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肝転移後の治療

[管理番号:5989]
性別:女性
年齢:61歳
2013年の乳癌発覚以来こちらのサイトで勉強させて頂いていましたが、今回新たな転移が発見され、ぜひ、ご意見伺いたく投稿いたしました。
よろしくお願い致します。
 
 2013年 7月乳癌告知。
左右乳癌(左5cm 右微小多数) 多発骨転 移ステージⅣルミナールB 腰椎放射線30回照射(腰の痛みはなくな りました。)
 9月からフェマーラ使用 → マーカー上昇
 2014年 4月 タモキシフェンに変更 → マーカー上昇
 2015年 2月 ゼローダに変更 → 2017年10月マーカー上昇
 2017年 12月CT及び超音波検査で肝臓への転移が発覚(2.5cm1個、 他2個)腫瘍マーカー CEA 22
CA15-3 113  エキセメスタンに変更→現在に至る
このホルモン治療は少なくとも3ヶ月続けて効果をみるということですが、肝臓への転移ということで、自分自身とても不安を感じています。
このまま2月の診察検査まで待っていいのか。
または次に数値が上がった場合どんな抗がん剤が候補になるのか。
主治医は使える薬が少ないので1剤を大事に使うということなのですが、転移再発乳癌の抗がん剤はいろいろ組み合わせて使えば少なくないと思うのですが。
またラジオ波や肝動注などは考えられますでしょうか。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
骨転移⇒「ホルモン療法」⇒経口抗がん剤⇒典型的な「身体に優しい治療」で「教科書通り」と言えます。
ただし、「life-threatening」という考え方があります。
肝転移の場合には(そろそろ)通常の抗癌剤治療をおこなってしかるべきでしょう。
「肝臓への転移ということで、自分自身とても不安」
⇒通常の(点滴の)抗癌剤をまだしていないようですね?
 それであれば、「かなりの効果」が期待できます。
 (ホルモン療法で病勢が抑えきれずに)「悪化してから通常の抗癌剤を使う」よりは、(この段階で)「通常の抗癌剤を積極的に使い、(可能なら)cCR(画像上、病変がない状態)までもっていき⇒(しかる後に)ホルモン療法(±パルボシクリブ)で維持する方が(私には)いいように思っています。
 ☆抗癌剤にとっても「戦う相手は小さいほどよい」ことは想像できますね??
「転移再発乳癌の抗がん剤はいろいろ組み合わせて使えば少なくないと思うのですが。」
⇒その通り。
「またラジオ波や肝動注などは考えられますでしょうか。」
⇒どちらも標準治療ではありません。(それよりはトモセラピーの方がいいでしょう)
 ただし、それらは(いずれにしろ)抗癌剤よりは「ずっと先の候補」となります。
 
 

 

質問者様から 【質問2 肝転移後の治療】

性別:女性
年齢:61歳
前回はとても心強いご回答いただきまして本当にありがとうございました。
先の見えない道を進むなか一筋の光を見つけたような気持ちになりました。
その後の2/(中旬)の検査結果ですが、AST127 ALT113
 LDH504 ALP395 γ-GTP171 CRP1.05
 CEA101  CA15-3 428 白血球数5.9 アルブミン4.1 総ビリルビン0.5 でした。
そのためエキセメスタンは中止で、急遽CTをとりその結果でbevacizum + paclitaxel を行うということになりました。
bevacizumを投与する前に脳のMRIも3/(中旬)にとることになり、それで問題なければ点滴投与になるということです。
ずいぶん先の治療になりますが、期間をあけて大丈夫なのでしょうか。
主治医は、この治療を行うにあたって、副作用がきつければ paclitaxelの量を効果をみながら減量し長く続けていくということです。
田澤先生のご回答を見ると3ヶ月続けてその後エリブリンやホルモン治療に変えていく方法をとられていますが、効果を見ながら減量して長く続けた方が良いのか、それともその後別の抗がん剤にかえたほうがいいのか。
そしてそのときの別の抗がん剤は
なにを選択したらよいのでしょうか。
抗がん剤はやってみなければわからないといわれますが、ステージⅣで肝臓転移した場合、又増殖スピードが速い場合田澤先生はどのような薬を選択されますか。
質問ばかりでほんとうに申し訳ありません。
治療が効果が見られなくなったときのために緩和ケア病棟の申請、介護保険の申請も早めに行うように言われました。
それに関してはいずれくることなので納得しております。
ただ少しでも長く過ごしていくためにいろいろな情報を探っている状況です。
この先を見て進んでいきたいです。
  ご回答よろしくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「ずいぶん先の治療になりますが、期間をあけて大丈夫なのでしょうか。」
⇒問題ありません。
「ステージⅣで肝臓転移した場合、又増殖スピードが速い場合田澤先生はどのような薬を選択されますか。
⇒bevacizumab + paclitaxelです。
 担当医と同意見:最強であり、最良(副作用も軽微)な薬剤なのです。
 「効果がでてからどうするのか?」は副作用次第です。
 副作用が許容範囲なうちは(同じ薬剤で)継続も可能ですが、(効いているうちに)「別の薬剤へチェンジ」すれば、将来的に「その薬剤に、再チャレンジできる」という利点もあります。
「少しでも長く過ごしていくためにいろいろな情報を探っている状況」
⇒物事はシンプルに考えましょう。
 ゴールは「ひとつひとつ」設定すべきです。
 
 まずはbevacizumab + paclitaxelでPR(可能ならCR)を達成する(これが第1の目標です)
 第2の目標は「その(いい状態を)維持する」ことですが、それは「第1の目標を達成してから」考えればいいのです。
 ★最初から「先の先まで読む」のは「藤井6段」にお任せしましょう。(仮定で物事を考えると、誤りの素なのです)
 
 

 

質問者様から 【質問3 肝転移後の治療】

性別:女性
年齢:61歳
管理番号 5989
毎回ご丁寧な回答いただきまして本当にありがとうございます。
又問題が起こってしまいました。
その後肝臓の数値が軒並みさらに悪化しまして、
AST226 ALT201 LDH717 ALP677 γ-
GTP312白血球数4.5 アルブミン3.7 総ビリルビン0.4でした。
急遽抗がん剤中止になりウルソデオキシコール酸錠を処方されました。
肝臓の状態が悪いので治療は出来ないということです。
肝動注塞栓療法も危険であるし、乳がんからの肝転移は都内でもあまり行っている所はないのではといわれました。
こうなりますとガン難民ということで治療法もなく数ヶ月先の余命を全うするだけになるのでしょうか。
主治医はやりたいことをやり生活を楽しんで過ごしていけるよう、できるだけ協力しますと言って頂いています。
今は多少の疲れやすさはありますが仕事や家事も最低限こなしています。
田澤先生でしたらここまで進行してしまった患者さんはいらっしゃらないかと思いますが、この先一般的な治療はやはり無理ということになりますか。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
「この先一般的な治療はやはり無理ということになりますか。」
⇒「先」のことは解りませんが…
 まずは「抗癌剤の休薬」により肝機能の正常化をはかるしか、(現時点では)できません。
 改善したら、「別の抗癌剤(eriblinなど)」で再チャレンジです。