時スタートで良いのでしょうか?
放射線の種類はリニアックで充分なのでしょうか?
放射線を受けるには両腕を上げて摘出した胸辺り(一部脇にかかる)にかけると説明を受けましたがそれで大丈夫でしょうか?
脇の下にかけると浮腫になりやすいという事ですか?
(リンパ郭清した場合脇にはかけなくて良いと先生がお答えしていたのを読みましたので。)
温存乳房+鎖骨上領域にかけるというふうにした方が良いのでしょうか?
そちらの病院にあるトモセラピーを使った方が良いのでしょうか?
抗がん剤治療を断ったら、何か他の放射線の期間が長引いたり、ホルモン剤の量が増えたりするのでしょうか?
前回の先生の最後部分のご回答で他に聞く内容があるかお伺いした所、
大丈夫との事でしたが
リンパ管侵略について
静脈侵略について
断片が陽性か陰性かについて
は聞かなくても大丈夫なのでしょうか?
万が一抗がん剤をしないといけないとなった場合、TCの方が良いしょうか?違いが解らないのですがEC+ドセでも良いのでしょうか?
質問事項が多くなりましたが宜しくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
Ki67でのルミナールA/Bの判断に不安がある場合にはOncotypeDXするしか方法はありません。

「他の核グレードとかリンパ転移の数は重要視しなくて良いという事でしょうか?」

⇒「核グレード」は無関係
 「リンパ節転移」は、そもそも(ルミナールどころか)「サブタイプ自体に無関係」です。
「ホルモン治療単独とした場合はタモキシフェン10年でしょうか?」
⇒それは5年後に考えればいいことです。(始める前から考えることではありません)
「その際のスケジュールはすぐホルモン治療の開始となりますか?」
⇒その通りです。
「温存手術でしたので放射線治療もすると事前に言われていたのですが先生の前回のご回答ではホルモン治療単独とありました。放射線治療も必要ないと言う事でしょうか?」
⇒治療は「局所療法」と「全身療法」に明確にわけましょう。
 局所療法は(ルミナールAとかBとか、トリプルネガティブなどとは全く無関係に) 「温存手術なら放射線は必須」「全摘なら(原則)放射線は不要」というものです。
 全身療法は(局所療法をどうするのかとは全く独立して)サブタイプによって決めるのです。
 ★前回の「ホルモン療法単独」というのは、当然「全身療法としては、ホルモン療法単独」の略です。(局所療法として温存+放射線というのは大前提のお話です)
「もし放射線治療をする際はホルモン治療と同時スタートで良いのでしょうか?」
⇒その通りです。
「放射線の種類はリニアックで充分なのでしょうか?」
⇒その通りです。
 もしも「リニアックで不十分」となると、全国の(おそらく)97%以上の放射線治療が不十分となってしまいます。(殆どの方がリニアックなのです)
「放射線を受けるには両腕を上げて摘出した胸辺り(一部脇にかかる)にかけると説明を受けましたがそれで大丈夫でしょうか?」
⇒温存乳房にかけます。
「脇の下にかけると浮腫になりやすいという事ですか?(リンパ郭清した場合脇にはかけなくて良いと先生がお答えしていたのを読みましたので。」
⇒その通りです。
 郭清しているのに必要ありません。
「温存乳房+鎖骨上領域にかけるというふうにした方が良いのでしょうか?」
⇒違います。
 温存乳房だけです。(鎖骨上はリンパ節転移4個以上でかけます)
「そちらの病院にあるトモセラピーを使った方が良いのでしょうか?」
⇒良く考えてください。
 トモセラピーを持っている病院は非常に少ないのです。(それに比して乳癌患者数は圧倒的に多い)
 日本全国の患者さんがトモセラピーの病院に集中したら… 「照射5年待ち(大げさでなく)」となってしまうでしょう。
「抗がん剤治療を断ったら、何か他の放射線の期間が長引いたり、ホルモン剤の量が増えたりするのでしょうか?」
⇒全くナンセンス
「リンパ管侵略について静脈侵略について」
⇒全く無意味です。
「断片が陽性か陰性かについては聞かなくても大丈夫なのでしょうか?」
⇒陽性なら担当医の方から話すでしょう。
「万が一抗がん剤をしないといけないとなった場合、TCの方が良いしょうか?違いが解らないのですがEC+ドセでも良いのでしょうか?」
⇒抗癌剤は勧めませんが…
 TCでしょう。