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腫瘍径と浸潤径が大きい場合の、術後療法について

[管理番号:6399]
性別:女性
年齢:47歳

田澤先生、はじめまして!

私も乳がんと診断されて以来、こちらで勉強させて頂いております。
お忙しい中恐縮ですが、術後の不安があり初めて質問させて頂きます。
実は3日前に、一度送らせて頂きましたが、公開がなく、もしかしたらエラーかもしれないと思い、再度送らせて頂きます。
どうか宜しくお願い致します。

47歳 閉経前です。

2018年3月中旬
毎年受けている人間ドッグ、マンモグラフィーにて、左乳房石灰化カテゴリー3と指摘され、精密検査。

4月上旬
乳がんと診断。

5月上旬
左乳房全摘手術を受けました。

以下、病理の結果です。
診断
Invasive ductal carcinoma
Lymph nodes(dissection)No metastasis
所見
左乳線全摘出検体
大きさ 浸潤径 55×45×13mm 他に5mm大までの小浸潤巣が複数。
腫瘍径 85×55×13mm
組織型
Scirrhous carcinoma 〉Solidtubular carcinoma
波及度 f
ly(-)、v(-)、PVI(-)、EIC(-)、
Comedo type necrosis slight
Nuclear grade 1
Histological grade 2
Surgical margin (-)
頭側 50mm、尾側 25mm、正中寄り45mm、腋窩(外側)55mm、皮膚
側(20mm)、筋膜側(3mm)

コメント
乳管内にて充実性に増殖する成分も一部に混在しているが、大半は孤在性異型細胞の索状増生からなる。
直接浸潤巣とともに、やや離れた部位にも径5mm程度までの小浸潤巣が多発している。
(主治医は、肝心の乳管には癌が少なく、あちこちに飛び散り、それが全て浸潤しているのは、珍しいと…)
ki-67 約10%
ER〉90%
PgR 80ー90%
HER2 score 1+
術中迅速診断結果
P124358を転記
Lymph nodes / No metastasis(n=0/8)
術中迅速→永久標本病理診断、左腋窩リンパ節
① センチネルリンパ節疑い/ 結合組織のみでリンパ節は含まれていない。
(n=0/0)
② nonセンチネルリンパ節(1)腫瘍の転移は認められない。
(n=0/6)
③ nonセンチネルリンパ節(2)腫瘍の転移は認められない。
(n=0/2)
以上です。

質問①
昨年の人間ドッグのマンモグラフィーでは石灰化すら無かったのに、僅か一年で、こんなふうになってしまいました。
婦人科にてホルモン治療(ヤーズ7年)をしていたせいでしょうか。
(石灰化で見つかる癌は、早期だとこちらで知ったので、このような結果となり、大変残念な思いです…)

質問②
あまりの浸潤径と腫瘍径の大きさに恐怖を感じ、既に遠隔転移をしているのではないかと感じています。
私はこの先も、転移再発しやすいのではないでしょうか。
田澤先生も、転移再発する人の浸潤径は大きいし、進むのも速いと、おっしゃっていますよね…今とても苦しいです。

質問③
主治医から、ルミナールAではあるけれど、腫瘍の大きさからと、年齢が若い事もあり、リュープリンとタモキシフェン、そしてTC療法を進められています。
あとオンコタイプもしてはどうかと。
しかし私には、どうも納得がいきません。
というのも、田澤先生のコラムなどでは、オンコタイプでは腫瘍径や浸潤径は相関しない、若いからと言って抗がん剤はするべきではない。
あくまでも癌のタイプに合わせた治療をすべき。
というのを見たからです。

しかしながら、様々な質問者様の質問を見ていると、術後病理でki-67
が12%でも、ハイリスクと出た方もいらっしゃいますし…
そうなるとやはり私も、オンコタイプDXをした方が良いのでしょうか。

質問④
これもどなたかの質問で拝見しましたが、浸潤径が5センチを超えた場合には、全摘でも放射線治療が必要だと…
しかし主治医は「悪い物は全部取れてるから、しなくていいよ!」と。
本当にそうなのでしょうか。

質問⑤
小葉癌でもないのに、このような浸潤径や腫瘍径は、やはり予後が悪いのでしょうか。
ルミナールAで、大人しいはずの癌が、このような状況で大変なショックを受けております。
しかし、物事はシンプルに…の先生のお言葉のもと、これからできる事を、前向きに頑張ろうと思います。
質問は以上です。

どうぞ宜しくお願い致します。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
物事はシンプルに考えましょう。
根拠のない脅しに不安になることなく、シンプルに考えればいいのです。

「婦人科にてホルモン治療(ヤーズ7年)をしていたせいでしょうか。」
⇒おそらく、殆ど影響はなかったでしょう。
 今更、誰にも解らない事です。

「私はこの先も、転移再発しやすいのではないでしょうか。」
「転移再発する人の浸潤径は大きいし、進むのも速いと、おっしゃっていますよね」

⇒皆さん、勘違いしますが…
 私がいう「大きなしこり」と(手術してみたら)「顕微鏡的に、浸潤径が大きかった」は全く違います。

「腫瘍の大きさからと、年齢が若い」
⇒腫瘍の大きさも年齢も無関係です。

「そうなるとやはり私も、オンコタイプDXをした方が良いのでしょうか。」
⇒それが確実です。

「浸潤径が5センチを超えた場合には、全摘でも放射線治療が必要だと…しかし主治医は「悪い物は全部取れてるから、しなくていいよ!」と。「本当にそうなのでしょうか。」
⇒担当医の言う通りです。
 たしかに「5cm以上では放射線した方がよい」というデータが出ていますが…
 それは、「5cm以上の大きなしこり」という括りでいいと思います。
 ♯質問者のような「顕微鏡レベルで5cm以上だった」という場合には不要と思います。

「小葉癌でもないのに、このような浸潤径や腫瘍径は、やはり予後が悪いのでしょうか。」
⇒全く根拠がありません。

 
 


 

質問者様から 【結果2 腫瘍経と浸潤経が大きい場合の、術後療法についての結果】

性別:女性
年齢:48歳
病名:不明
田澤先生の診察:[診察なし]
田澤先生の手術:[手術なし]

田澤先生、こんにちは!
その節はご多忙な中、貴重なご回答を、ありがとうございました。

田澤先生に背中を押して頂き、あれからすぐにオンコタイプDXをオーダーしました。

結果は
再発スコア 9%
10年遠隔再発率 7% でした。

この結果を受け、主治医も抗がん剤の事は、言わなくなりました。
リュープリンも、年齢的に効果があるか分からないと言う事で使っておらず、再発リスクも低い事から、現在タモキシフェンのみの治療となっております。

先生がおっしゃった通り、放射線治療も必要無しとの事で、行っておりません。

術後病理の結果は、ステージ2A…
腫瘍経も浸潤経も大きかったので、かなり落ち込んでおりましたが、田澤先生のお言葉と、先生がすすめて下さったオンコタイプの結果で、気持ちがとても楽になりました。
先生のお陰で、前向きになれました。

乳がんと診断され、ネットを通して乳がんプラザと田澤先生に出会っていなかったら、今頃私はパニックで、どうにかなっていたと思います。
このような場を設けてくださり、本当にありがとうございます。

私も、これから最低5年間の治療は続きますが、根治を信じて、頑張って行こうと思います。

<Q&A結果>