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今後の治療

[管理番号:2132]
性別:女性
年齢:49歳
*「再質問管理番号」の入力がなかったので、新たな管理番号にしました。 :ホームページ管理者
こんにちは。
お忙しい中すみません。
去年一度、先生に相談した事があるものです。
今後の治療が決まったのでもう一度先生の考えが聞きたくメールしましまた。
左胸全摘(腫瘍は1.8cmその他2ヵ所癌巣がありました)
WHO histological gradeはGrade1相
当(tubule and gland formation
1?nuclear
pleomorphism2?mitotic
counts1=4)
ER score(Allred
score)PS5?IS2=TS7
PgR score(Allred score )PS5?IS3=TS8
HER score 2?
Ki67陽性率は高い部分hot spot32%です。
センチネルリンパ節には微小転移一個でした。
今後、CEF療法の抗がん剤を4から6回その後、その後、追加をする可能性があり抗がん剤終了後にホルモン剤治療をしましょう。
と言われました。
ホルモン剤の種類はまだ解りません。
この結果からは抗がん剤はさけられないのでしょうか、抗がん剤をしてもホルモン剤治療はうけた方が良いのでしょうか、
先生でしたら、この診断結果で今後はどのような治療を考えますか、お聞かせて下さい。
大変忙しいと思いますが宜しくお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
pT1c(18mm), pN1mi, luminal typeですね。
Ki67陽性率はhot spot32%とありますが、平均値はどうなのでしょうか?
「今後、CEF療法の抗がん剤を4から6回その後、追加をする可能性があり」
⇒意味不明です。
 「何を基準」にして「追加をする可能性」といっているのでしょうか?
 術後補助療法では「効果などは解らない」のですから、『○○だからCEFを6回にしましょう』とか『○○だからタキサンを追加しましょう』などという言い方はできない筈です。
「この結果からは抗がん剤はさけられないのでしょうか」
⇒そんな事は全くありません。
 ルミナールタイプですから、「ホルモン療法が中心」となります。
 抗がん剤を上乗せする基準として「Ki67高値=ルミナールB」がありますが、
「hot spotではなく平均値」でみるべきだと思います。
 実際にNew adjuvant.comで見てみると質問者の場合には
 「ホルモン療法による再発率低下」は9%となります。
 それに対して「抗がん剤の上乗せ」は5%です。
 ○ホルモン療法単剤の選択も十分に許容されると思います。
「抗がん剤をしてもホルモン剤治療はうけた方が良いのでしょうか」
⇒(抗癌剤をするしないにかかわらず)『ホルモン療法こそすべき』と言えます。
「先生でしたら、この診断結果で今後はどのような治療を考えますか、お聞かせて下さい。」
⇒タモキシフェン単剤です。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

先日は回答有り難うございました。
あれから、18日に一回目の抗がん剤EFCを始めました。
当日は夜になりダルサと吐き気が徐々にきました。
一週間くらいで吐き気も治まり食欲も出てくると言われたのですが、今だに食欲もありません。
こんな状態で二回目の抗がん剤をやる勇気がありません。
主治医は四回はやって欲しいとの事、あとはクスリの量を減らすか、と。
四回やる抗がん剤を一回で終わらせてしまったら治療の効果はなくなってしまうのでしょうか?クスリの量が減ったら副作用も
少しは軽くなるのでしょうか?治療の効果はどうですか?
ホルモン治療を長くして、単独でホルモン治療の変更をしてしまう事は今後可能なんでしょうか?再発、転移はどのくらいなのでしょうか?
お忙しい中、色々と聞いてすみません。
先生の考えを聞かせて下さい。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「四回やる抗がん剤を一回で終わらせてしまったら治療の効果はなくなってしまうのでしょうか?」
⇒「完全に無くなる訳ではない」と思いますが…
 もともと「抗がん剤による再発予防効果は僅か5%」だから、「かなり微妙な効果」とはあるのでしょう。
 
「クスリの量が減ったら副作用も少しは軽くなるのでしょうか?治療の効果はどうですか?」
⇒「副作用も効果」も低下します。
 
「ホルモン治療を長くして、単独でホルモン治療の変更をしてしまう事は今後可能なんでしょうか?」
⇒それは大丈夫です。
 担当医と相談してみましょう。
 
「再発、転移はどのくらいなのでしょうか?」
⇒ホルモン療法単剤で15%となります。(リンパ節転移1-3個としてのデータです)
 ただし、「微小転移がリンパ節転移無と予後が同等」だというデータからすれば、「リンパ節転移無として計算すると11%」となります。
   
「先生の考えを聞かせて下さい。」
⇒(前回の回答でも触れた様に)そもそも抗がん剤は勧めません。
 抗がん剤による「上乗せ効果」は「再発率として5%、生存率としては2%」しかないのです。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

こんにちは
お忙しい中、先生のご意見を聞きたくメールしました。
今、FECを4回終わり来週5回目をやります。
今後は6回を終わった後HER2 2プラス陽性なのでハーセプチンをやる予定でいます。
HER2陽性だと再発する可能性は高いのでしょうか?
HER2陽性だと、たちの悪い癌なのでしょうか?
ハーセプチンをやる事で再発する確率は下がるとインターネットで調べた所書いてありました。
けど、副作用を見ると心臓に負担がくるとか、あるサイトには死にいたる…など書いてありました。
インターネットで書いてあることを信じるではないですが、ハーセプチンをやる事にとても不安になりました。
今後、FECを6回終わった後ホルモン剤では私の場合駄目なのでしょうか?
先生は以前ホルモン剤単独でと言っていま
したけど、ハーセプチンをやらなくても再発する確率はあまり変わらないのでしょうか?
色々と混乱した内容になってしまってすいません。
先生のご意見をもう一度お聞かせ下さい。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
重要な問題があります。
HER2は『2+であれば、必ずFISHで確認』しなくてはならないのです。
「HER2 2プラス陽性なのでハーセプチンをやる予定」とありますが、この記載自体は
「明らかな誤り」です。
○HER2は
 0, 1+ 陰性
 2+ FISHで要確認(25%程で陽性となる)
 3+ 陽性
 つまり、「2+は、それ自体では保留であり、必ずFISHで確認」しなくてはなり
ません。
 ★HER2 2+を「HER2陽性と解釈」すると75%は誤りなのです。(HER2 2+でFISHが陽性となる確率は僅か25%なのです)
 
「HER2陽性だと再発する可能性は高いのでしょうか?」
⇒違います。
 ただし、「抗HER2療法を行う」ことを前提とした話です。
 2008の「ハーセプチンが術後補助療法での適応拡大」以降、HER2陽性乳癌の予
後は劇的に改善し、現在では「最も予後の良い癌」と言えます。
 
「HER2陽性だと、たちの悪い癌なのでしょうか?」
⇒上記コメント通りです。
 昔は、そのように考えられていましたが、現在は「抗HER2療法により、予後良
好」となっています。
 
「ハーセプチンをやる事で再発する確率は下がるとインターネットで調べた所書いてありました。」
⇒抗HER2療法を行う事で「再発率は1/2」となります。
 現時点で最も強力な治療法です。
 
「副作用を見ると心臓に負担がくるとか、あるサイトには死にいたる…など書いてあ
りました。」
⇒心毒性は稀ですが、しかも可逆性(辞めれば元に戻る)です。
 「おかしなサイト」を信じるならば、私のブログを見る必要はありません。
 
「インターネットで書いてあることを信じる訳ではないですが、ハーセプチンをやる
事にとても不安」
⇒冒頭でもコメントしたように、
 重要なことは、質問者が「本当にHER2陽性なのか?」確認してください。
 もしも「FISHもせずに、HER2 2+で陽性としている」としたら、『とん
でもない誤り』です。
 その場合には、決して抗HER2療法をしてはいけません。
「今後、FECを6回終わった後ホルモン剤では私の場合駄目なのでしょうか?」
⇒何度も言いますが…
 本当にHER2陽性(FISHで確認している)ならば、「絶対に抗HER2療法
をしなくてはなりません」
 
「先生は以前ホルモン剤単独でと言っていましたけど、ハーセプチンをやらなくても再発する確率はあまり変わらないのでしょうか?」
⇒質問者は勘違いしています。
 前回の回答は「HER2 2+となっていたので、当然FISH法で確認して陰性
だった」ことを前提としていました。
 ○もしも「FISH法で確認して、本当にHER2陽性ならば、抗HER2療法で再発率は半分」になります。
 
 

 

質問者様から 【質問4】

お忙しい中すみません。
先日CEFが6回目が終わりました。
その後、ハーセプチンをやる予定でしたけど、先生に言われた通り確認した所Fishは陰性とだったと解った為、今後はホルモン治療に入る事になりました。
先生に相談させて頂けた事、有り難うございました。
今後もまた、宜しくお願いいます。
 

田澤先生から 【回答4】

こんにちは。田澤です。
「ハーセプチンをやる予定でしたけど、先生に言われた通り確認した所Fishは陰性とだったと解った」
⇒無駄な治療をされなくて良かったですね。