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術後の療法について。

[管理番号:2696]
性別:女性
年齢:36歳
田澤先生、初めまして。
乳がんの告知を受ける前からこちらで色々参考にさせていただいています。
2月下旬に乳頭乳輪温存乳房切除術を受け、先日全ての病理結果が出ました。
以下、結果に書かれているまま記載します。
診断結果:悪性
病理診断:Scirrhous
carcinoma,right
breast,NSM+SN.Lymph
node:Negative.
病理所見:乳頭乳輪温存右乳房全摘術材料。
浸潤癌は連続3割面、I-Kに存在し、中等度から高度異型を示す上皮が管状、癒合腺管状、索状、小胞巣状に浸潤増殖しています。
乳管内癌成分、間質量ともに少量です。
硬癌と診断します。
臨床的に2病変とのことですが、割面Jで腫瘍径がやや減少しているものの、腫瘍は連続して存在し、一連の病変と考えられます。
センチネルリンパ節は迅速時の標本を再検討し、診断に変更はありません。
別途提出された針生検創部皮膚組織に悪性所見はみられません。
病変の占拠部位:右B領域
Invasive ductal
carcinoma,scirrhous
carcinoma,pT1a(0.5cm),f,ly0,v0,T
ubular formation 2,Nuclear
polymorphism 3,Mitotic counts 3,
組織学的悪性度:Nottingham grade
3,Nuclear grade 3(取扱い規約)
リンパ節:0/1(Sentinel:0/1).
UICC;pT1a,pN0(SN),M0
免疫染色(#10で施行)
ER:80%,Allred score TS7=PS5+IS2
PgR:80%,Allred score TS8=PS5+IS3
HER2:score2+(fishにてシグナル比
2.1/増幅ありの陽性)
MIB-1 index:30%程度
CK5/6:陰性
この結果から、今後の治療は抗がん剤+ハーセプチン+ホルモン療法になっていくのでしょうか?
乳腺外科の主治医から、今後の治療方針は腫瘍内科医の話を聞いてもらってから進めていくとのことで、まだ詳しく提示されていません。
腫瘍の大きさは0.5cmとなっていますが、2つあり、それが繋がっているので1つのしこりと考えたら、0.5より大きいのではないかと思うのですが、主治医はあくまでも測り方からの診断では0.5になるとのことでした。
ホルモン陽性、her2陽性、MIB1も30%なので放射線以外は全て受けたほうがいいのかなと思っています。
田澤先生のご意見をお聞かせ願えれば幸いです。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
pT1a(5mm), pN0
大変な早期乳癌です。
これだと、化学療法の適応は無いと考えてください。
「fishにてシグナル比2.1/増幅ありの陽性)」
⇒このように、記載されていますが、
 これは、少々細かいですが、「1.8≦シグナル比≦2.2」は、あくまでも「equivocal」
です。
 きちんと、「FISHで再検査」していますか?
 定義では(初回の)FISHでequivocalであれば、「もう一度FISHを行うべき」となっています。(もしも、それでもequivocalならば「2.0≦シグナル比で陽性としても良い」となるのです。
 
「この結果から、今後の治療は抗がん剤+ハーセプチン+ホルモン療法になっていくのでしょうか?」
⇒「5mm以下」だから「抗HER2療法を含めた抗ガン剤の適応外」となります。
 つまり「ホルモン療法単独」です。
 ただ、その「腫瘍内科医」から、「若いから、ハーセプチンだけでもした方がいいかも」みたいな「適当な提案」があるかもしれませんが…
 
「ホルモン陽性、her2陽性、MIB1も30%なので放射線以外は全て受けたほうがいいのかなと思っています。」「田澤先生のご意見をお聞かせ願えれば幸いです。」
⇒ホルモン療法単独です。
 pT1aでは「抗HER2療法」も「通常の抗ガン剤」も適応外です。