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術前の抗がん剤について

[管理番号:5321]
性別:女性
年齢:39歳
術前の抗がん剤についてお聞きいたします。
39歳 1.5センチの浸潤がん
-ER+,PgR+-,HER2-,Nuclear
grade2,核分裂像8個/
10PHF(sore2),Estrogen
receptor陽性80~
90%,Progesterone
receptor+-5%程度、HER2
陰性、MIB-1陽性細胞30~40%
エコ―でリンパに2ヶ所転移が認められる。
CTでは多臓器への転移はなし。
すぐ手術と考えていましたが、手術前に抗がん剤をした方が効果がわかり、リンパも少なく手術できるかもしれないと言われました。
どちらがいいのかとても悩んでいます。
抗がん剤は、TC療法です。
また、生存率、再発率についてはどうなりますでしょうか。
抗がん剤の効果はどのくらいでしょうか。
リンパについては、通常、手術中にどのレベルまで転移しているのか判断して切除するのでしょうか。
Ki67の30~40はハイリスクと言われとても恐ろしいです。
再発率は高くなるのでしょうか。
とても焦っています。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
術前抗がん剤の唯一の適応は(そのままでは大きすぎて温存できない場合に)「小さくして温存」という目的のみです。
「手術前に抗がん剤をした方が効果がわかり」
⇒誤りです。
 抗癌剤の目的は「術後の再発予防」です。
 術前に(目に見える)「腫瘍に効果があるのか?」とは無関係です。(対象が違うのです)
「リンパも少なく手術できるかもしれない」
⇒これも誤りです。
 手術は(絶対に)「化学療法前の状況」通りに行わなくてはならないのです。
 ♯つまり「化学療法前の状況でレベル2までなら、(化学療法で小さくなったとしても)手術はレベル2まで行う」これが大原則なのです。
「生存率、再発率についてはどうなりますでしょうか。」
⇒抗癌剤は「術前に行っても、術後に行っても予後は変わらない」ことが解っています。
「抗がん剤の効果はどのくらいでしょうか。」
⇒ルミナールだから、それ程強くはないでしょう。
「リンパについては、通常、手術中にどのレベルまで転移しているのか判断して切除するのでしょうか。」
⇒術前(術前化学療法を行った場合には、化学療法前)の画像所見を参考に行います。
「Ki67の30~40はハイリスクと言われ」
⇒全くの誤りです。(担当医の無駄な脅しの意味が解りません)
 ルミナールAかBなのか?
 術後にOncotypeDXすべきです。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

ほぼ同じ内容の質問が2回入りました。10/1 8時受付分について回答をしています。
術後の治療について
性別:女性
年齢:39歳
いつも先生のQ&Aを拝見させていただいています。
前回は質問にお答えいただき大変ありがとうございました。
先生のお話を聞いて手術先行を決め、8月下旬に手術を終え、来月初めから抗がん剤を始める予定です。
術後の病理の結果が出ました。
浸潤部 12×10ミリ
ER+60% PgR+30% ,HER2 Score 1+
Nuclear grade3
Ki67 約40%
リンパ節 Level1 3/17 ,Level2 0/4
術前ではgrade2でしたが、3となっており、Ki67の数値とともに悪性度が非常に高く、リンパ転移の数も多くとてもショックを受けました。
手術して腫瘍がなくなったと明るい気分になったところで結果を知り、
またかなり落ち込んでしまいました。
・2が3となったことで、再発・生存率に具体的に何%違いが出てきますでしょうか。
浸潤部の大きさはそれほど大きくはなくても、リンパ節に3つも転移があり、
再発・遠隔転移の可能性がどれほどあるのかととても恐ろしくてたまりません。
・この結果の場合、再発率・生存率がどのくらいあるか教えていただけますでしょうか。
私はステージ2aということでよろしいでしょうか。
根治する可能性があるのか知りたいです。
・同じステージ2aでも、2センチ以上で転移なしと、2センチ以下で転移ありだと、
再発率等に違いが出てきますか。
やはり転移ありの場合は不利でしょうか。
・また、抗がん剤はTC療法の予定ですが、この選択で大丈夫でしょうか。
主治医は、AC療法とどちらにするか選択してくださいと言われましたが、
より期間が短い方と思い、TCとしましたが、この選択でよいのか不安になってきました。
・TC療法を受けた場合の、ルミナールBタイプの再発率等の効果の上乗せはどのくらいでしょうか。
・また、ER60%、PgR30%ということで、ホルモン受容もそれほど高くなく、
ホルモン療法で私はあまり効果がないのではないかと、これも不安になっています。
・リンパに3つ転移とありますが、主治医には放射線をするかは微妙なラインと言われました。
通常は4つ以上で適用となるそうですが、1~3でも生存率に効果があったという記事をみて受けた方がいいか悩んでいます。
現在の病院では、放射線の施設が無いのですが、先生の所でトモセラピーを受けることは可能でしょうか。
質問が多岐に渡り申し訳ありません。
先生の丁寧で分かりやすい説明にいつも元気づけられています。
どうぞよろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「・2が3となったことで、再発・生存率に具体的に何%違いが出てきますでしょうか。」
⇒無関係です。
 グレードのことは忘れましょう。(それが忘れられないのであれば、このQandAを見ても無意味かもしれません)
「この結果の場合、再発率・生存率がどのくらいあるか教えていただけますでしょうか。」
⇒再発率は18%
 10年生存率は89%
「私はステージ2aということでよろしいでしょうか。」
⇒その通りです。
 pT1c, pN1, pStage2A
「根治する可能性があるのか知りたいです。」
⇒???
 このQandAでも、この質問をする方が多い事に非常に疑問を感じています。
 「根治する可能性がもしも無かったら」、無駄な治療を勧めることはないでしょう。(治療をしても無駄となるから)
 ☆実際には「根治する確率を増やす」ために(術後)治療をするのです。
 「根治する可能性がないのでは?」という発想そのものが、全くナンセンス。
 実際は80%以上の確率で根治するわけです。
「同じステージ2aでも、2センチ以上で転移なしと、2センチ以下で転移ありだと、再発率等に違いが出てきますか。」
「やはり転移ありの場合は不利でしょうか。」

⇒あまり変わりません。
「・また、抗がん剤はTC療法の予定ですが、この選択で大丈夫でしょうか。」
⇒Ki67=40%は本当ならOncotypeDXすべきだとは思いますが…
 ルミナールBと考えるのであれば、TCとなります。
「・TC療法を受けた場合の、ルミナールBタイプの再発率等の効果の上乗せはどのくらいでしょうか。」
⇒もしもルミナールBとすれば…
 20%近くあるかもしれません。
「また、ER60%、PgR30%ということで、ホルモン受容もそれほど高くなく、ホルモン療法で私はあまり効果がないのではないかと、これも不安」
⇒全く余計な心配です。
「先生の所でトモセラピーを受けることは可能でしょうか。」
⇒直接、放射線科に申し込みましょう。(可能だと思います。)