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異型病変で経過観察と言われました。

[管理番号:2834]
性別:女性
年齢:41歳
3月上旬に乳腺エコーで左に「カテゴリー4構築の乱れ」がみられ、4月に針生検(2箇所採取)をしました。
今まで毎年の健康診断ではマンモを選んでいて、異常はありませんでした。
(今回もマンモは異常なしです)乳腺エコーは今回が初めてです。
結果ですが、「鑑別困難」とのことで、医師の説明によると、異型病変がみられるが程度は弱く、6ヶ月毎の経過観察でよいとのこと。
ただ異型→非浸潤がん→浸潤がんと移行する事もあるため、不安なら摘出してもいいでしょうと言われました。
病理組織報告書には下記の記載がありました。
(よくわからないのでそのまま載せます)
病理学的判断区分:検体適正 識別困難
組織診断:Atypical intraductal lesion of the left breast,needle biopsy.
所見:
L
CNB
Atypical(+)2/2
Flat typeの乳管内病変が少量採取されています。
細胞異型は弱いです。
経過観察の適応と考えます。
医師からは、異型病変からがんに移行することはあるが、乳がんは比較的進行も遅いため6ヶ月毎にきちんと経過をみていれば早期発見できるだろう。
しかし、現時点で摘出したとして、結果悪性だったとわかる場合もある(針生検で採取した組織にたまたまがん細胞がなかったということもあるため)との事で、急ぐ必要はないがよく考えて決めるよう言われました。
大きさは2センチ×1.5センチで、しこりは触れません。
1年程前から左胸が痛むことがあります。
子供もまだ小さく(授乳期は終わっています)いつか癌になるかもしれないと不安を抱えて過ごすより、現時点で摘出してしまった方がいいような気もしますが、医師から過剰な医療となる可能性も高く、6ヶ月毎の経過観察でも問題ないと言われ悩んでいます。
また、大きさも決して小さくはないのでは?と思ってしまい心配です。
担当医は都内大学病院の乳腺外科医局長で診察・検査・説明において非常に経験豊富でベテランな感じにお見受けします。
(あくまで私個人の主観ですが…)
先生のご意見をお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
このメール内容を見ての正直な感想は「危うさ」です。
私が想像するに、今回の「針生検」とは「バネ式針生検」だと思います。
「構築の乱れ=distortion」は注意が必要です。
一番、気になるのは
①(はっきりとした腫瘤とは異なり)「distortion」では「有る程度の組織量」が必要です。(つまり明確なターゲットとは言えず、「有る程度広範囲からの十分な組織量の採取」が鍵なのです。
②atypical intraductal lesion(異型乳管内病変)が『少量』しか採取されていません。
 ①でコメントしたように、「有る程度広範囲を採取しないと、病変の端っこ」しか採取されず、「過小評価の原因」となります。
 
「現時点で摘出してしまった方がいいような気もしますが、
医師から過剰な医療となる可能性も高く、6ヶ月毎の経過観察でも問題ない」
⇒私は全く意見が異なります。
 その医師が「どの程度、このような境界病変を経験」しているかは(申し訳ありませんが)解りません。
 私のように自らステレオガイド下マンモトーム生検を大量に経験し、
このような「境界病変」を沢山経験していると「如何に危うい診療が世間で行われているのか」いつもハラハラしています。
 
○参考のためについ最近手術した一例を挙げます。
 「distortion」として他院で(バネ式)針生検を施行され「良性」とされた患者さんでしたが、
 私が、マンモトーム生検(この場合は超音波ガイド下マンモトーム)を施行したところ「非浸潤癌」でした。
 ♯前医が(バネ式針生検で)「ターゲットを外してしまったのか、そもそもターゲットそのものが誤りだったのかは不明」ですが、そもそもdistortionに対して「バネ式針生検は力不足」なのです。
 
「都内大学病院の乳腺外科医局長で診察・検査・説明において非常に経験豊富でベテランな感じ」
⇒大学病院での診療経験では不十分だと(失礼ながら)思います。(正直な感想です)
 
 

 

質問者様から 【質問2】

先日はご回答いただきありがとうございました。
6ヶ月後に再度検査し、やはり不安なら摘出に踏み切ろうと考えていましたが、「構築の乱れ」には注意がや「かたね必要との事で、不安になってきました。
もし悪性なら6ヶ月も経過観察している間に進行してしまいますよね?
やはり早めにマンモトーム生検をした方がいいのでしょうか?現時点の病理結果のみで摘出を決断するのではなく、まずはマンモトーム生検をするべきですか?
担当医からはマンモトーム生検の必要性については、何も言われていないのですが、こちらから希望すれば検査をしていただけるものなのでしょうか?
できれば田澤先生に検査をお願いしたいと思い、取り急ぎ江戸川病院に予約を入れましたが、乳腺外科は非常に混んでいるため6月になってしまうとの事。
1ヶ月このまま放置せず、早めに他の病院でマンモトーム生検をした方がいいのでしょうか?
たくさん質問してしまって申し訳ありません。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは、田澤です。
「もし悪性なら6ヶ月も経過観察している間に進行してしまいますよね?」
⇒その可能性はあります。
 
「やはり早めにマンモトーム生検をした方がいいのでしょうか?」
「現時点の病理結果のみで摘出を決断するのではなく、まずはマンモトーム生検をするべきですか?」
⇒摘出して悪い事はありませんが…、
 エコーで「ターゲットがある」のであれば、「マンモトームで正しく採取」すれば、診断できると思います。
 
「担当医からはマンモトーム生検の必要性については、何も言われていないのですが、こちらから希望すれば検査をしていただけるものなのでしょうか?」
⇒そもそも、「その施設にマンモトーム生検の機器があるかどうか」不明ですし、
(もしあったとしても)「その意義について担当医が理解しているかどうか」不明なので、何ともいえません。
 
「できれば田澤先生に検査をお願いしたいと思い、取り急ぎ江戸川病院に予約を入れましたが、乳腺外科は非常に混んでいるため6月になってしまう」
⇒市川では、どうでしょうか? 5月中に予約は入りませんか?
 市川の中野さんにメール入れておくので、一度相談してみてください。(どうしても予約が取れない時にはご容赦ください)
メディカルプラザ市川駅「受診案内」はこちら
 
「1ヶ月このまま放置せず、早めに他の病院でマンモトーム生検をした方がいいのでしょうか?」
⇒焦る気持ちは解りますが…
 私の口から「他の病院のマンモトームでも十分に信頼性がある」とは言えないのが正直なところです。
 ♯通常の「しこり」であればまだしも「構築の乱れ」をターゲットとしてマンモトーム生検を行うのには「それなりの技術を要する」と思います。