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術後の化学療法について

[管理番号:4506]
性別:女性
年齢:36歳
田澤先生、はじめまして。
よろしくお願い致します。
いつも、こちらのQ&Aを参考にさせて頂いています。
術後の化学療法について教えて頂きたいです。
2月(上旬)日に右乳房全摘、エキスパンダー同時再建手術を受けました。
病理検査の結果、PT=2.0×1.5cm、リンパ節を7個取って4個に転移。
リンパ節はレベルIとIIを郭清しました。
エストロゲンレセプター(+)80%
プロゲステロンレセプター(+)80%
HER2(FISH)(-)
核グレート2
ルミナールA
今は卵子凍結のためまだ治療を始めていないのですが、主治医に今後のスケジュールを聞いたところ、CE療法を4回、その後ドタキセルを4回、その後ホルモン治療(卵巣機能をとめる注射を3ヶ月に1回、タモキシフェンの内服)を10年と言われました。
ルミナールAですが、リンパ節転移の数が4つなので化学療法が必要なのでしょうか。
また、放射線治療は必要ないのでしょうか。
化学療法が必要ならば、CE療法は妥当なのでしょうか。
卵子凍結ができれば今後末から化学療法が始まる予定です。
どうぞよろしくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
pT1c(2.0cm), pN2(4/7), luminalAですね。
おそらく、(luminalAであれば)「化学療法の上乗せは少ない」のだとは思いますが、「リンパ節転移4個」だとなかなか「化学療法は不要」と言い難い。
♯その根拠は①St. Gallen 2015 votingでは「リンパ節転移1-3個で化学療法をする」<「リンパ節転移4個以上では化学療法をする」 だったのです。
 ただし、再三載せていますが、②『高リスク閉経前Luminal A型乳癌患者には、術後化学療法のベネフィットは見られない:DBCG77B(前向き無作為化試験)の後ろ向き研究の結果より(SABCS 2015)』
 この高リスクについてであるが 1977-1983に「腫瘍径5cm超」または「腋窩リンパ節転移陽性」が対象
 化学療法の内容は(時代背景を色濃く示すもので)
 CMFもしくは経口エンドキサン
 結果として対象者は
  腫瘍径2cm超が68%
  リンパ節転移陽性が90%
  化学療法を受けていたのは77%
 ○10年無再発生存に、「化学療法施行群」と「化学療法未施行群」で差が無かったのです。
「ルミナールAですが、リンパ節転移の数が4つなので化学療法が必要なのでしょうか。」
⇒上記①ではそうなりますが、上記②では無関係のようです。
 それで私自身の患者さんには、上記の状況をお伝えした上で 
  「化学療法に積極的(やると決めている)な人」には化学療法  
  「化学療法に消極的(できれば、やりたくない)な人」にはホルモン療法単独
  「迷う人」にはOncotypeDXをお勧めしてます。(閉経前、腋窩リンパ節陽性でも適応あります)
「また、放射線治療は必要ないのでしょうか。」
⇒放射線はすべき(4個以上では推奨度A)です。
「化学療法が必要ならば、CE療法は妥当なのでしょうか。」
⇒私ならTCですが…。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生、こんにちは。
お忙しい中、質問[管理番号:4506]に答えていただきありがとうございました。
先生のご助言を受け、化学療法を迷っていたのでオンコタイプを受けることに致しました。
放射線治療は担当の医師に必要ないと言われましたが、強く希望して再建手術後に受けようと思います。
オンコタイプの結果、高リスクであれば前向きに化学療法を受けようと思います。
低リスクならホルモン治療単独と考えていますが、もし中間リスクだった場合はリンパ節転移が4個なこともあるので、化学療法を受けたほうがよいでしょうか?田澤先生でしたら積極的に勧めますでしょうか?
また、化学療法を受けることになった場合、田澤先生はTCを選択されるとのことでしたが、一般的にCEを選択される場合とTCを選択する場合
の基準などはあるのでしょうか。
CEの場合はCE→Tと言われていますが、TCの場合も終わった後に続けての化学療法を受けることとなるのでしょうか?
色々質問して申し訳ありません。
お忙しいと思いますが、どうぞよろしくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「もし中間リスクだった場合はリンパ節転移が4個なこともあるので、化学療法を受けたほうがよいでしょうか?田澤先生でしたら積極的に勧めますでしょうか?」
⇒物事はシンプルに考えましょう。
 私は再三言っている様に「中間リスクでは、化学療法の上乗せは証明されていません」♯だから、私はハイリスクでしか化学療法を勧めることはありません。
 ただし、OncotypeDXの結果(報告書)ではグラフが付いてくる(『今週のコラム 70回目 高リスクは(化学療法による上乗せが大きいということだけでなく)『化学療法を行えば、中間リスクと予後は殆ど(3%程度しか)変わらない』その事を知ってもらいたいのです。』のグラフを参照のこと)ので、自分で「上乗せがどの位なのか?」解ります。
 ご本人にとって、その上乗せの数値(★%)が価値の有るものであれば、抗ガン剤を選択すればいいのです。(リンパ節転移の個数など無関係です)
「また、化学療法を受けることになった場合、田澤先生はTCを選択されるとのことでしたが、一般的にCEを選択される場合とTCを選択する場合の基準などはあるのでしょうか。」
⇒アンスラサイクリンレジメン(AC)に対してタキサンレジメン(TC)が優れていることが証明されている(2007 SABCS)からです。
「CEの場合はCE→Tと言われていますが、TCの場合も終わった後に続けての化学療法を受けることとなるのでしょうか?」
⇒違います。
 CE⇒Tとは所謂「アンスラタキサン(アンスラサイクリン+タキサン)」レジメンです。
 これに対してTCは「タキサンレジメン」です。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

化学療法の間隔と放射線乳がんついて
性別:女性
年齢:36歳
田澤先生、こんにちは。
春頃術後の化学療法について質問させて頂いておりました。
その後担当の先生にOncotypeDXを受けたいと申し出たのですが、どんな結果が出ても化学療法は行います、と言われたため現在は化学療法を受けております。
EC療法を4回終え、現在はドセタキセルを2回終えたところです。
今回教えて頂きたい事が2つあります。
どうぞよろしくお願い致します。
①現在まで3回ほど病院のお休みの関係と白血球数の関係で化学療法の日程がズレています。
こちらで質問されている方への回答で、
『RDIを85%以上に保つために「延期は何週間は大丈夫なのか?」
計算してみましょう。
 800/x ÷ 800/21 =0.85とすると…
 x=21/0.85
x≒24.7
24週までは大丈夫なのです。
(つまりトータルで3週延期まではOK)』
と回答されているのを読ませて頂きました。
私は現在すでに合計で3週延期だったのですが、3回目のドセタキセルの日の白血球が2100だったために1週間延期になってしまいました。
延期する事によって効果は変わらないのか、と先生に聞いたのですが、
それは予定通りやるに越した事はないけど、病院の休みの関係だとどうしようもないし、効果もそんなに変わらないから大丈夫と言われました。
延期がこれ以上になる場合、上記の計算からすると本当はどれだけ効果が変わってくるのでしょうか。
簡単にスケジュール変更を提案する先生に不安を感じています。
②リンパ節転移が4つだったのですが、化学療法後の放射線は必要ないと言われています。
結果を見る限り、そこまで頑張らなくてもいいと言われました。
転移が4つ以上だと放射線をすることが推奨されているので受けたいと何度もお願いするのですが、必要がないと言われてしまいます。
病院内で別の先生にも相談したのですが、全摘だし必要がないと言われました。
転移が4つ以上で放射線を受けていない、という方にお会いしたことがないのですのが、そういうケースもあるのでしょうか。
セカンドオピニオンを受け、他の病院から放射線を受けられるようにした方がいいのか悩んでおります。
どうぞよろしくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
申し訳ありませんが…
「どんな結果が出ても化学療法は行います、と言われた」ような医師の診療に対して、私がコメントすることは、かえって質問者を混乱させるだけで無意味どころ有害になりそうです。(私の回答にがっかりするだけでしょう)
今回は回答しますが、(私と全く異なる考え方の)医師の診療に対する質問は控えた方がご自分のためでは??
「延期がこれ以上になる場合、上記の計算からすると本当はどれだけ効果が変わってくるのでしょうか。」
⇒質問者は覚えていますか??
 そもそもルミナールAでは「化学療法による上乗せ」は否定されているのです。
 「効果がかわる」ほどの効果は(そもそも)ないでしょう。
「転移が4つ以上で放射線を受けていない、という方にお会いしたことがないのですのが、そういうケースもあるのでしょうか。」
⇒幾らなんでも…
 ガイドラインで推奨度Aなのに、それは無いでしょう。
 我々医師は、「ガイドラインは提示」し、その上で(患者さんご本人が)拒否された場合には行わないとすべきです。(専門医の義務と言えます)