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乳癌の考え方

[管理番号:1221]
性別:女性
年齢:46歳
 
 

質問者様の別の質問

質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。
質問者様の別の質問は下記をクリックしてください。
管理番号:628「検査結果及び治療方法について

 
 
田澤先生
こんにちは。いつもお世話になります。
乳ガン発覚から今日まで、このQ&Aで色々と勉強させて頂きました。
まだまだ治療は続きますが、私なりに乳ガンの治療や考え方について、まとめてみました。
お忙しい中、恐縮ですが、チェックと言いますか、評価の程、よろしくお願い致します!
1.乳ガンかもしれない症状が現れた場合は、針生検やマンモトームが可能な病院で早めに検査を受けること。
(これについては、しこり発見後少々時間をあけてしまいましたが、実施しました)
2.手術可能な状態の場合は、手術先行が望ましい。(これについては実施出来ました)
3.病理結果は術後の結果を正とし、サブタイプから今後の治療方針を決める。
(T2N0M0 ly0 V0 ステージⅡA ホルモン感受性+ HER2Fish陰性 KI67 50% ルミナルBだったため、抗がん剤→放射線→ホルモン療法としました。)
4.再発や転移はステージを重視し、サブタイプはあくまでも治療方針を決めるためのものである。(ステージⅡAでも浸潤径が37㎜であったため、早期とまでは言えないが、まずまずの早期と考えて可。KI67の数値が高く、抗がん剤による上乗せ効果があるため抗がん剤は実施します。)
5.以上のことから、まずは目の前の治療をひとつひとつこなしていくことが、大切であると思っています。
お時間のある時で構いませんので、ご確認頂き、違っている点がある場合は、修正のコメントを頂けると有り難いです。
よろしくお願い致します!
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
質問者とは、数多くのQandAをやり取りしており、その結果このように御理解いただけて大変うれしく思います。
質問者のように、「自らの事として一生懸命、意欲を持って学ぶ」ことが重要だと感じました。
是非皆さんにも読んでもらいたいと思います。
私が質問者のことを「教師のように、採点するのはおこがましい」ですが、100点満点です。一応コメントさせてもらいます。

回答

「乳ガンかもしれない症状が現れた場合は、針生検やマンモトームが可能な病院で早めに検査を受けること」
⇒その通りです。
 「針生検やマンモトーム生検ができない施設」では「大きくなる=癌とはっきりしてくる」迄、『経過を見る=(表現を変えると)育てる』ことが多いのです。
 
「手術可能な状態の場合は、手術先行が望ましい。(これについては実施出来ました)」
⇒術前抗がん剤を勧められない要点としては
 
 ①抗がん剤は「術前に行っても、術後に行っても予後は同じ」
 ②抗がん剤が「必ず効く筈」という前提は間違い⇒術前抗がん剤中に増大して「手術不能となるリスク」があります。
 ③「術前に行えば、薬剤効果が解る」というのは無意味(術前術後に用いる抗がん剤は薬剤適応上決まっているのです)
 もちろん、「術前抗がん剤の唯一の適応」である「小さくして温存」の場合には、上記に十分留意しながら「細心の注意のもとに行う」べきです。
 
「病理結果は術後の結果を正とし、サブタイプから今後の治療方針を決める」
⇒ER, PgR, HER2には「術前針生検と術後病理結果」の間には乖離が無いのが普通ですが、
 Ki67の数値は「病変全体を見回しての」値が「正しい値」なのです。
 
「再発や転移はステージを重視し、サブタイプはあくまでも治療方針を決めるためのものである」
⇒これは非常に重要なことです。
 サブタイプは「治療法を決める」ためにあるものです。
 「トリプルネガティブだと再発必発」のような変な情報がありますが、全くの誤りです。
 やはり「予後にはステージが重要」なのです。
 「再発させないためには、どうするのか?」のために「サブタイプを用いた術後療法の選択」があるのです。
 
「まずは目の前の治療をひとつひとつこなしていくことが、大切である」
⇒非常にいいことです。
 「効果が期待できる治療」をきちんとすること=「再発を極力抑制すること」が重要なのです。
 初期治療が最も重要であり、「やることをやる」ことで、必ず「再発への不安から解消される日々」が訪れるのです。