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術前と術後病理検査の違い

[管理番号:4410]
性別:女性
年齢:46歳
はじめまして
質問させていただきます
術前検査で
しこり2.5cm リンパ節転移なし
エストロゲン+ プロゲステロン+
HER2 1+ ki67 ++(80%)
病期T2N0M0 2A期 ルミナールB
今年1月半ばに左乳房全摘手術+センチネル生検、
腋窩リンパ郭清しました
術後の病理検査の結果では
しこり5.5cm×3.5cmリンパ節転移 4個
エストロゲン+ プロゲステロン+
HER2 2+ ki67 20% 浸潤がん
病期T3N2M0 3b期 ルミナールB
リンパ節転移0がいきなり4はありえるのでしょうか?
それとも術前の画像診断(超音波、CT)に問題があったのでしょうか?
腫瘍径は、倍近く大きくなり
ki67は、4分の1になりました
これらもありえることでしょうか?
担当医に質問したところ
「画像の限界、計り方でかわる」
といった回答でした
12月にステージ1温存だったのに
術前にはステージ2全摘と言われ
術後になってステージ3b悪性度が高いと告げられました
この変わりようも普通でしょうか?
来週から抗がん剤、放射線、ホルモン治療と提案されていますが
今までの色々な不信感がつのり(すべての担当が違う大学病院で執刀医は
手術当日に初めて会い、あまりに若い女医でした)これから再発などの検査でも見逃されてしまうのではと不安になり
今さらですが転院も考えています。
どうぞよろしくお願いします
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
①「浸潤径」や②「リンパ節転移の個数」に関しては、画像診断では以外に解らない事もあるということを御理解ください。
だから②については、「センチネルリンパ節生検が必須」となるとも言えます。
「リンパ節転移0がいきなり4はありえるのでしょうか? それとも術前の画像診断(超音波、CT)に問題があったのでしょうか?」
→これは残念ながら、当院でも起こりえます。(5%前後はあると推測しています)
 大学病院であれば、なおのことあるでしょう(失礼にあたったらスミマセン)
「腫瘍径は、倍近く大きくなりki67は、4分の1になりましたこれらもありえることでしょうか?」
→浸潤径については冒頭でコメントした通り、「顕微鏡でしか解らない領域」は存在します。
 ○Ki67は、「そもそも病変全体で評価すべき」ものです。
「来週から抗がん剤、放射線、ホルモン治療と提案されています」
→もしも「本当に化学療法が必要なのか?」疑問があるなら、OncotypeDXすべきです。
 ♯予めコメントしておきますが、「閉経前、リンパ節転移陽性でも適応あり」です。
「すべての担当が違う大学病院で執刀医は手術当日に初めて会い、あまりに若い女医でした」
→大学病院では「ごく当たり前」の事ですが…
 「教育機関」である以上、必要悪とも言えますが、「患者さんにとっては最善ではない」ことは、言うまでもありません。
「今さらですが転院も考えています」
→術後治療は「信頼関係が成立していない」場合には困難だと思います。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

早速の回答ありがとうございます
田澤先生のお言葉に心強くなります
OncotypeDXは
ステージ3、リンパ節転移4個からも
考えていませんでした
担当医からも抗がん剤は必然の提示がありました、考えたいと思います
が結果まで時間が空くのが少し不安です
(手術が1月半ばのため)
使用する抗がん剤の質問ですが
5FU、シンクロフォスファミド、エピルビシンを3週間毎4回
パクリタキセルを毎週投与12回
を言われたした
もし化学療法する場合、
田澤先生も同じ抗がん剤でしょうか?
あと、化学療法する場合の
上乗せ効果はどれくらいでしょうか?
再質問申し訳ごさいません
よろしくお願いします
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「OncotypeDXはステージ3、リンパ節転移4個からも考えていませんでした」
⇒術後のKi67=20%であるからには、OncotypeDXすべきだと思います。
 実際に、同様のケースで「ホルモン療法単独」となった患者さんもいらっしゃいます。
 「リンパ節転移4個」だと、「Ki67だけでルミナールA(だから化学療法不要)」と判断することには抵抗があるでしょう。
 その意味ではOncotypeDXすることで「より確信が持てる」のです。
「5FU、シンクロフォスファミド、エピルビシンを3週間毎4回 パクリタキセルを毎週投与12回」
⇒所謂「アンスラタキサン(アンスラサイクリン+タキサン)」ですね。
 ちなみに当院では「トリプルネガティブでの標準療法」です。(ルミナールでは、原則行いません)
 また、その場合には5Fuは行いません。(FECではなくECで行っています)
「もし化学療法する場合、田澤先生も同じ抗がん剤でしょうか?」
⇒当院で(ルミナールタイプで)抗癌剤をする場合にはTC(4サイクル)です。
「あと、化学療法する場合の上乗せ効果はどれくらいでしょうか?」
⇒これが(本当に)知りたいならOncotypeDXすべきです。
 ルミナールA(low~intermediate risk)なら「上乗せは4%以下」となり、再発率も(ご本人が考えているより)低いと思いますし、
 もしもルミナールB(high risk)となれば、「上乗せは20%近く」となり、それ(化学療法)をするモチベーションも「グンと」上がります。
 ♯この状況でNewadjuvant.comをすると、両者が混ざった「中途半端な数値」となるのです。
  「抗がん剤をすることに決めている」なら、(数値など気にせずに)抗癌剤を行うのも一つの方法かもしれませんが、『本当の数値を知りたいのなら、OncotypeDXをすべき』なのです。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

お世話になります
もう一点質問させてください
先日の回答で
「もし化学療法する場合、田澤先生も同じ抗がん剤でしょうか?」
⇒当院で(ルミナールタイプで)抗癌剤をする場合にはTC(4サイクル)です。
この理由を教えて下さい
FECと同じ効果で副作用が少ないのでしょうか??
担当医からの抗がん剤の提案は
5FU、シンクロフォスファミド、エピルビシンを3週間毎4回
?
パクリタキセルを毎週投与12回です
よろしくお願いします
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
「この理由を教えて下さい」
⇒ルミナールタイプの治療の主体は「あくまでもホルモン療法」なのです。
 (化学療法のみが治療である)「トリプルネガティブ」と同列に考えていないからです。
 つまり使い分けているということです。
「FECと同じ効果で副作用が少ないのでしょうか?? 担当医からの抗がん剤の提案は 5FU、シンクロフォスファミド、エピルビシンを3週間毎4回 パクリタキセルを毎週投与12回です」
⇒これは所謂「アンスラタキサン」です。
 私は基本的に「トリプルネガティブ」でしか「アンスラタキサン」は用いません。