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抗がん剤の必要性について

[管理番号:4699]
性別:女性
年齢:41歳
田澤先生、いつもブログを有難く拝見させていただいております。
お忙しい中すみません。
宜しくお願い致します。
術前検査では、ステージ1と事で温存手術をいたしました。
腫瘍径 1.3cm ホルモン受容体陽性 HAR2陰性 グレード2 Ki67 5-10%
近傍に2箇所あり 4.5x5.0x4.2mm
         6.3x7.1x3.3mm悪性かは不明
手術では乳房円状部分切除術で、センチネルリンパ節生検は廓清なしで行われました。
 
ところが、術後診断結果はよくありませんでした。
浸潤腫瘍長径 2.7cm
皮膚浸潤 無
胸筋浸潤 無
UCC T class 2
組織型異径度 grade 1 & 核異径度 grade 1
核異型 1 構造異型 1 核分裂像 5/10 HPF
組織型 乳頭腺管癌
腫瘍壊死 無 脂肪組織浸潤 有
Fibrotic focus (FF) 無
リンパ管侵襲 有 (8箇所 Ly-grade 1)
静脈侵襲 無
切断断端 陰性
リンパ節転移 1/1
迅速後永久標本において、径1mm未満のmicrometastasis
micrometastasisを認めることを確認しました。
よって、
診断を上記のごとく修正いたします。
なお、迅速時標本を見直しましたが、迅速標本には腫瘍の転移を認めないことを再確認しました。
 診断区分 良性
近傍の2箇所 免疫染色 異型を伴う平坦上皮病変(B/G列
ER +, moderate-strong,diffuse. ck5/6
以上であり、病変はflat epithalial atypiaとして矛盾しない免疫形質性状を有することが確認できました。
 
診断区分 悪性
予後分類 IIB
迅速時リンパ節では腫瘍の転移を認めませんでしたが、迅速後の永久標本で1mm未満の微小転移巣が確認されました。
よって、リンパ節転移陽性と診断します。
浸潤癌および異型を示すflat epithalial lasionは、いずれも完全切除ですとの事でした。
先生にお聞きしたいのですが、抗がん剤は必要でしょうか?
妥当性について、田澤先生のご意見をお聞かせ願いませんでしょうか。
またできましたら、私の症例について、「ホルモン療法のみの場合の10年無再発生存率」及び「抗がん剤を追加した場合の10年無再発生存率」の大凡の予想値を教えていただけませんでしょうか。
宜しくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
このメール内容のポイントは2つ
1.治療はサブタイプで行う(Ki67=5-10%であれば、化学療法の上乗せは期待できない)
2.微小転移は予後に影響しない
「先生にお聞きしたいのですが、抗がん剤は必要でしょうか?」
⇒全く「抗癌剤を行う根拠」が見当たりません。
 私であれば、「抗癌剤の提案をする」ことは決してありません。
「私の症例について、「ホルモン療法のみの場合の10年無再発生存率」及び「抗がん剤を追加した場合の10年無再発生存率」の大凡の予想値を教えていただけませんでしょうか。」
⇒質問者がルミナールAであることを考慮すると…
 ホルモン療法のみ   8%
 ホルモン療法+化学療法 7%