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術後の治療ついて

[管理番号:2701]
性別:女性
年齢:43歳
田澤先生 初めまして
妻(43歳)が、乳がんの診断を受けてからこちらで勉強させていただいております。
先日、手術後の病理結果が出て、今後の治療方針について説明を受けました。
両側浸潤乳管癌 左右とも温存手術
右 浸潤径9mm
左 浸潤径14mm
左右とも
センチネルリンパ節転移なし
ER陽性、PgR陽性
her2陰性
ki67 20%以下
核グレード1
脈管浸潤なし
切除断片が、左は陰性。
右が陽性。
右の病変は脇に近い場所で、しこりから乳頭方向に向けて60mm程の長さで切除。
背景乳腺に早期病変が10数個点在(2mm以下)。
切除部分の
乳頭側断片に5mmの非浸潤癌あり。
今後の治療は、放射線療法25~30回(右のみ5回追加)、その後、ホルモン療法を5年以上。
追加切除する選択肢もあるが、切除しても病変が見つからない可能性のほうが高い所見だし、体の負担も大きいので積極的には勧めない。
との説明でした。
病理結果の詳しい数字などは書面では出さないようです。
今後の治療方針について、先生のご意見をお聞きしたいのですが、
・断片陽性の場合は追加切除しなければならないイメージがありましたが、今回の結果であれば、主治医の言われたとおり術後療法だけでよさそうでしょうか?
再発率などに差はないのでしょうか? 再発率はどの程度になりますか?
妻は、手術が終わって落ちついたばかりで、せっかく温存してもらったのだから再手術は考えたくないと言います。
また、両側乳がんであることは、再発率の高さに関係しますか?
・ホルモン療法について、毎日の内服と生理を止める注射を3ヶ月に1回と説明があったのですが(薬剤名は聞いていません)、生理を止める薬とはLH-RHアゴニスト剤のことですか?35歳以上でリンパ節転移なしの場合は適応外と、こちらのQ&Aなどで拝見していますが、妻の場合は適応となりますか?
放射線療法と同時に行わないのは、肺への影響が出るかもしれないのでとの説明でした。
詳しい内容を確認できていないところもあり申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
右 pT1b(9mm), pN0, luminalA, NG1
左 pT1c(14mm), pN0, luminalA, NG1
左右とも十分な早期癌であり、低リスクです。
「切除断端が右が陽性」「背景乳腺に早期病変が10数個点在(2mm以下)。切除部分の乳頭側断片に5mmの非浸潤癌」「断片陽性の場合は追加切除しなければならないイメージがありましたが、今回の結果であれば、主治医の言われたとおり術後療法だけでよさそうでしょうか?」
⇒(非浸潤癌とはいえ)「乳頭方向に5mm」という比較的広範囲の「断端陽性」があります。
 追加切除が検討されるべきと思います。
 
「再発率などに差はないのでしょうか? 再発率はどの程度になりますか?」
⇒「局所再発率(温存乳房内再発)」には差は出ます。
 ただし、その「差」がどのくらいとなるかは「断端陽性にも程度がある」ので数値化することは困難です。
 
「また、両側乳がんであることは、再発率の高さに関係しますか? 」
⇒全く無関係です。
 たまたま同時期に(別個の)乳癌が左右に発生していただけの話です。
 
「・ホルモン療法について、毎日の内服と生理を止める注射を3ヶ月に1回と説明があったのですが(薬剤名は聞いていません)、生理を止める薬とはLH-RHアゴニスト剤のことですか?」
⇒その通りです。
 
「35歳以上でリンパ節転移なしの場合は適応外と、こちらのQ&Aなどで拝見していますが、妻の場合は適応となりますか?」
⇒適応外です。
 ただし、(おそらく)担当医がLH-RHagonistの話をだしているのは「断端陽性にも好影響を期待して」いるかもしれません。(本来は局所と全身は分けて考えるべきですが…)
 
「放射線療法と同時に行わないのは、肺への影響が出るかもしれないのでとの説明でした。」
⇒実際は無関係ですね。