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術後の化学療法を受けるべきか

[管理番号:1688]
性別:女性
年齢:44歳
初めまして。
7月に乳癌と診断されてから、こちらを拝見させて頂いております。
乳首直下のしこりで受診
10月上旬に右乳房全摘、リンパ節郭清しました。
術後の治療について相談させて下さい。
今週中に答えを出さなくてはならず、泣きそうになりながらネットを検索する日々です。
*術前 マンモトーム生検結果
・非浸潤性乳癌
・ER 100%
・PgR 100%
*術後 病理結果
・浸潤性硬癌2.1×1.7cm
・腫瘍辺縁にコメド型の壊死や石灰化を伴う大型の乳癌内病巣多数あり
・g.f.s,ly/v(全て+)
・センチネル生検 2/2macro
・郭清リンパ節 転移あり 1/10
・断片陰性
・ER Jscore 3b(%は、まだ)
・PgR Jscore 3b(%は、まだ)
・HER2 ー
・ki67 30%
・核グレード3
化学療法6ヶ月+放射線+ホルモン治療10年を勧められております。
質問
・術後結果でホルモン受容体が100%だとしても化学療法をする効果はありますか?
・半年前に心臓発作(2度)受診歴ありのため(「喫煙歴なし、女性、?せ型なので、狭心症の可能性低い」との診断結果ですが)アンスラサイクリ
ン系を使用するのが怖くてたまりません。タキサン系だけを使用する意味はあまりないと言われましたが、先生の見解も同じでしょうか?
・ステージ2bと言われましたが、皮膚浸潤しているので(見た目はしていませんでした)3bなのでは?と怯えています。病理結果からすると、私の
ステージは?
・先生ならどういう治療を勧められますか?
主治医の事は信頼しておりますが、どうしても、抗ガン剤のデメリット
が大きい気がして決断に踏み切れません。
よろしくお願いしますm(__)m
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
pT2(21mm), pN1, pStage2B, luminal B(Ki67=30%)
「化学療法6ヶ月+放射線+ホルモン治療10年を勧められております」
⇒化学療法6ヵ月の中身は「アンスラサイクリン(EC, AC, FECのどれか)+タキサン(PTX, DTXのどれか)」ですね。PTX:パクリタキセル(タキソール) DTX:ドセタキセル(タキソテール)
 私であれば「ルミナールタイプに対する化学療法は「TC療法(3カ月)」とします。
    

回答

「術後結果でホルモン受容体が100%だとしても化学療法をする効果はありますか?」
⇒あります。
 上乗せ効果は10%程度は有る筈です。
 
「タキサン系だけを使用する意味はあまりないと言われましたが、先生の見解も同じでしょうか?」
⇒私の見解は「全く違います」
 (アンスラサイクリン無しのレジメンである)「TC(ドセタキセル+エンドキサン)」が(アンスラサイクリンレジメンである)「AC(アドリアマイシン+エンドキサン」より優れている(2007 サンアントニオ)
 上記事実を担当医は無視しているのでしょうか?(一度聞いてみてください)
 このことからTC療法が普及しました。
 アンスラサイクリン+タキサン > TC(タキサン) > AC(アンスラサイクリン) という位置づけとなっています。
 ○つまり「アンスラサイクリン系だけを使用する」よりは「タキサン系だけを使用する」方が有効なのです。
 
「ステージ2bと言われましたが、皮膚浸潤しているので(見た目はしていませんでした)3bなのでは?と怯えています。病理結果からすると、私のステージは?」
⇒ステージ2Bです。
 ○質問者が危惧しているのは『T4b(皮膚浸潤)』だと思いますが、以前のQandAでも回答した事があるのですが、「病理学的波及度」と「臨床的な皮膚浸潤」は全く異なります。
 波及度fはたいして珍しくもありません。
 
「先生ならどういう治療を勧められますか?」
⇒冒頭でコメントしたようにTC療法です。
 ルミナールタイプの化学療法は基本「TC」としています。
 (質問者の担当医とは異なり)「アンスラサイクリン無しでは無意味」などという考えはありません。(アメリカではアンスラサイクリン抜きのレジメンが拡がり、使用量は激減しています)
 ○因みに、トリプルネガティブや(ルミナールタイプでも)「有る程度のハイリスク」では「アンスラサイクリン+タキサン」としています。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

先日は、お忙しい中とても親切に迅速に回答頂きましてありがとうござ
いました。
皮膚浸潤と波及度の違いが分かり、心からほっと致しました。
*化学療法について、気になる点をもう追加質問させて下さい。
主治医いわく
「ki67=30%、グレード3 と、かなりのハイリスクなので強力な化学療法
6ヶ月やって叩いてしまいましょう。」
との事ですが、
先生も先日の解答欄に「ルミナールタイプでも高リスクの場合はアンス
ラ→タキサンを適用することがある」と書いてくださいましたが、やは
り私の場合は、高リスクに当てはまるのでしょうか?
TCだけでも効果はあると伺いほっとしておりますが、アンスラ→タキサ
ンで頑張った方が、より効果は上がるのでしょうか?
*今でも、全身に散らばっているかもしれないと思うだけで、居ても立
っても居られず早くホルモン治療を始めたい気分なのですが、リンパ節
転移3個の場合、放射線治療を追加するメリットはありますか?
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
世の中には「患者さんを無闇に脅す医師がいる」ことに驚かされます。
「かなりのハイリスク」などという表現を本当にしたのですか?
そもそも担当医の「ki67=30%、グレード3 と、かなりのハイリスク」というコメントには全く賛成できません。
pT2(21mm), pN1, pStage2B, luminal B(Ki67=30%)
全く「かなりのハイリスク」ではありません。
「ハイリスク」でさえもありません。
●普通の「ルミナールB」です。
○私が、化学療法の基準と考えているのは、
TC
・ルミナールA リンパ節転移4個以上
・ルミナールB リンパ節転移個数にかかわらず★
アンスラ+タキサン
・ルミナールA リンパ節転移10個以上
・ルミナールB リンパ節転移10個以上
・トリプルネガティブ リンパ節転移個数にかかわらず
○質問者は★に相当しています。

回答

「やはり私の場合は、高リスクに当てはまるのでしょうか?」
⇒違います。
 ごく「普通の」ルミナールBです。
 Ki67=30%ならば、「むしろルミナールAに近い」とさえ言えます。
 
「アンスラ→タキサンで頑張った方が、より効果は上がるのでしょうか?」
⇒私なら「全く迷うことなく」TCを選択します。
 
「リンパ節転移3個の場合、放射線治療を追加するメリットはありますか?」
⇒「4個以上」ならば推奨度Aとなり「1~3個」だと推奨度Bとなります。
 放射線照射は「通院は大変」ですが「副作用は殆ど無し」なので、(通院の負担が大丈夫ならば)「効果と副作用のバランス」の良い治療とはいえます。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

こんにちは。
先日は、真摯にお答え頂きありがとうございました。
本当に頭が下がります。
主治医にTC療法でお願いしたい旨伝えまして、無事 治療が始まりました。
今回はドセタキセル使用量について教えて下さい。
副作用の下痢が酷く、投与3-7日目の4日間程苦しみました。
投与7日目
白血球1200
好中球180
ポタコール点滴
投与12日目現在
発熱 37.4度
*質問
計算すると、ドセタキセル75mg/平方m
の投与だったようですが、
(主治医は投与できるmax量使ったといっておりますが)
先生も同等量使用されますか?
ドセタキセルの添付説明書を見ると、乳癌では60mg/平方mでよいのでは?と思うのですが…
本当に苦しい思いをしたので、次回投与量減らしたいのですが、そのように希望する事は、主治医にとって信頼されていないと感じるものですか?
是非先生のご意見をお伺いしたいです。
よろしくお願いしますm(__)m
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
「副作用の下痢が酷く、投与3-7日目の4日間程苦しみました。」
⇒整腸剤や止瀉剤は使用したのだと思いますが…
 酷い下痢は「脱水」となり体力を奪うので「減量の対象」となります。
 
「ドセタキセル75mg/平方mの投与 先生も同等量使用されますか?ドセタキセルの添付説明書を見ると、乳癌では60mg/平方mでよいのでは?と思うのですが…」
⇒確かに「添付文章」上は、「60mg/m2, 但し1回の最高容量は75mg/m2とする」と記載があります。
 これは「TC療法のエビデンスが75mg/m2で確率された」背景があります。
 ♯ 2007サンアントニオでの「TCはACよりも優れている」というエビデンスの際のTCのドセタキセルの容量は75mg/m2なのです。
 時代背景としてはFECが「70⇒100」(アンスラサイクリンであるファルモルビシンの容量設定が70mg/m2⇒100mg/m2)へと推移するなかで(タキサンである)ドセタキセルも「高容量化」したのです。
 
「先生も同等量使用されますか?」
⇒私も75mg/m2で投与します。
 TC療法のレジメンでは「75mg/m2」なのです。
 
「本当に苦しい思いをしたので、次回投与量減らしたいのですが、そのように希望する事は、主治医にとって信頼されていないと感じるものですか?」
⇒そんなことはありません。
 「自覚する副作用の程度」は(数字ではでないので)ご本人から申告してもらわないと解らない面があります。
 ご自分から「言ってもらえるのがありがたい」と言えます。