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放射線治療

[管理番号:664]
性別:女性
年齢:53歳
 温存手術後 これから放射線治療が始まりますが 病理診断に  切除断端は陰性ですが、深部断端から2ミリ程度の領域に 癌の小葉内進展ないし乳管内進展わずかに認めています。 とありました。これは25回の治療で大丈夫でしょうか?
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 「温存術後の照射」ですね。

回答

「深部断端から2ミリ程度の領域に 癌の小葉内進展ないし乳管内進展わずかに認めています」
⇒これは全く問題ありません。
 深部断端とは、乳腺の裏側(大胸筋面)ですが、乳腺を完全に切除してあれば大丈夫です。
 それ以上マージンを取るためには「大胸筋を削る」しかありません。
 実際には「乳腺と大胸筋の間には」脂肪組織が豊富にあるので、(大胸筋に直接浸潤していない限りは)『大胸筋を削る必要は無い』のです。
 
 

 

質問者様から 【質問2 放射線治療】

回答頂きありがとうございました。手術した病院と放射線の病院はちがいます。 主治医からは25回と聞いていたのですが 放射線科の先生からは病理診断書から追加5回で30回と言われました。私はリンパ節転移が2個あったので鎖骨下リンパにも照射です。30回の方がいいのでしょうか?(14ミリ ホルモン陽性 her2陰性 ki6712% リンパ節転移2/12)
 

田澤先生から 【回答2】

 こんにちは。田澤です。
 「深部断端2mm」ですね。
 手術を知らない放射線科医らしい判断といえます。

回答

「主治医からは25回と聞いていたのですが 放射線科の先生からは病理診断書から追加5回で30回と言われました」
⇒これは同じ手術をする医師として主治医の考え方が正しいです。
 理由は前回回答に記載しましたが、「深部断端」とは「あくまでも乳腺内なので乳腺を切除」していれば全く気にする必要はないのです。
 ただ放射線科医は「手術の実際を知らないが為に」断端という言葉に反応したのでしょう。
 ○5回のBoost照射を「腫瘍床=腫瘍の元あった部位」にかける訳ですが、結果としてそれはそれで悪くはありません。
 江戸川病院では、そもそも全例で(最初から)30回照射をしています。(腫瘍床には余分にかけるべき。という放射線科医の方針です)
 私の真意は「5回のBoost照射が良く無い」というのではなく、「深部断端は全く問題無いという執刀医の代弁」なのです。
 
「私はリンパ節転移が2個あったので鎖骨下リンパにも照射」
⇒この放射線科医は、かなり積極派のようです。
 実際には「リンパ節転移1-3個では」(局所再発率は十分に低いため)日本のガイドラインではC1(細心の注意のもと考慮しても良い)となってます。
 ただNCCNのガイドラインではリンパ節転移1-3個で、鎖骨上下にも照射を推奨しています。
 
「30回の方がいいのでしょうか?」
⇒上記で回答したように、「外科医としては」不要だと思います。
 
 ただ(江戸川病院での例のように)そもそも30回照射という考え方はありです。