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今後の治療について

[管理番号:4045]
性別:女性
年齢:36歳
本日そちらを受診した○○と申します。
今日も丁寧なご診察ありがとうございました。
非浸潤がんのつもりで診察に臨んでいたのに浸潤がん(ステージ2)となり
ショックで動揺し肝心なことを聞き忘れてしまいましたので
この場をお借りして質問させていただければと思います。
①アポクリン癌、トリプルネガティブとのことで先生にはTC療法を勧めていただきましたが
もしFISH陽性であればWeekly PTXも適用となるでしょうか。
毎週通院は大変だと思うのですが3人の子供の世話をしながらの治療に
なりますので通院の大変さよりは副作用がより軽い治療を希望しています。
(その方が子供たちを一時保育などに預ける回数も結果的には少なく済むのではという勝手な思い込みもあります)
FISH陰性であればTC療法しか選択肢がないという理解でよろしいでしょうか。
FISH陰性でもWeekly PTXが選択肢に入りますか?
(まだ抗がん剤についての理解が浅く見当違いの質問かもしれません。申し訳ありません)
②抗がん剤投与までに婦人科の主治医にも確認するつもりですが
現在卵巣のう腫でピルを飲んでいるのですが
抗がん剤中は中止した方がよろしいでしょうか。
また卵巣のう腫に抗がん剤が悪影響を及ぼすことも考えられますか?
卵巣のう腫は画像上の診断ですがチョコレートのう腫と言われています。
③私の場合の化学療法をした場合としない場合の生存率の違いのデータがあれば教えていただけたらと思います。
先生にアポクリン癌は予後良好と言っていただいたことと
私も家族も勝手ながら放射線治療だけを想定していたので
抗がん剤治療に少しだけ迷いがあります。
はっきりした違いがあれば抗がん剤をがんばる要素になるのですが…。
以上3点についてお忙しい所大変恐縮ですがお答えいただければと思います。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
今日のことなので勿論覚えています。
アポクリン癌の病理診断は難しいのだと、思います。
アポクリン癌は「トリプルネガティブ」となるケースが多いですが予後良好なものです。
○組織型で治療は加減しないというのが原則なので(腺様嚢胞癌や管状癌など、ごく一部は除く)化学療法の適応となりますが、「予後良好は事実」です。
 高齢者であれば、「無治療」の選択に何の迷いもないところです。
「①アポクリン癌、トリプルネガティブとのことで先生にはTC療法を勧めていただきましたがもしFISH陽性であればWeekly PTXも適用となるでしょうか。」
⇒その通りです。
 FISH陽性となれば、「抗HER2療法の適応」となるので、その場合「非アンスラサイクリンレジメン」が推奨されます。
「通院の大変さよりは副作用がより軽い治療を希望」「FISH陰性でもWeekly PTXが選択肢に入りますか?」
⇒確かにweekly PTX単独は「標準療法ではない」ですが、アポクリン癌だし十分許容範囲内です。
 「標準療法を推奨せざるを得ない立場である」私から、勧めることはありませんが、(承知の上であれば)それでも「実質的には問題無し(つまり効果は殆どTCと遜色なし)」と思います。
「現在卵巣のう腫でピルを飲んでいるのですが抗がん剤中は中止した方がよろしいでしょうか。」
⇒不要です。
「また卵巣のう腫に抗がん剤が悪影響を及ぼすことも考えられますか?」
⇒ありません。
 むしろ抗ガン剤には「卵巣抑性」があるので、いい影響が有りそうです。
「③私の場合の化学療法をした場合としない場合の生存率の違いのデータがあれば教えていただけたらと思います。」
⇒(FISH陰性という前提で)化学療法による「上乗せ」は 生存率で4% 再発率では8%です。
 アポクリン癌での数値ではないので、「上乗せは、もっと低い」可能性があります。(ただしデータは存在しません)
「抗がん剤治療に少しだけ迷いがあります。」
⇒FISH結果がでてから考えましょう。
 もしもFISH陽性ならば「抗HER2療法は必須」とは思います。