Site Overlay

放射線治療をうけた方がいいのか悩んでいます

[管理番号:4710]
性別:女性
年齢:41歳
こんにちは。
放射線治療をうけた方がいいのか、悩んでいます。
【術前検査】
ガンの大きさ 2.7cm
リンパ転移 画像で3個
グレード 2
Ki67 63%
her2 +3
エストロゲン 陽性
プロゲステロン 陽性
ステージ2B(トリポジ)
できたら温存しようと思い術前化学療法選択
FEC→ドセ+ハーセプチン
途中気持ちが変わって結局
化学療法後
手術で全摘+脇リンパ郭清
※初期検査のエコー画像で胸骨傍リンパが腫大しており、術前化学療法で消えたら転移と考える、との事だったのですが化学療法後も小さくなってはいたものの残っていたので、手術時電気メスで胸骨傍リンパ組織をとりだし生検するとの事でした。
化学療法後の画像では胸のしこりはかなり小さくなっていましてが少し残存。
脇リンパは不鮮明になっていました。
しこりは自分で触ってみて残っている感じがしました。
【手術後結果】
ガンの大きさ 遺残なし
リンパ転移 15個中なし
ypT0
ypN0
脈管侵襲 評価不能
2B期→0期
全て消えていました。
1・画像上少し残っていたし、手で触れてわかるしこりがあったのにもかかわらず、上記の手術結果でガンが消えていたという事は完全奏功と考えていいのでしょうか?
(画像上にも、触った感じでもしこりが残っていたのにガン細胞が消えている事ってあるのですか?)
2・術前であった画像上のリンパ3個転移は化学療法で消えてしまったので、本当に3個だけだったのか、もしかしたら4個以上あったのでは、という不安。
(画像で3個ははっきり腫大していたのですが、4個目は逆のリンパの画像と比べて同じだったので転移はしていない、という見解でした。
が、リンパ転移は画像ではなくても手術をしたらあったという事をよく聞くので…)
3・手術でとりだした胸骨傍リンパ組織には、ガン細胞も存在していた痕跡もないので転移はなかった、という結果に不安。
(胸骨傍リンパの腫大の原因が、ネットで調べても転移以外あまりでてこないので、とりだした組織にたまたまガン細胞がなかっただけで、もしかしたら転移してるのでは…。)
この不安な事を含めて、田澤先生でしたら放射線治療は必要だと思いますでしょうか?
担当医は放射線は同じ場所に何回もできないのだから、今必要ないのにしなくても良いのではという感じです。
どうぞよろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
術前化学療法でpCRということですね。
画像上や触診上、腫瘍の残存と思えたとしても、「病理学的に腫瘍組織が消失(全て
瘢痕組織ということです)」していれば、それはpCR(pathological complete response 病理学的完全寛解)なのです。
術後照射の適応の大原則は(抗癌剤後ではなく)「あくまでも抗癌剤前の状況での適
応」に従うということです。
今回の場合には「術前画像診断で3個なら、不要」と(私なら)判断します。
「1・画像上少し残っていたし、手で触れてわかるしこりがあったのにもかかわらず、上記の手術結果でガンが消えていたという事は完全奏功と考えていいのでしょうか?」
⇒その通り、冒頭でコメントした通りです。
「(画像上にも、触った感じでもしこりが残っていたのにガン細胞が消えている事ってあるのですか?)」
⇒癌細胞が完全に消失した「瘢痕組織」だということです。
「2・術前であった画像上のリンパ3個転移は化学療法で消えてしまったので、本当に3個だけだったのか、もしかしたら4個以上あったのでは、という不安」
⇒これは、「術前抗がん剤」をした場合には「どうしようもない事実」です。
 画像所見を受け入れるしか方法はありません。
「3・手術でとりだした胸骨傍リンパ組織には、ガン細胞も存在していた痕跡もないので転移はなかった、という結果に不安。」
⇒画像所見が本当に「胸骨傍リンパ節転移を疑う所見」なのかどうか?
 実際に診ていないので解りませんが、「そもそも、疑うべき所見でさえ無かった」という可能性もあります。
「この不安な事を含めて、田澤先生でしたら放射線治療は必要だと思いますでしょうか?」
⇒重要なのは「画像所見の正しい評価」、結局これに尽きます。
 冒頭でコメントした通り、メール内容からは「照射の適応なし」と判断します。