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術後の化学療法について

[管理番号:6275]
性別:女性
年齢:40歳
田澤先生
乳がんと診断されてから毎日先生のQ&Aを読み勉強させていただいております。
乳がん発覚半年程前から、肩甲骨辺りが痛く骨転移では?と眠れぬ日々を過ごしていましたが、
先生の初発で遠隔転移は無いとのコメントを読み、本当に安心させていただきました。
(実際にPETCTもし転移はありませんでした。)
2月 乳がん宣告
3月 右乳房全摘手術を受けました。
病理結果が出てまもなく化学療法が始まります。
<病理結果>
ステージⅡA
浸潤がん 乳頭腺管がん
センチネルリンパ生検 (0/2)
ER(+) PgR(+)
HER2  2+ (FISH検査にて陽性)
腫瘍径 3.3cm
リンパ管侵襲 あり
血管侵襲 なし
Ki 67 30%
核グレード 3
<主治医の提案>
腫瘍径と核グレードが悪いため抗がん剤はしたようがよいとの事で、
①EC×4回→ハーセプチン18回
または、
②FEC×4回→DTX×4回→ハーセプチン18回 (※DTXとハーセプチンは別々にするとのことでした。)
ホルモン療法もします。
②の方が再発率が若干下がるとの事で、抗がん剤治療が長くはなりますが②を選択しました。
ここで、先生にご質問ですが、
(1)腫瘍径が3.3cmもあると予後は悪いでしょうか?
(2)②の化学治療で大丈夫でしょうか?
(3)FEC→DTXによる乳癌補助化学療法を受けた患者は治療終了後2年以上経過しても7割以上が毛髪減少に悩む【乳癌学会2013】という記事を読み髪があまり生えてこないのではと不安です。
先生はFEC療法はあまりされないかもしれませんが、記事のようにお感じになられた事はありますでしょうか?
(4)通院に問題なければ、DTXではなく週1のPTXに変更したほうが副作用は格段に楽になるのでしょうか?
3週間に1回の投与だと3週目ごろには回復して次の投与となるようですが、1週間だと回復することなく次週の点滴になるのでしょうか?
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
物事はシンプルに考えましょう。
治療は「リスクが高いから行う」時代から、「リスクを減らせるものを行う」時代に変化しています。
★質問者は「リスクが高いから抗癌剤(この場合には抗HER2療法)を行う」わけではなく、「リスクを減らせるから(HER2陽性なのだから、抗HER2療法を行うことで再発リスクは半分!!となるのです)行う」のです。
「腫瘍径と核グレードが悪いため抗がん剤はしたようがよい」
⇒(「主治医」か「質問者の受け取り方」のどちらかが)誤りです。
 シンプルに「HER2陽性だから抗HER2療法を行う」のです。(腫瘍径がどうだらは無関係)
「①EC×4回→ハーセプチン18回または、②FEC×4回→DTX×4回→ハーセプチン18回
 (※DTXとハーセプチンは別々にするとのことでした。」

⇒非アンスラサイクリンレジメンの選択肢がないのが不自然に思いますが…
「(1)腫瘍径が3.3cmもあると予後は悪いでしょうか?」
⇒そんなことはありません。
「(2)②の化学治療で大丈夫でしょうか?」
⇒gold standardだから悪い事は無いです。
「先生はFEC療法はあまりされないかもしれませんが、記事のようにお感じになられた事はありますでしょうか?」
⇒脱毛に関しては…
 患者さんが隠すので、なかなか把握できません。
「(4)通院に問題なければ、DTXではなく週1のPTXに変更したほうが副作用は格段に楽になるのでしょうか?」
⇒その通りです。
「3週間に1回の投与だと3週目ごろには回復して次の投与となるようですが、1週間だと回復することなく次週の点滴になるのでしょうか?」
⇒勘違いしています。
 抗癌剤の投与感覚は、あくまでも「回復するまでの期間」で決まっているのです。
 つまり、
 「3週間に1回のレジメンは3週間で回復するから、3週間」であり、「毎週投与のレジメンは1週間で回復するから1週間」なのです。