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HP療法の治療期間と今後の治療について

[管理番号:3790]
性別:女性
年齢:57歳
先日月曜日に質問させていただいた者ですが、まだ回答を頂けていないので再度投稿させていただきます。
是非とも田澤先生のご意見頂きたくお願いいたします。
初めまして、田澤先生。
ご意見をお聞かせ頂きたくメールさせて頂きます。
私は現在57歳です。
2011年に乳がんが見つかり左乳房全摘出しました。
その際、病理検査ではエストロゲンは+、プロゲステロンは-、グレードⅢ。
HER2は+3の陽性、Ki67は30との事でした。
術後、再発予防の為抗癌剤TC療法で4クール。
そしてホルモン剤治療に変わりノルバデックスを服薬中、手術後ちょうど一年経過後に初発と同じ側のリンパ節にしこりが発生、腋窩郭清しました。
最初の病理検査と同じHAR2 陽性だったので手術後に3週間毎のハーセプチンを一年。
(その時には抗癌剤併用ではなくハーセプチン単独でした。)
それから3年間ホルモン剤での治療をしていましたが、去年鎖骨下にしこりが発生、再発。
またペットCTで肝臓と骨に僅かの転移がわかり、抗癌剤(ドセタキセル)とハーセプチン、パージェタ治療開始。
抗癌剤は6クールで終了。
今はハーセプチンとパージェタのHP療法を1年以上続けています。
お陰さまで鎖骨下のしこりも完全に無くなり肝臓の転移も消えたままになっています。
先日主治医より今後の治療についてどうするか?
ハーセプチンの副作用での心臓への影響は今のところ問題なく治療できているが
このままHPを続けるか?いったん止めるか?検討をしてください。と打診がありました。
もともとこの薬はそんなに何年も続けるような治療ではないと。
もちろんHP療法にお金は掛かりますが、それより再発は怖いですし、
でも主治医の説明でも、もしもまた再発した時にハーセプチンの副作用により心臓が駄目でハーセプチンが受けられなくなるのも怖いです。
現在はパージェタの副作用によりお腹が少し緩い程度で他には何もありません。
今の治療も来年の4月で2年になります。
主治医の先生からは薬が効いている事の贅沢な悩みだと言われていますが…
どうしたら良いのか?本当に分かりません。
現在の治療をやめて、また再発、転移した時にまた辛い抗がん剤を再開するより
このままこの薬が効かなくなるまで続けたほうが良いのでは?と思う気持ちもあります。
また今後の治療に関して主治医の先生からは無治療って事にはならないのでホルモン治療に切り替わると言われております。
しかしホルモン治療中にも関わらず再発、転移した事実を思うと私の場合 エストロゲンは+、プロゲステロンは-。
だからホルモン治療だけでは弱いのでは?と言う不安もあります。
また今後ホルモン治療に切り替わった場合にも(もちろん閉経しています)ノルバデックスで良いのか? 以前に主治医に確認した際にはノルバデックスで良いとの事でした。
田澤先生のご意見を伺えたら有り難いです。
質問が多岐にわたり申し訳ありません。
どうぞ宜しくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
まず術後補助療法としてTCだけしてHERを用いていない様ですが、「何故抗HER2療法が行われなかったのか?」疑問があります。
その後の「腋窩再発」後も「何故HER単独なのか?」
やはり、ここまで(常識とも言える)「抗HER2療法」をしてこなかった理由は
「質問者の意志」なのですか?
(HER2陽性乳がんでの)再発後の第1選択として「pertuzumab+HER+chemo(タキサン)」となるので、ここでようやく「通常の治療」となったと言えます。
「また今後の治療に関して」
⇒答えはありません。
 ただ、「副作用」と「経済的な負担」が許す限り「このまま継続」がいいと思います。
 もしも負担を感じるようになったら、(pertuzumabを切って)HER単独としましょう。
「主治医の先生からは無治療って事にはならないのでホルモン治療に切り替わる」
⇒そもそも(切り変わるではなく)ホルモン療法は併用すべきです。
「また今後ホルモン治療に切り替わった場合にも(もちろん閉経しています)ノルバデックスで良いのか?」
⇒これは「どう考えても」誤りです。
 アロマターゼインヒビターに変更すべきです。
 理由①閉経後であればアロマターゼインヒビターの方が成績が良い
   ②以前タモキシフェン治療中に再発した。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

こんにちは。
先日は忙しい中、ご見解を頂き有難うございました。
先日の私の病歴及び治療経過に関して説明不足もありましたので、少し捕捉し再質問させて頂きます。
5年前、術前での診断は非浸潤癌。
しかし全摘術後の病理診断で5ミリ以下の浸潤が認められての乳頭線管癌。
リンパ節転移は0.05ミリでした。
エストロゲンは+、プロゲステロンは-、グレードⅢ。
HER2は+3の陽
性は前回お伝えした通りです。
術後補助としての抗癌剤については、Ki67が30‰、グレードⅢ、HER2
+3なので、するべきかはグレーソーンだと言われました。
Oncotype Dxにかけても結果、グレーゾーンだとまた悩んでしまうとの事で行いませんでした。
悩んでセカンドオピニオンしましたが、そちらでも同じ見解でした。
最終的には私の判断で抗癌剤を希望しました。
一年後の局所再発の際の単独ハーセプチンは私の希望ではなく主治医から抗癌剤併用の示唆はありませんでした。
また、その事を後から聞いてみましたら、一年前に抗癌剤をやっていたので、、、と説明されました。
当サイトの中、田澤先生のお話では
「微小浸潤で乳房全摘」ならば、「当然、無治療」であり、再発は殆どありません。
とありますが私のような場合も微小浸潤で、ハーセプチン適応外だったのでしょうか?
また今後の治療に関して、前回伺った内容ですと
「答えはないがそのまま継続が良い」
との事でしたがそう思われる理由は何でしょうか?
このまま続けた場合の心臓への副作用の影響はどのようにお考えになりまか?
最近はないのですが(ハーセプチンを始めてからだと思うのですが)
時々胸がキューンと掴まれたようになる時がありましたので定期的に心エコーで診てはもらっていますが
正直心臓への影響も心配です。
主治医からはハーセプチン投与期間が長ければ長いほど回復力は低下すると説明されました。
このままHP療法を続けても再発の可能性はゼロではなく、長く落ち着いている今だから
心臓を休ませてあげたほうが良いのではないか?と言う主治医の意見です。
本当に悩んでいます。
忙しい中大変申し訳ありませんが
今一度 田澤先生のご意見を伺いたくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
質問者はいくつかの勘違いをされているようです。
「私のような場合も微小浸潤」
⇒微小浸潤は「浸潤径≦1mm」のことをいいます。
 
 質問者の場合は「5mm以下」とあるので(微小浸潤ではなく)「pT1a」となります。
 ただし、pT1aでは通常抗HER2療法の適応外であり抗HER2療法を選択する
とはありません。(これは、同時にTCを含めた、通常の化学療法の適応外だということです)
 抗HER2療法の適応外であるのに「化学療法のみを選択」されたことには違和感を禁じ得ません。
 ○もしも初回にTCを選択するのであれば(化学療法単独ではなく)当然「抗HER2療法とすべきだった」ということになります。
  
「Oncotype Dxにかけても結果、グレーゾーンだとまた悩んでしまう」
⇒そもそも、HER2陽性でOncotypeDXを選択する事自体が無意味です。
 あくまでも(HER2陰性の)ルミナールタイプで抗ガン剤が必要であるかを判断すべきものです。
 HER2陽性の場合には「浸潤径だけで」判断すべきです。
「そう思われる理由は何でしょうか?」
⇒現状で上手く言っている治療は(可能であれば)継続すべきなのです。
 もしも「治療を変更した」ことで、病勢悪化した場合には後悔することとなります。
 ♯ただし、それは『もしも負担を感じるようになったら』変えざるをえないのは
「前回の回答通り」です。
「このまま続けた場合の心臓への副作用の影響はどのようにお考えになりまか?」
⇒trastuzumabの心臓への影響は多くは可逆的であり、「total dose」にリミットはありません。(効果がある限り制限はないのです)
 当然、定期的に「心機能チェック」してますよね?(半年に1回行っていればOKです)
「心臓を休ませてあげたほうが良いのではないか?と言う主治医の意見」
⇒私の意見とは異なりますが、質問者がどちらを選択するのも勿論自由です。