Site Overlay

術前抗がん剤治療について

[管理番号:5411]
性別:女性
年齢:57歳
初めまして、度々こちらのQandAを拝見しております。
先月に、私の母が乳癌と診断を受けまして、その治療方針などに対して疑問があり、今回ご質問をさせて頂きました。
6月に帯状疱疹を患い、皮膚科を受診しました。
そこで先生から気になるしこりがあるからとA病院の乳腺外科を紹介され、検査の結果、乳癌(右乳房右上しこり 3センチ/ステージⅡb/サブタイプ ルミナルB)と診断されました。
CT検査の結果はリンパが腫れており転移の可能性があるとのことでした。
A病院の先生からは設備が整った病院での手術になるのでと、○○を紹介してもらうことになりました。
その際に、手術と抗がん剤治療どちらが先がいいか(抗がん剤が効きにくいタイプであることは説明を受けました)と聞かれましたが、突然に聞かれても決めようがなかったので悩んでいると、○○の先生と相談してみますとお話されました。
そして後日 ○○に行くと、抗がん剤治療からスタートさせましょうというお話をされました(こちらでも抗がん剤が効かない可能性があるので、その時はすぐに手術をしなければならないと説明を受けました)。
また、○○で骨シンチを行い、骨への転移はなかったもののMRIの結果、リンパに3つほど転移がある旨診断を受け、しこりが皮膚に癒着しているように見えるとのことでステージⅢb(T4N1M0だったと思われます、悪性度40%と診断されました)に上がりました。
現在は抗がん剤治療をするにあって、虫歯があってはならないということで、ダメな歯の抜歯を行ったりと治療に向けて準備をしており、歯の状態が落ち着いてから、
おそらく9月末から抗がん剤治療をスタートする見込みです。
どのような薬を使うかはまだ聞いておりませんが、週に1回、3週連続で投与したら1週休みというサイクルで最初の数か月は行っていくということです。
ここまで、説明が長くなってしまいましたが、○○で先生から説明を受けてから、抗がん剤治療を先にやることが良い選択なのか(治療中に転移するのではないか)という疑問がふつふつとわいてきました。
田澤先生の過去のQandAを拝見していましても、ルミナルBの場合は手術先行がいいとお答えされている内容ばかりでしたので、手遅れになってしまわないかと大変不安を感じております。
母には万が一抗がん剤が効かなかった場合のことを話し、母はできれば部分切除を希望してるのですが(これについては先生にはまだお話していないと母は言っていますが、先生も部分切除で考えているのか手術後に残った乳房からの再発を防ぐために放射線治療もしないといけないとお話していました)、全摘出したほうが再発のリスクは少ないのではないかということも話しました。
しかし、母は既に精神的に参り始めているせいか、あまり聞き入れてくれず、私もその状態を見ていて強く言うことができません。
田澤先生は、ルミナルBでも、部分切除の希望を除いて(全摘出希望でも)、病状によっては抗がん剤治療を先に行いましょうとすることはありますでしょうか?
また、母が手術先行を希望し、それを自ら先生に伝えない限りは、このまま抗がん剤治療からのスタートを受け入れざるを得ないのでしょうか?
その点につきましても、アドバイスを頂けましたら幸いです。
長文乱文失礼いたしました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
メール内容は了解しました。
一番の問題点はたびたび登場する(リンパ節転移を)「CTの結果」とか「MRIの結果」などで判断していることです。
そもそも「リンパ節転移」は手術を(先に)しない理由にはなりません。(リンパ節は普通に手術で摘出するものだからです)
なぜ「CTやMRIでリンパ節転移の判断をしていることが問題点」なのかというと…
リンパ節は(本来、執刀医自らが)超音波で見て、「リンパ節転移の状況を手術を想定しながら」評価すべきなのです。
○そもそも「まともにリンパ節郭清ができない」乳腺外科医が急増している(背景には「手術を楽に行うように拡大解釈され続けた術前化学療法」があることは間違いありません)
 ♯要は、「その医師がまともにリンパ節郭清ができない=(本来手術適応なのに)強引に術前抗がん剤へ持っていかれる」という状況が横行しているのです。
「田澤先生は、ルミナルBでも、部分切除の希望を除いて(全摘出希望でも)、病状によっては抗がん剤治療を先に行いましょうとすることはありますでしょうか?」
⇒私は(無意味な)術前抗癌剤を勧めることは決してありません。
 術前抗がん剤の適応は「小さくして温存を患者さんが望む場合」のみです。(自分でエコーをしてリンパ節転移の状況を確認し、「手術不能と判断」した場合には抗癌剤を選択せざるをえませんが)
 
「また、母が手術先行を希望し、それを自ら先生に伝えない限りは、このまま抗がん剤治療からのスタートを受け入れざるを得ないのでしょうか?」
⇒問題は(CTやMRIでリンパ節転移があるというだけで)抗癌剤を推奨するような医師が「自信をもって腋窩郭清ができるのか?」ということだと思います。
 きちんと、(その医師自身がエコーして)「手術先行希望でも大丈夫ですよ」と判断してもらいましょう。