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術後の化学治療法

[管理番号:6631]
性別:女性
年齢:55歳
先生のサイトでいつも勉強させてもらっています。
温かく適切なコメントに敬服しています。
今回妻のことでご相談させてください。
55歳(最終月経2018年1月)
3月下旬にマンモグラフィー、エコー、右乳房組織診、腋窩細胞診を行い
サイズ40x30x31 ER(+)90% PgR(+)30% HER2 score2  Fish(-) Ki67 20-30% Nuclear grade1 Histological grade2 Nuclear atypia2 Mitotic counts1 Glandular
formation3
となりました。
事情があり転院し、前医病理標本を提出したところKi67 5%と訂正がありました。
そこで左にも非浸潤癌が見つかり、7月に両側乳房部分切除、右リンパ節郭清術を行いました。
左非浸潤癌
右浸潤癌、invasive micropapillary carcinoma
サイズ2.8cm N(4/10) ER(+)90% PgR(+)40%  HER2 score2  Fish(-) Mitotic counts1 Ly1 v0
T2pN2M0 Stage3A
となりました。
K167は術後病理標本では測定しないとのことでした。
7月中旬に主治医からは、リンパ節転移4個あるため、化学療法 AC3か月 タキサン3か月、その後放射線療法を提案されました。
オンコタイプDXを希望しましたが、リンパ節転移4個以上だと適応がないとのこと。
術前のKi67 5%とするとルミナールA、リンパ節転移4個以上となり、化学療法の適応となります。
ただ彼女は化学療法に強い拒否があり、その考えを尊重したい半面、可能な限り最良の治療をうけてほしいと思っています。
質問させてください。
①術前の情報ですがルミナールAでいいのでしょうか。
②リンパ節転移4個以上だとオンコタイプDXは対象外でしょうか。
(オンコタイプのサイトにもN1までとの記載がありましたが) 対象外だと参考値程度なのでしょうか。
③先生の病院ではルミナールA転移4個以上で化学療法を行わない方はどのくらいいらっしゃるのでしょうか。
コラムを拝読したところ歴史的に4個以上は化学療法とありました。
再発率は何%上がるのでしょうか。
質問が他の方と重複しているようならばお許しください。
先生の益々のご発展をお祈りいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「①術前の情報ですがルミナールAでいいのでしょうか。」
→(術後に測定しない以上)そう判断します。
「②リンパ節転移4個以上だとオンコタイプDXは対象外でしょうか。」
→違います。
 対象です。(今週のコラム99をご参照ください)
「先生の病院ではルミナールA転移4個以上で化学療法を行わない方はどのくらいいらっしゃるのでしょうか。」
→半数以上はいらっしゃいます。
 私の方針は
 1.Ki67≦20ならホルモン療法
 2.Ki67がグレーゾーン(20~40)の場合にはOncotypeDXを勧める。
   患者さんの事情でOncotypeDXしない場合には抗がん剤を勧める。
 3.Ki67≧40なら化学療法を勧める。
   患者さんの希望でOncotypeDXをした場合には、その結果に同意する。
 ☆上記方針は基本的に「リンパ節転移の有無に関係なし」なのですが、
  若干ニュアンスが異なるところは上記1を勧める際に、「ルミナールAでも(効果は?ですが)リンパ節転移4個以上だと一般論として抗がん剤の適応はありますよ。ご心配ならそれでもいいですよ。」と付け加えるくらいです。
「コラムを拝読したところ歴史的に4個以上は化学療法」
→私自身は、(方針上)その歴史に縛られていません。
「再発率は何%上がるのでしょうか。」
→OncotypeDXしてみれば解りますが…
 本当にルミナールAならば「抗がん剤をすることで再発率は逆に上がります」
 『2015年SABCSで発表されたDBCG77B第3相試験』により、ルミナールAでは「腫瘍径やリンパ節転移の個数にかかわらず化学療法によるベネフィットがない」のです。