Site Overlay

数年前から経過観察中のしこりについて

[管理番号:3048]
性別:女性
年齢:43才
初めて質問させていただきます。
お忙しい中このような場を設けていただき、本当にありがとうございます。
母が35才で早期乳がんとなった(今も元気です)ため、私も35才から毎年乳がん検診を受けてきました。
私は現在43才で出産経験はありません。
35才より毎年マンモ受診
37才時 マンモで両側乳腺症と診断
38才時 エコーにて右胸腫瘤1.7cm
紹介状を持って都内大手病院乳腺外科受診
マンモ、エコー、触診(Dr.触診で触れず)のみで、
良性の乳腺腺腫診断
39才時 地元の個人クリニック乳腺外科受診。
マンモ、エコー、触診(Dr.しこり確認)で良性見解
以降6ヶ月に1度の経過観察
40才時 経過観察で年2回受診
生理直前に受診したせいか、
エコーで変化所見有り、針生検
結果は良性
41才時 経過観察で年2回受診
今回も生理前に受診したせいか、
エコーで変化所見有り、マンモ撮影
マンモにしこりが写ったから?MRI撮影をせよとの事で提携病院でMRI、結果は問題無し
(以降は生理後に経過観察に行くことに)
42才時 経過観察で年2回受診
年2回ともエコーのみで変化なしの為マンモせず
これまで自分でもシコリを触れられず分かりませんでした。
ただ、生理前になるとしこり付近が痛み、終わると痛みは消えるを今も毎月繰り返しています。
現在43才。
昨年末より始めたダイエットで5キロ落としたせいなのか、
初めてしこりに触れ、ちょうど経過観察時期だったので3月に受診。
エコーでしこりの大きさに変化はないけど、厚みが増したように見える。
クリニックのエコーを新しく変えたから見え方の問題かもしれないがと、4月にバネ式生検。
結果、グレー判定。
IIIaなのかIIIbかは教えてもらえず。
Dr.からは同じ癌研の先生に病理診断してもらった方がいいから、もう一度アプローチを変えてバネ式生検をしようとのことで1ヶ月あけて今月5月に再検査。
結果は乳腺腺腫で悪い物は検出されなかったので良性だと「思う」。
ただ年齢的なこともあるので経過観察は継続、次は3ヶ月後に来てくださいと言われました。
またグレーか悪性と言われるのを覚悟し眠れない日々を過ごしたとてもとても長い2ヶ月だったので、思わぬ嬉しい結果に安堵し、Dr.の曖昧な表現をスルーしてしまいました。
田澤先生に以下5点質問させてください。
1 5年間約2cmと変化なく経過観察していてもやっぱりガンだったという可能性はありますか?
どこかで乳がんは1cmに育つまで10年かかることもあると読みました。
2 もしガンであった場合は、それなりに進行していますよね?
3 次回経過観察は6ヶ月後ではなく3ヶ月後ということは、まだ怪しいのでしょうか?
4 江戸川病院でマンモトーム生検を受けて白黒ハッキリさせる場合、これまでの診断内容をお持ちしなくても診断結果に影響はないでしょうか?
5 マンモトーム生検後、しこりは小さくなるのでしょうか?そうなると今後の経過観察で変化を見ることは出来ないのでしょうか?(今のDr.に摘出したいと言ったら変化が分からなくなると言われました)
お時間割いてしまい申し訳ございません、ここを利用されている患者さんの主治医全てが田澤先生のように診察いただければと願うばかりです。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
正直な感想をいうと…
針生検を何度もやりながら「経過観察」という診療に強い違和感があります。
「組織検査は確定診断するためのもの」です。
組織検査をして「確定診断」がついたら「経過観察は不要」これが「白黒をつける」ということです。
私であれば「バネ式」でも診断がつくものであれば「バネ式」で行い、その結果「線維腺腫」ならば「経過観察不要」とします。
逆に「マンモトーム生検」でないと診断が確定しない(つまり、腫瘤が不均一など)ものは、(バネ式は使わず)「最初からマンモトーム生検」としています。
○私の感覚では、超音波で見える限り「どんな病変でもマンモトーム生検であれば(外科的生検なしで)ほぼ全ての確定診断がつく」と思っています。
 石灰化など、「石灰化しか手掛かりがない」場合には「ステレオガイド下マンモトームでは確定診断がつかず外科的生検を要する」ことはあります。
 
「1 5年間約2cmと変化なく経過観察していてもやっぱりガンだったという可能性はありますか?」
⇒可能性はあります。
 ただ「かなり低い」と思います。(しかし、時々経験します)
 
「2 もしガンであった場合は、それなりに進行していますよね?」
⇒これは違います。
 もしも「5年間もじっとしている」癌だとすれば、「かなり大人しい筈」です。
 実際、同様なケースで私が経験しているものは「かなり大人しい」ものでした。
 
「3 次回経過観察は6ヶ月後ではなく3ヶ月後ということは、まだ怪しいのでしょうか?」
⇒これは「ちょっと理解しにくい」ですね。
 「バネ式」とはいえ、針生検をしているのだから(それで良性と出ているのに)「3か月は異常」です。
 上手く取れていないとか、何か事情があるのでは?と勘ぐってしまいます。
 
「4 江戸川病院でマンモトーム生検を受けて白黒ハッキリさせる場合、これまでの診断内容をお持ちしなくても診断結果に影響はないでしょうか?」
⇒このメール内容で十分です。
 
「5 マンモトーム生検後、しこりは小さくなるのでしょうか?」
⇒「やりよう」によります。
 病変が「不均一」であれば「いろいろな部位へ方向を変えながら」かなり削るので「若干は小さく」なります。
 均一なものであれば、「殆ど変化なし」くらいにしています。
 
「今のDr.に摘出したいと言ったら変化が分からなくなると言われました」
⇒これはおかしな話です。
 確定診断がつけば「そもそも変化を見る必要が無い」のです。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生、いつもありがとうございます。
今月頭、先生にマンモトーム生検を実施いただき、先週「葉状腫瘍」との結果を受け、先生から摘出手術を勧められましたが、葉状腫瘍につき全く無知であり丁寧にご説明いただきましたが、手術の即決が出来ず、
半年後の経過観察を予約して帰りました。
その後、過去Q&AやHPで調べるにつれ、一刻も早く摘出すべきと考えを改め、初回手術が最も重要であるので、田澤先生にお願いしたいです。
Q&Aから術前検査と手術入院2泊3日と理解しており、江戸川病院へ連絡したところ、まずは診察とのことで9月初旬の外来予約を取っている状況です。
以下2点質問です。
1 この診療ペースですと、手術は年末年始頃になりますか?
2 良性でも安心できない、と様々な乳腺外科病院HPに記載されています。
仮に自分でしこりが大きくなったと気付いたら、ご連絡した方がよいでしょうか?
お手数おかけしてすみませんが、何卒よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
マンモトーム生検の結果は(病理レポートには葉状腫瘍としか記載がありませんが)細胞異型や分裂を伴わない「良性葉状腫瘍」でした。
私は1度しか診察していませんが、前医で数年間経過観察をして(あまり大きさに変化はないとはいえ)「前医で気にして、最近数回の針生検をしていた」ようですが、「癌で無くて、まずは一安心」というところでしょう。
これが「3cm」もあれば「良性と言えども」強く摘出を勧めたところですが、ご本人に手術希望が無く、「15mmの良性葉状腫瘍」であれば(しかも数年経過観察されて、大きさに変化が殆どない)「6ヵ月の経過観察でもいいでしょう」という結論でした。
その意味では「一刻も早く」と言う状況ではないことは確かです。
ただ、「葉状腫瘍は、今後増大しグレードアップする可能性を秘めている」ものである以上、「摘出がベター」であることは間違いありません。
「江戸川病院へ連絡したところ、まずは診察とのことで9月初旬の外来予約を取っている状況」
⇒普通に予約を取れば、その位にしか空きがないと思います。
 手術を決断したのであれば(ご本人次第ですが) 「秘書」へ連絡して「手術日を抑えた上で、診療日を予約(その日に術前検査から入院案内まで済ませてしまう)」する方がいいと思います。
各ページの右上にある 「秘書室へメール」からご相談ください。
もしくは、こちらのリンクをクリックしてください。

 
 
「この診療ペースですと、手術は年末年始頃になりますか?」
⇒そんなにはなりません。
 現時点では10月となります。
「2 良性でも安心できない、と様々な乳腺外科病院HPに記載されています。」
⇒葉状腫瘍は「大きさが重要」です。
 その意味では「小さくても癌は癌」という癌とは大きく違います(当たり前ですが)
 まず「1.5cmの良性葉状腫瘍」が「安心できない」というのは「言い過ぎ」となります。
 「葉状腫瘍はサイズが重要(大きくなるにつれてグレードが上がる)」ことは、おそらく日本で一番葉状腫瘍の手術をしている私の率直な感想です。
「仮に自分でしこりが大きくなったと気付いたら、ご連絡した方がよいでしょうか?」
⇒10月、11月に手術するのであれば、その必要は無いでしょう。