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がん検診結果

[管理番号:101]
性別:女性
年齢:56歳
先日市の乳がん検診を受け、要精密検査の結果が送られてきて落ち込んでしまい、こちらのサイトにたどりつきました。
56歳、妊娠出産経験無しです。

右下部乳房 : 中心透亮性石灰化
左下部乳房 : 境界明瞭な腫瘤

と、ありました。
来週に指定の病院に行く予定ですが、不安で仕方ありません。
ご助言よろしくお願いします。

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
それでは回答します。

回答

 癌の可能性は低いと思います。
「左下部乳房 境界明瞭な腫瘤」
⇒「境界明瞭な腫瘤」はあくまでも「良性所見」です。
 「のう胞」や「線維腺腫」などが最も可能性があります。
 
※検診の場では「癌が疑わしい」ものだけが「要精査」となる訳では無いのです。
 実際に「要精査」として来院される方の90%以上が癌ではありません。
 
 検診はあくまでも「所見があるか、無いか?」を判断する場であり、
 「良性か悪性か?」を判断するのは病院の診療なのです。
 
「右下部乳房 中心透亮性石灰化」
⇒これは100%間違いなく、良性所見です。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

先生のご助言で心が少し落ち着き、再検査を受けることが出来ました。ありがとうございました。
エコーの結果は、先生のご助言の通りかと思うのですが、
念のため(?)3ヶ月後にもう一度検査しましょう、と言う事になりました。
エコーでは、押さえられると痛みを感じましたが、大きさは8ミリくらい、柔らかいもののようでした。
ただ、それが 先生が言われていた 嚢胞なのか、線維腺腫なのか 、何かという説明がありませんでした。
こちらも緊張していて、聞きたいこともあまりきけませんでした。
5月初めに 再度行く予定ですが、その際 どの様に質問したら良いのか、お教え頂けますでしょうか?
また、このまま様子見で大丈夫なのでしょうか?
細胞診や生検を受けた方が、より安心でしょうか?
度々の質問で申し訳ありませんが、ご助言よろしくお願い致します。
(2015年4月の質問)
 

田澤先生から 【回答2】

 こんにちは。田澤です。
 「エコー像の診断」について、(明確な説明のないまま)「もう一度3カ月後に検査しましょう」と言われたわけですね。
 問題のある診療であり、質問者の不安も解消されないままですね。
 それでは回答します。

回答

「5月初めに 再度行く予定ですが、その際 どの様に質問したら良いのか、お教え頂けますでしょうか?」

  1. 超音波での診断は何ですか?
  2. 超音波所見だけで良性と言い切れる所見なのか、どうか? (例えば、「中身が液体である」嚢胞、「辺縁が綺麗な扁平楕円形である」線維腺腫など)
  3. 癌の可能性が無いのか?

◎担当医が「何を疑い」結局「どうしたいのか?」聞きだしてください。
 「良性とはいいきれない」とか、「癌の可能性はゼロではないから、(3カ月とか半年とか)経過を見ましょう」などと言われたら、是非(細胞診ではなく)「針生検」をしてもらいましょう。
 

私見

 「良性とはいいきれないから、3カ月後にみせてください」これでいいのでしょうか?
 「良性とはいいきれない」と言われながら不安な3カ月間を過ごし、不安は解消されないまま。
 「良性を良性ときちんと診断する」私は、とても大事なことだと思っています。
 
私の診断戦略

  1. 超音波で良性と診断できるもの⇒(中身が液体である)嚢胞、(辺縁が綺麗で扁平な楕円形である)線維腺腫 ⇒これらは、「全く心配ありません。」として検診OKです。(無駄に3カ月後経過を見ましょうは、ありえません)
  2. 超音波だけでは良性と言い切れないもの⇒患者さんにその旨をお話しし、「経過をみる方法と針生検で白黒つける方法のどちらかを選択してもらう」
  3. 超音波で「癌の可能性」を積極的に考える⇒(針生検で診断すべきであるとお話しし)針生検を行う。

 
 

 

質問者様から 【質問3】

お忙しいなか 明確なご助言を頂き、本当にありがとうございます。
これで次の診察にしっかり向き合って臨むことが出来ます。
そして、何を基準に病院を選ぶかもわかりました。ありがとうございました。
次の検査・診察の結果次第では 少し遠いですが、自分自身のことですので ○○県から 田澤先生の診断を受けに行きたいと思います。
その時はどうぞよろしくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答3】

 私の考えている「診療の有るべき姿」についてご理解いただいて、こちらこそありがとうございます。
 たしか5月にもう一度受診されるのでしたね。
 もしも「納得のできない」診療であれば、是非江戸川病院を受診してください。
 お待ちしております。
 同じように遠方から受診される方々も、皆さん診療に納得されていると私は自負しております。
 
 江戸川病院 乳腺センター 田澤篤