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術後2年 肝転移疑いについて

[管理番号:6534]
性別:女性
年齢:45歳

初めまして。

担当医は優しい対応をしてくれますが、術前の説明(2cm以下でリンパ転移ナシ)と術後の病理結果との差異や、術後の治療法、定期検診に関して納得のいく説明(根拠を示しての説明)が行われず、不安を感じながら通院しております。
主治医の説明ではわからないことや、検査や治療方法を選択する上で迷ったときは、いつもこのサイトを拝見して参考にしておりとても感謝しています。

以下、治療経過、病理診断、6月の検査結果を記しますのでアドバイスを頂けると幸いです。
■女性 45歳(手術時44歳)

■治療経過
H28 9月下旬 :左胸全摘出
H28 11月~H29 1月 :抗がん剤治療 TC(ドセタキセル)
H29 3月~:ホルモン剤治療 ・タモキシフェン・ゾラテックス注射
(3カ月に1回)
H29:定期検診(ゾラテックス注射時) 検診時二回に一回程度エコー検査
H30 6月:定期検診 CT検査+血液検査

■病理診断
腫瘍径 50×50mm(非浸潤部含む)
HER2:陰性
Ki67:45%
グレード2
ER:85% PgR:70%
リンパ節転移数:2/11個
センチネル:2/7個
レベルⅠ: 0/4
リンパ管侵襲  1y1 静脈侵襲 v0
サブタイプ:ルミナールB
TMN分類 pT2pN1Mx ステージⅡB
※以下、H30 6月の検査結果報告における記載内容(報告書の表現を使用しております)

【所見】
術後の左胸壁に明らかな局所再発を疑う腫瘤像を認めません。
右乳腺の異常も認めません。
転移を疑うようなリンパ節肥大も認めません。
左肺上葉には小さな充実性結節を認めますが、2016年9月のPET-CT像と著明な変化を認めません。
他には肺野に明らかな異常濃度を認めません。
肺門・縦隔に明らかなリンパ節肥大や他の腫瘤像を認めません。
胸水や胸膜肥厚像も認めません。
脂肪肝が著明です。
S7被膜課下に淡い高濃度の小結節を認めます。
著明な造影は認めませんが、造影CTでわずかな濃度上昇を疑います。
限局性の脂肪回避の可能性もありますが、形態的に乏血性の充実性結節として、転移の否定が困難です。
他の肝内に転移を疑う充実性腫瘤は指摘できません。
腹水を認めません。
胆嚢・膵臓・脾臓など、他の腹部の新たな異常所見を認めません。

【総括】
S7肝転移の否定が困難、乏血性の小結節所見
左肺上葉小結節、2016年9月から変化なし他の再発や転移を疑う所見は認めません。

■今後の予定
 担当医からは、本年12月頃に見てみましょう。
と言われております。

■質問事項
①現時点で転移の疑いを晴らすことは可能でしょうか?
可能な場合、どの様な検査が適切でしょうか?
②転移に関する再検査を行うべきタイミングはいつ頃が適切でしょうか?
一日も早く不安を解消する形が希望です。
(担当医からは、本年12月頃と言われております)
③H30 6月の血液検査にてTGが高く(531)、今回よりホルモン剤をタモキシフェンからトレミフェンに変更しました。
中性脂肪を下げる事を目的として健康食品の併用を検討しておりますが、その効果やホルモン剤との相性など不安な点もありためらっております。
一概には言えない内容かと思われますが、健康食品は控えた方がよいものでしょうか?

■自身の体調(参考)
・痛みなどはないものの、睡眠時間が短くなった事が悩み。
よく眠れる日は10日に1回程度であり、その他の日は2~5時間程度の睡眠。
今回の検査結果による不安も眠れない要因となっており、早期解決を願っております。
お忙しいとは思いますが、よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

脂肪肝に伴う肝所見の評価は困難(脂肪肝があると濃度差が出るため)あり、そのほとんどが「結局、異常なし」となることは参考にするといいでしょう。

「①現時点で転移の疑いを晴らすことは可能でしょうか?」
→完全に否定することは困難だと思います。(上記コメントどおり)

「可能な場合、どの様な検査が適切でしょうか?」
→ もしもやるなら「造影MRI(プリモビストもしくはリゾビスト)」となります。
(確率はかなり減りますが、それでも「否定しきれない」のでは?)

「②転移に関する再検査を行うべきタイミングはいつ頃が適切でしょうか?」
→主治医が12月(6か月後)としているのは、それだけその所見が「ただの脂肪肝だな。」という程度なのでしょう。
 それでいいと思います。

「健康食品は控えた方がよいものでしょうか?」
→かまいません。

 
 

 

質問者様から 【質問2 】

リンパ節再発の理由と治療法について
性別:女性
年齢:47歳
病名:左乳癌術後胸筋間再発
症状:再発手術後
投稿日:2020年4月13日

田澤先生いつもお世話になっています。
主治医の説明ではわからないことや、検査や治療方法を選択する上で迷ったときは、いつもこのサイトを拝見して参考にしておりとても感謝しています。

前回、管理番号6534でアドバイスを頂きその後1年半は無事に過ごしておりましたが、2019年11月のCT検査でリンパに再発が見つかり再手術を受けました。
今後の治療法を検討するにあたり、アドバイスを頂ければ幸いです。

お忙しいと思いますが、是非よろしくお願いいたします。

■女性 47歳(手術時44歳)
■治療経過
2016年 9月下旬      :左胸全摘出 (病理結果別記)
2016年11月~ 2017年1月 :抗がん剤治療 TC 4回(ドセタキセル)
2017年 3月~        :ホルモン剤治療 タモキシフェン・ゾラテックス注射(3カ月に1回)
2018年 6月         : CT検査+血液検査 
              *S7肝転移の否定が困難、乏血性の小結節所見があったが、経過観察となる
              :ホルモン剤治療 タモキシフェン→トレミフェンに変更・ゾラテックス注射 
*中性脂肪が高く、関節痛、不眠など副作用のため薬を変更 
2019年11月~       :CT検査  腋窩リンパ節転移疑い所見あったが、経過観察することになる
             (所見に記載はあったが、画像上主治医が気づかない程度の大きさだったため)
:高脂血症剤 バルモディア0.1mg
2020年2月        :エコーにて胸筋間に再発確認
             *ホルモン剤の有効性が不明のためトレミフェン・ゾラテックス注射は停止
2020年3月中旬      :リンパ節摘手術 (病理結果別記)
2020年5月~       :放射線治療予定 5週間 鎖骨下~胸壁(脇の下リンパ辺まで)
■主治医の説明
 【再発の経緯について】
 ・初発手術時にすでにあった微細な癌がホルモン剤も抗がん剤も効かず、時間の経過により大きくなり可視化できるようになったと考えられる。

 ・脇の下のリンパ(脇腹付近)についても同様と考えられるが、一般的なリンパの流れと違うためはっきりしたことはわからない。
腋窩リンパかどうかも不明。

 【今後の治療】
 ・放射線治療 5週間  鎖骨下~腋窩リンパ(脇の下リンパ辺まで)
 ・ホルモン剤を変更した方がいいが、種類は今後検討
 ・放射線治療後に抗がん剤をやるかどうか検討(ホルモン剤が効くタイプのはずのため)

■質問
①再発の経緯について、初発の手術時に全摘してセンチネルリンパ陰性(ただし、センチネルまでの途中のリンパに陽性があった)と説明されましたが、全摘してリンパの経路を断ってるはず、またセンチネルリンパも陰性と言われていたのに再発した理由は、どう考えたらよいのでしょうか。
センチネルリンパと思っていたが、他にも経路が多数あったのでしょうか。

②脇の下も腋窩リンパと考えて良いですか。

③経路が多数あった場合でも、放射線治療で再発は防止できますか。
 
④放射線の照射範囲についてアドバイスをお願いします。

⑤ホルモン剤はどれを選択すべきか。
(抗がん剤治療以降生理無し)
⑥局所再発で抗がん剤が必要な場合はありますか。
(③の回答により内容が重複するかもしれませんが)

■病理診断
2016年手術
腫瘍径 50×50mm(非浸潤部含む)
HER2:陰性
Ki67:45%
グレード2
ER:85% PgR:70%
リンパ節転移数:2/11個
センチネル:2/7個
レベルⅠ: 0/4
リンパ管侵襲  1y1 静脈侵襲 v0
サブタイプ:ルミナールB
TMN分類 pT2pN1Mx ステージⅡB

2020年再発出術
ER: 陽性 sore 3b >90%
PgR: 陽性score 3a 40%
HER2:陰性
Ki67:35-40%
・胸壁(脇の下)・胸筋間 で既往の乳癌の再発。
胸筋間は癒合菅状~櫛状増殖を示す。

・腋窩リンパ(レベルⅠ)は陰性 センチネルリンパのすぐ下
・リンパ節(レベルⅢ)は陰性 鎖骨上につながる部位

 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

「胸壁(脇の下)・胸筋間 で既往の乳癌の再発」
⇒この記載が、どうも不明確ですが…

 私が解釈するとすれば
 1.「胸壁(脇の下)」とは(腋窩リンパ節が再発して)「胸壁浸潤した」
 2.「胸筋間」とは「Rotterリンパ節」

 以下、そのような解釈で回答します。

「①再発の経緯について、初発の手術時に全摘してセンチネルリンパ陰性(ただし、
センチネルまでの途中のリンパに陽性があった)と説明されました」

⇒センチネルリンパ節転移がありましたよね? (7個中2個)

「全摘してリンパの経路を断ってるはず、またセンチネルリンパも陰性と言われていたのに再発した理由は、どう考えたらよいのでしょうか。」
⇒単純に

 (上記1は)腋窩リンパ節に(手術時に)残存リンパ節が存在していた
 (上記2は)Rotterリンパ節に(そもそも)転移が(手術時に)存在していた
  ♯Rotterリンパ節はレベル3郭清する際に大小胸筋間を剥離しないと郭清できない部位なので、そもそも初回手術時には確認していない筈

「②脇の下も腋窩リンパと考えて良いですか。」
⇒上記(私の解釈の)1のことですね?
 そう思います。

「③経路が多数あった場合でも、放射線治療で再発は防止できますか。」
⇒経路と放射線は無関係。

 当然照射すべきでしょう。

「④放射線の照射範囲についてアドバイスをお願いします。」
⇒「鎖骨下~胸壁(脇の下リンパ辺まで)」とありますが、Rotterリンパ節に転移していたのであれば(レベル3になくても)、その先の鎖骨上リンパ節まで含めるべきでは?

「⑤ホルモン剤はどれを選択すべきか。(抗がん剤治療以降生理無し)」
⇒これは考え方次第ですね?

 私は(ご存知のように)適応外治療は「絶対に」行わない主義ですから
 普通に術後のホルモン療法としては「タモキシフェン」もしくは「タモキシフェン+LH-RHagonist併用」しか選択肢はありません。

 ★何故なら、化学療法閉経のままLH-RHagonistをしていたので、「本物の閉経」と判断できないため。
  もしも本物の閉経として「アロマターゼ阻害剤」を使用したい場合には、タモキシフェン単独(LH-RHagonist併用無で)で1年以上経ってから血中E2濃度を測定しなくてはいけません。

 ★★ただ、(ここは解釈の問題ですが)局所再発とはいえ、「再発乳癌」と捉えるとpalbociclib(or abemaciclib)+Fulvestrant+LH-RHagonistが適応となります。
   普通にホルモン療法だけで心配ならば、これが第1選択と言えそうです。

「⑥局所再発で抗がん剤が必要な場合はありますか。」
⇒このリンパ節のサブタイプがluminalでなければ、抗がん剤は考慮してもよいと思います。(主治医もそのつもりなのでしょう)