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ki67高値と術前化学療法

[管理番号:1049]
性別:女性
年齢:36歳
 
 

質問者様の別の質問

質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。
質問者様の別の質問は下記をクリックしてください。
管理番号:1047「卵巣がん克服からの乳がん発症

 
 
昨日、[卵巣癌克服からの乳癌発症]を投稿させていただいた者です。
焦ってメールを出してしまい、失礼がなかった今更ながら心配しております。
無礼がありましたらどうぞご容赦ください。
早々に追加の質問で恐縮です。
早ければ、再来週にも抗ガン剤または手術と述べましたが、BRCAの検査を踏まえ術式を考えるなるとと更に検査に2-3週間くらいは掛かりそうです。
Ki67値が95と非常に高いので一刻も早く何らかの処置をと思っておりますが、
いかが思いますでしょうか?
どうぞ、宜しくお願いします。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 cT2(24mm), cN0, cStageⅡAですね。
 「Ki67=95%」という数字もそうですが、「腫瘍径の増大」に気をつけてください。
 私の感覚では「腫瘍径が、目に見えて増大する(通常は殆ど無いのですが)場合は、(可能な限り、早急に)乳房切除すべき」と思います。
 「急速増大するなら、乳房切除」という感覚でいれば、大丈夫です。
 その場合には「決して」術前抗がん剤を選ばない方がいいです。(これは私個人の意見となります。)
○効果があれば、いいですが(再三コメントしていますが、抗がん剤は必ず効果があると言うのは誤りです)、「万が一効果が無かった場合」、慌てて手術しようにも最低「3週間」は空けなくてはならないのです。
 その3週間に「更に増大し続ける」と「手術不能」となる可能性があります。
 『この3週間の恐怖』は「ご本人もそうですが、担当医にとっても大変なもの」となります。
 
●「手術不能」と言う状態を御存知でしょうか?
 こうなると、突然「根治を狙う」⇒「緩和医療」へと急激な「方向変換」となるのです。
 ♯勿論私は、質問者を脅かすつもりはありません。
 ただ、「様々な症例を経験する」と『決してあってはいけない事』を感じるのです。
 
★ちなみに、「術後しばらくは抗がん剤ができない」などという「誤った情報がでている」ようですが、
 余程稚拙な手術で無い限り「術翌日」には抗がん剤は使用できることを明記しておきます。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

先日は早々のご回答ありがとうございました。
術前、術後の判断としては術後化学療法にしました。
エキスパンダによる同時再建後、抗ガン剤の予定です。
ただ、詳細なエコーの結果、リンパ節及び胸骨傍リンパ節に転移可能性がありとのこ
とでリンパ節については生検の結果を待ち、胸骨傍リンパ節については血管が密集し
ているので、生検は行わず抗ガン剤の結果を見ながら判断するということになりまし
た。
手術でも胸骨傍リンパ節を取らないと説明を受けましたが、一般的なのでしょうか?
主治医のところにトモセラピーがあるかは不明ですが、照射だけトモセラピーがある
江戸川病院に通うことは可能なのでしょうか?
その時期にはエキスパンダからシリコンに変わっている予定です。
トモセラピーと普通の放射線の違いについて伺えると幸いです。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

回答

「手術でも胸骨傍リンパ節を取らないと説明を受けましたが、一般的なのでしょう
か?」
⇒その通りです。
 
「主治医のところにトモセラピーがあるかは不明ですが、照射だけトモセラピーがあ
る江戸川病院に通うことは可能なのでしょうか?」
⇒可能です。
 担当医から直接、放射線科へ紹介してください。
 
「トモセラピーと普通の放射線の違いについて伺えると幸いです」
⇒IGRT image guided radiation therapy とIMRT intensity modulated radiation
therapyです。
正確に「かけたいところにより多く、かけたくないところには極力最小限に」行う
放射線治療です。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

田澤先生こんにちは。
無事に手術が終わり、早々に退院することができました。
cT2(24mm) cN0 cStage2A
診断の後、詳細エコーで脇の下リンパ節と胸骨傍リンパ節に腫れの可能性ありと指摘
をうけ、再度脇の下リンパ節の針生検を行うも陰性と結果を受けていました。
腫瘍部位は乳房下部5時方向、原発腫瘍以外の散らばりなし。
CT,骨シンチ 陰性
手術結果(迅速に基づく結果)
浸潤径:20mm大 正確には聞けてません
転移:センチネルリンパ節生検の結果、転移なし。乳房内リンパ節転移なし
故に、乳頭、乳輪のみ温存同時再建かつ腋窩リンパ節郭清省略の手術を行いました。
(センチネルリンパ節2つは当然取りましたが。)
この結果、pStage2Aだろうとの診断をいただきました。
気にしているのは針生検をしていない胸骨傍リンパ節の存在です。
センチネルリンパ節転移陰性と乳房内リンパ節転移陰性の場合、胸骨傍リンパ節転移
の陰性の可能性は低いのでしょうか?
今回は放射線は不要!と診断をされましたが、放射線も必要だと思っていたので無け
れば無いで不安になっています。
どうぞよろしくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
傍胸骨リンパ節parasternal lymph node:PSと通常略されます。
これは「腫瘍が特に内側に存在」する際に、腋窩とは別に「直接PSへ転移するルー
ト」が存在することが解っています。
ただ、今回は「超音波のみ」での「PS転移の可能性」のようです。
腫瘍の位置が「5時方向」となっていますが、「右乳癌ならば内側」となりますが、
「左乳癌ならば外側」に位置しています。
いずれにしても、「腫瘍が胸骨の近傍」とは言い難いポジションとなっています。
これらからすると、「術前のPS転移の可能性」に『どれくらいの信ぴょう性があるの
か?』という点に焦点があたります。
担当医は「どの程度の認識」なのでしょうか?
もしも「本当にPS転移の可能性」を考えるならば「術後PS照射」を検討しなくてはな
らないでしょう。(腋窩センチネルとは別ルートなので、腋窩センチネルリンパ節生
検が陰性では否定する根拠にはなりません)
♯実際のところ、PS照射は「通常のリニアックでは難しく(心臓や縦隔にかかるた
め)」まさに「トモセラピーの独壇場」となります。

回答

「センチネルリンパ節転移陰性と乳房内リンパ節転移陰性の場合、胸骨傍リンパ節転
移の陰性の可能性は低いのでしょうか?」
⇒そんなことはありません。
 腋窩へのルートとは別ルートなのです。
 「腫瘍の位置」も「外側とは言えない」ので、(腋窩ルートとは全く別に)PSへ向
かうルートから転移がある可能性はあります。
 
「今回は放射線は不要!と診断をされましたが、放射線も必要だと思っていたので無
ければ無いで不安になっています」
⇒PSへの照射を不要とする根拠に乏しいと思います。
 
○一つの方法としては(術前にPETをしていないならば)PETをしてみることです。
 ♯「明らかにPS転移が疑われるならば」PSへの照射を検討すべきでしょう。
 
 

 

質問者様から 【質問4】

ご回答ありがとうございます。
追加情報を記載させて頂きます。
腫瘍の位置が「5時方向」となっていますが、「右乳癌ならば内側」となりますが、
「左乳癌ならば外側」に位置しています。
いずれにしても、「腫瘍が胸骨の近傍」とは言い難いポジションとなっています。
=> 左乳房の5時方向。つまり、外側になります。
主治医は過去の症例からも大丈夫なパターンだと言っております。(病院としては全
国的に見ても手術件数はトップクラスかと思います。)
仮にトモセラピーを行う場合、化学療法の後でしょうか?前でしょうか?
現在、同時再建のエキスパンダーが入っております。
再来週あたりから化学療法が始まる予定となっています。
どうぞよろしくお願いします。
 

田澤先生から 【回答4】

こんにちは。田澤です。
「主治医は過去の症例からも大丈夫なパターンだと言っております」
⇒全く「科学的根拠に乏しい」内容です。
 それよりも『術前超音波でのPS転移疑い』という所見との整合性を考えなくてはな
りません。
 
○術前超音波で「PS転移が疑われる」と言っておきながら「腋窩のセンチネルリンパ
節が陰性」であることと「主治医の経験(どの程度?)」で、『無かった事にする』
という診療は私には「全く理解不能」です。
 

回答

「仮にトモセラピーを行う場合、化学療法の後でしょうか?前でしょうか?」
⇒後です。
 通常「化学療法は放射線治療よりも優先(先)」なのです。
 ♯ただし、ここが重要なのですが、「一度、化学療法をしてしまう」と「万が一、
PS転移が存在していても(一時的に)マスクされる」可能性があります。
 本来は「化学療法前」にPETを行い「PS転移についての診断(PSは余程大きく無い
限りは細胞診はリスクが高い)」をしておくべきです。
 もしも「PETでPS転移が陽性」ならば「化学療法後に(どんなに小さくなっていた
としても)その部位を照射するべき」と私は思います。 
 担当医と御相談されることをお勧めします。