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術前化学療法受けるべきか…

[管理番号:487]
性別:女性
年齢:43歳
4月から乳癌疑いがあり、それから、このブログをみて、参考にさせていただきました。
最初の病院から紹介状を書いていただき、今は、癌の専門病院で色々な検査をして、今日結果が出ました。
ステージ2B~3Aリンパ節転移がかなりあるようです(最大2cm)。腫瘍5cm以上?
ER100% PgR60% 
HER2陰性 ki-67 70% 
リンパ節転移がかなりあること、Ki-67の数値が高い為、術前化学療法でACとタキソテールを勧められました。
リンパの腫れは自覚症状もあるので、早く決めたい気持ちはありますが、術前化学療法への覚悟が出来ず悩んでいます。
先生は日頃から術前化学療法はあまり勧めていないようですが、私の場合受けるべきでしょうか?
(2015年6月の質問)
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 「リンパ節腫大」があると(以前なら)私も迷うことなく「術前化学療法」を勧めていました。
 しかし、安易に術前化学療法を行う反省もあり、今では「きちんとした本来の適応」を用いています。

状況の確認

「ステージ2B~3Aリンパ節転移がかなりあるようです(最大2cm)。腫瘍5cm以上?」
⇒この記載は、少々曖昧です。
 その「癌の専門病院の担当医」は「きちんとした診断」を質問者に示さずに「術前化学療法を勧めている」のでしょうか?
 (腫瘍が5cm以上とすると) cT3となりますが、その場合 cT3, cN1, cStageⅢAとなります。
 (ステージ2Bだとすると)cT2, cN1となり、2cm<腫瘍径≦5cmとなり、「腫瘍5cm以上?」という記載からは外れてしまいます。 ★実際のところは、cT3, cN1, cStageⅢAもしくはcT2, cN1, cStageⅡBもしくはcT2, cN2, cStageⅢAのどれかだとは思いますが、『自分が一体、どれにあたるのか?』一度「担当医に確認」が必要です。  

回答

「リンパ節転移がかなりあること、Ki-67の数値が高い為、術前化学療法でACとタキソテールを勧められました」
⇒この記載からすると術前化学療法の絶対的適応である『腫瘍を小さくして温存する』という事ではないようですね。
 
「リンパ節転移がかなりある」「Ki67の数値が高い=luminal Bだから、(どうせ術後に化学療法は必要だし)luminalBだから(Aよりは)効くかもしれない」という理由ですね。
⇒「リンパ節転移がかなりある」という表現が「血管周囲に浸潤していて、このまま手術では取りきれない」という意味では無いとすると、特に「術前化学療法」を強く勧める根拠には乏しいと思います。
 
「先生は日頃から術前化学療法はあまり勧めていないようですが、私の場合受けるべきでしょうか?」
⇒質問者が「縮小させて温存を狙う」つもりでなければ、「手術先行」でいいと思います。
 「化学療法が効く筈だ」という考えは危険です。
 「効かない化学療法をやっている期間」に「腫瘍が増大して手術不能となったり、(置いておいた)腫瘍から新たな転移(遠隔転移)が出現する」リスクがあるのです。
 Luminal typeでは「化学療法が著効して完全寛解となる事はない」でしょう。
◎担当医に一度聞いてみてください。(術前に化学療法をした方がいいとか、そういう話では無く)『現実として今、手術はできるのですか?』と。
 「手術可能な状態」であれば、私は「手術先行」を勧めます。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

忙しいところ、回答ありがとうございました。
ステージについても、腫瘍の大きさについても、前回書いた通りが昨日の主治医の説明でした。
はっきり、cT3とかcT2とか言ってくれませんでした。
術前化学療法して、全摘、リンパ節郭清すると言われ、手術先行は、出来ないかたずねましたが、リンパの転移の数と、ki-67の数値からお勧めしないと。血管周囲に浸潤しているとは言われませんでした。
何しろ、今から手術だと、その病院では、1ヶ月半待ちだそうです。
既に4月から時間も経過して、日に日にリンパの腫れが気になる し、腫瘍の大きさも気になるので、1ヶ月半も待っていたら進行してしまうだろうし、それなら何もしないより化学療法を始めた方がいいのでしょうか。
リンパが血管周囲に浸潤していなければ、数が多くても先生のところでは、手術先行可能ですか?
 

田澤先生から 【回答2】

 こんにちは。田澤です。
 きちんとした説明が無い(はっきり、cT3とかcT2とか言ってくれません)
 それでいて「リンパの数とKi67の数値からお勧めしない」と「担当医の一方的な姿勢」には疑問符(?)がつきます。
「腫瘍の大きさも気になるので、1ヶ月半も待っていたら進行してしまうだろうし、それなら何もしないより化学療法を始めた方がいいのでしょうか」
⇒「手術を先行したら、1か月半も待つから」という理由で選択するのは良くありません。
 
「リンパが血管周囲に浸潤していなければ、数が多くても先生のところでは、手術先行可能ですか?」
⇒私であれば「リンパ節の転移の数」は関係ありません。
 実際に、結構多くの方が「そのような状況」で「手術先行」を希望します。
 私であれば、「手術先行」でOKです。