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局所再発の術後補助療法について

[管理番号:6295]
性別:女性
年齢:31歳
はじめまして。
乳がんについて調べているとこのサイトにたどり着くことが多く、参考にさせていただいております。
この度、乳がんの皮膚再発により手術を行い、その術後補助療法についての質問です。
~初発時~
2015.4
右側皮下乳腺全摘術(乳頭・乳輪温存)+同時再建
ステージ2
ルミナールB
ER、PgR ともに陽性
HER2 陰性(1+)
核グレード3
ki67 95%
術前、リンパが腫れているので転移かもと言われていましたが、センチネルリンパ節生検の結果転移なし(0/1)でした。
悪性度が高いため抗がん剤を勧められ、納得するためにオンコタイプDX検査もしましたが、やはり「高リスク」とのことで、
TC×4クールをしました。
その後、インプラントに入れ替え、ホルモン療法でタモキシフェンを服用していました。
LH-RHアゴニストについては、化学療法後無月経となっていたため併用なしでした。
(その後月経再開していますが、1年以上無月経だった場合はLH-RHアゴニストはしなくてもよいとのことで、追加しておりません)
今回の手術についてですが、局所再発ということで全摘手術を行いました。
症状が出ている部分は下の筋肉も取ったほうがよいとのことで、インプラントも取り除きました。
PET- CTにてリンパ節転移の所見(レベル1)があったため、リンパ節郭清もレベル2までしております。
遠隔転移はなしとのことです。
病理結果はまだ出ていませんが、術前に聞いたところ、術後補助療法は、
・化学療法(AC +パクリタキセル)
・放射線治療
・ホルモン療法(タモキシフェン以外)
を考えているとのことです。
本来ならば病理結果が出てから相談すべきかと思いますが、選択によってはあまり猶予がないため、この時点でのご意見をお伺いしたいです。
〈質問1〉
今回は局所再発にあたると聞いていますが、初発の位置からズレているのが気になります。
初発時→外側下部
再発時→内側下部から内側上部への広がり
(実際、場所が違ったこと、このような出方はめずらしいとのことで何度か経過観察になりました。)
局所再発であってほしいのですが、皮膚転移だった可能性はないでしょうか?
〈質問2〉
できれば、化学療法を受けたくないのですが、危険でしょうか?
理由としては、
①妊娠を優先したい
→初発時から挙児希望があり、受精卵凍結もしております。
(体への負担や費用のことを考えると、できれば自然妊娠が希望です。)
今回の化学療法によりまた無月経となること、閉経の可能性があること、化学療法の上乗せ効果(効かない可能性、前回のTCは効果がなかった?)等を考えると、受けたくない気持ちが強いです。
②脱毛がストレスになる
→薄毛になるのではないかという不安もありますが、外出するのが億劫になるという点でかなりストレスです。
(特に病気のことを話していない方に会わなければならない場面)
③放射線治療を早めに受けたい
→今回、皮膚が広範囲に赤くなっており、余裕をもって切除するとのことでしたが、周辺が心配なので局所療法を早く完了したい気持ちがあります。
こちらのQ&Aで、局所再発は局所療法のみでよいという回答を見て抗がん剤はしなくてよいかもという希望を持っておりましたが、今回リンパ節転移なし→ありに変わっているため、前回のTCだけでは不十分でしょうか?
〈質問3〉
もし化学療法を受けるのであれば、卵巣保護のためLH-RHアゴニストを
先に始めたいと思っております。
前回も婦人科の先生に勧められたのですが、化学療法担当の先生に抗がん剤の効果が薄れる可能性があるのでよくないと言われ諦めました。
今回予め主治医の先生に聞いたところ、効果が薄れるかどうかはよくわかっていないので、したかったらしてもよいが、卵巣機能が停止するまで2ヶ月ほどかかるため、するなら早く始めたほうがよいと言われています。
本当は受精卵凍結ももう一度しておきたいのですが…手術後→抗がん剤開始までの期間は3ヶ月以内くらいが許容範囲ですか?
また、質問2の理由③にも関連するのですが、化学療法の前に放射線治療というのは可能なのでしょうか?
放射線治療中にLH-RHアゴニスト→化学療法
〈質問4〉
前回20代後半でのTCで1年以上月経が止まりました。
直近の婦人科での
血液検査の値もあまり良くはなかったです。
30代前半ですが、2回目となると化学療法後閉経の可能性は高いですか?
〈質問5〉
病理検査が前回と大幅には変わらなかった場合、
①先生のお勧めする術後補助療法
②私の希望を考慮した場合の、術後補助療法の提案はどのようになりますでしょうか?
以上、長くなってしまいましたが、ご回答よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「(その後月経再開していますが、1年以上無月経だった場合はLH-RHアゴニストはしなくてもよいとのことで、追加しておりません)」
⇒誤り
 化学療法閉経から復活した場合には「速やかに」LH-RHagonistを行うべきです。
「局所再発であってほしいのですが、皮膚転移だった可能性はないでしょうか?」
⇒??
 用語的に誤りがあります。「皮膚転移は局所再発」のひとつです。
「できれば、化学療法を受けたくないのですが、危険でしょうか?」
⇒私なら…
 局所再発に化学療法を勧めません。
「今回リンパ節転移なし→ありに変わっているため、前回のTCだけでは不十分でしょうか?」
⇒??
 リンパ節転移がもしもあるなら…
 それは(初回手術時の)「センチネルリンパ節生検の失敗(「本来のセンチネルリンパ節=最初から転移していた」を取り残していた)」ということであり、「TCのせい」にするのは誤りです。
「化学療法後閉経の可能性は高いですか?」
⇒用語的に勘違いしているようですね。
 「化学療法閉経」は当然します。
 ただ(年齢的に)再開するでしょう。(月経が再開しないことを化学療法閉経と勘違いしていますか?)
「①先生のお勧めする術後補助療法」「②私の希望を考慮した場合の、術後補助療法の提案」
⇒局所は放射線照射
 全身はホルモン療法
 
 

 

質問者様から 【質問2 術後補助療法について】

性別:女性
年齢:31歳
お世話になっております。
田澤先生、ご回答ありがとうございました。
前回、質問がうまく伝わらなかったようで申し訳ありませんでした。
『今回リンパ節転移なし→ありに変わっているため、前回のTCだけでは不十分でしょうか?』
についてですが、

主治医は、前回リンパ節転移なしだったためTCを選択したようで、転移ありの場合はもっと強い抗がん剤が必要(アンスラサイクリン+タキサン?)という言い方でした。
田澤先生は局所再発には局所治療だが、初発時にしていなかった全身治療があればそれを行うという方針のようでしたので、その場合、初発時にしていなかったアンスラサイクリン系の抗がん剤が必要か?という意図でした。
いかがでしょうか?
それとも、ルミナールBではどんな場合(転移数が多い、悪性度が高いetc.)であってもTCで十分、なのでしょうか?
前回の質問の後、主治医から詳しい説明があり、そのときに確認したところ、再発は皮下のリンパにあったがん細胞が広がったのではないかということでした。
もし、取り残しのがん細胞が皮下のリンパにあったとすれば、リンパ節転移は取り残しではなく、今回の再発により転移してしまったということもありえますか?(それでも初回センチネル失敗の可能性もあるとは思いますが、初発時は本当に転移していなかったということ)
主治医からはリンパ管のバイパスから転移したのではないかと説明されました。
再発時にリンパ節転移した場合だと、方針が変わるということはありますか?
管理番号:5202 局所再発について。]で〝純粋な(取り残しである)局所再発と皮膚転移は違うのです〟とのご回答があるのですが、純粋な(取り残しである)局所再発と皮膚転移とは場所によって分けるのでしょうか?術側乳房上で収まっていれば局所再発になりますか?
現在、主治医からは、あまり見ないタイプでかなりタチが悪いので抗がん剤を強く勧めると言われており、まだ迷っています。
他の方のQ&Aで〝抗癌剤を迷っているケースでは「どうせやると解っている放射線~、始めておく」ということは「極めて良くあるケース」なのです。
〟というご回答を見つけて、先に放射線治療を始めようと考えています。
先に放射線治療の場合、化学療法時に白血球数が戻りにくくなると聞いたのですが、白血球数が下がりやすい体質だと放射線→化学療法は勧めないということはありますか?
また、前回の閉経についての質問ですが、『化学療法後(、月経が戻らず完全に)閉経してしまう可能性』と書くべきでした。
年代別のデータでは戻る可能性が高いとは思うのですが、2回目であること、主治医との話でTCの時の回復が遅いほうだったようでしたので心配になり質問しました。
田澤先生のご経験で、30代前半で月経が戻らなかった方はいらっしゃいますか?
それから、ホルモン療法についてですが、タモキシフェンは効いていなかったという判断で薬を変えるが、他に使える薬が閉経後用の薬(LH-RHアゴニストと併用)しかないと言われました。
こちらでは確か閉経前には用いないとの方針だったと思うのですが、田澤先生ならば今まで通りタモキシフェン、+LH-RHアゴニストという選択になりますか?
管理番号:5372 全摘局所再発手術後の放射線治療について]での局所再発に対するご回答を参考にしましたが、私の場合も当てはまっておりますでしょうか?
〝場所にもよりますが…〟という言葉が気になりました。
ちなみに、LH-RHアゴニストは終了後どのくらいの期間で月経再開するものなのでしょうか?
個人差があるとは思うのですが、大体どのくらいで再開する方が多いですか?
お忙しいところ申し訳ありませんが、ご回答よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「もし、取り残しのがん細胞が皮下のリンパにあったとすれば、リンパ節転移は取り残しではなく、今回の再発により転移してしまったということもありえますか?」
⇒ありません。(議論の余地なし)
「現在、主治医からは、あまり見ないタイプでかなりタチが悪いので抗がん剤を強く勧めると言われており、まだ迷っています。」
⇒私の回答に変更はありません。
「白血球数が下がりやすい体質だと放射線→化学療法は勧めないということはありますか?」
⇒無関係
「田澤先生のご経験で、30代前半で月経が戻らなかった方はいらっしゃいますか?」
⇒たいがい戻っています。
「田澤先生ならば今まで通りタモキシフェン、+LH-RHアゴニストという選択になりますか?」
⇒当然。
 局所再発で全身療法を変える理由がありません。
 物事はシンプルに考えましょう。
★局所再発と(全身の)再発を分けずにごちゃ混ぜにして治療を考える医師が多い事は(このQandAで、実に「しばしば」登場するので)承知しています。
 ただ、その医師が何を言おうと私の回答に変更はありません。