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左胸にしこり 病院の選び方

[管理番号:507]
性別:女性
年齢:45才
左胸内側乳輪近くにパチンコ大のしこりがあります。
痛みと言うよりざわざわした感じがあります。
しこり=乳ガンなのでしょうか?
二週間後に市の検診でマンモグラフイーをやります。
それまで待っていいものかすぐに病院へ行くべきか…それと病院も乳腺外科のある開業医か総合病院がいいのか迷います。
ガン家系というのはあるのでしょうか?
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 「パチンコ大のしこり」ですね。
 痛みがないというのは「逆に」心配しなくてはなりません。

回答

「しこり=乳ガンなのでしょうか?」
⇒「しこり=乳癌」ではありませんが、45歳で「新しくできた腫瘍」であれば注意が必要です。
 20歳代~30歳代前半であるならば「線維腺腫など、良性腫瘍」も良くできますが、40歳代以降で「新たにできるしこり」は癌の可能性が高くなります。
 逆に「40歳代で、新たにできる良性はないのか?」というと、例外として「乳腺症に伴う(有痛性の)嚢胞」があります。
 「痛みを伴い急にできたしこり」であれば「乳腺症に伴う嚢胞」の可能性もありますが、「痛みのない」しこりであれば、注意が必要です。
 
「二週間後に市の検診でマンモグラフイーをやります。それまで待っていいものかすぐに病院へ行くべきか」
⇒検診ではいけません。
 検診は「症状が無い人」が行くべきものであり、「検診で見逃されてしまう悲劇」さえもあります。
 きちんと、乳腺外科医に「気になるしこり」が何であるのか?
 もしも「癌で無いなら、それでは何なのか?」そこまで確認してください。
 
「乳腺外科のある開業医か総合病院がいいのか迷います」
⇒乳腺外科のある開業医でもいいのですが、その開業医が「きちんとした診断=針生検をする」医師かどうかが問題です。
 開業医の中には(自らは、だらだらとした画像診断しかせずに、挙句の果てに)「総合病院へ紹介してから針生検をしてもらう」という無駄な診療をする医師が居る様です。
 診断まで「最短距離」で精度のある医師に診療してもらうようにしてください。
 
「ガン家系というのはあるのでしょうか?」
⇒乳癌の場合には「遺伝性乳癌卵巣癌症候群」というものがあります。
・御家族に2人以上乳癌がいる
・卵巣癌の方がいる
・ご家族に(1人でも)30歳代で乳癌になった人がいる
・男性乳癌の方がいる
・トリプルネガティブの方がいる
などの場合には注意が必要です。
◎最終的には遺伝子検査をしないと確定しません。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

先生前回は回答をありがとうございました。
総合病院を受診しました。しこりは9.56㎜、エコーで見ると血液がみえるので栄養が流れているのと同じだから大きくなるという事 血液で大きくなると言われたらもうガンだと思ってしまいました。マンモグラフイーの画像だけでガンですとは言えないと言う事でマンモトームをしました。
結果は一週間後です。
先生には気になるでしょうが普通に過ごしてください。って言われましたが無理な話です。
画像でみる形(いびつ、丸)は良性悪性の判断材料になるのでしょうか?
結果によってはまた相談させて頂いてもよろしいでしょうか?
 

田澤先生から 【回答2】

 こんにちは。田澤です。
 早速「マンモトーム」をしたとの事。しかも結果は1週間後。
 非常にいい選択でした。最短距離で診断に近づいています。
 このQandAで「ダラダラと無駄なMRIやら細胞診」で時間を浪費している医師が多い中、大変「フットワークのいい」素晴らしい診療です。

回答

「エコーで見ると血液がみえるので栄養が流れているのと同じ」
⇒これはカラードップラーでの所見ですね。
 腫瘍であるという事です。
 「45歳で、あらたに出現した腫瘍」となると、やはり気になります。
 
「画像でみる形(いびつ、丸)は良性悪性の判断材料になるのでしょうか?」
⇒その通りです。
 良悪の判断は「形」と「辺縁の境界(真っすぐの線なのか? とげとげしいのか?」の両方で判断します。
 
「結果によってはまた相談させて頂いてもよろしいでしょうか?」
⇒是非、御相談ください。
 もちろん「相談しなくても済む」結果であることを願っています。
 
 

 

質問者様から 【質問3 検査結果】

先程結果を聞きに行ってきました。
「ガン」ではないという事 良性葉状腫瘍の可能性を否定出来ず、辺縁に小葉を含みます。
顕微鏡の結果をみても葉脈のように伸びているのが見えました。
経過観察で3ヵ月後にエコー検査をします。その間にも大きくなるような事があればすぐに連絡を下さいという事でした。大きくなることがあれば手術で切除した方がいい、大きくなったのをそのままにして他のところに移ってしまう方が怖いという事でした。
安心していいと言うことでしょうか?
 

田澤先生から 【回答3】

 こんにちは。田澤です。
 「良性葉状腫瘍」との結果ですね。
 まずは、「癌で無かった」との事。大変良い結果です。
 但し、(水を差すようで申し訳ありませんが)葉状腫瘍であれば、摘出をお勧めします。
 私であれば「術前生検でたとえ、良性」とでていても「葉状腫瘍であれば、最低限のマージンをつけて摘出」をお勧めしています。
 葉状腫瘍は、「大きくなるにつれて、良性⇒境界悪性⇒悪性へのグレードアップし易い」という特性を持っています。
◎葉状腫瘍を『中途半端な手術』(局所麻酔下の不十分な切除)したり、『不適切な経過観察』をすることで「取り返しのつかない事になる可能性」があります。
 「急速に大きくなり、慌てて摘出したら悪性となっていた」とか「せっかく摘出しても、再発を繰り返し(実際にあるのです)結局悪性となった」などは実際に起こりえます。
 そもそも「術前針生検で正確に葉状腫瘍のグレードを判定する」事は困難です。
 私は、実際つい最近、「良性葉状腫瘍との術前マンモトーム診断」で「摘出したら境界悪性だった」という経験もしています。
 ただし、葉状腫瘍の手術では「そのような事態」に備えて「きちんとした切除マージン」をつけているので問題無いわけですが…

回答

「安心していいと言うことでしょうか?」
⇒安心できません。
 私は「経過観察ではなく」あくまでも摘出(きちんとした切除マージンをつけた)をお勧めします。
 
 

 

質問者様から 【質問4 良性葉状腫瘍】

また質問させていただきます。やはり安心出来るものではないのですね。
検査結果の説明では3㎝が切除の目安のような話だったように思い返します。では3ヵ月待たずに切除のお願いをした方がいいのでしょうか?それとも3ヵ月後もし大きさが変わっていなく、また経過観察ですと言われてもそこは切除をお願いした方がいいのでしょうか?
しこりは日ごとに大きくなるものですか?今のまま変わらないという事もありますか?毎日触って大きさの確認をした方がいいですか?わからない事ばかりで質問攻めになってしまいました。すみません。
 

田澤先生から 【回答4】

 こんにちは。田澤です。
 「葉状腫瘍に対する認識(危機管理)」が私とその担当医では異なるようです。

回答

「検査結果の説明では3㎝が切除の目安のような話だった」
⇒これは、通常の「線維腺腫」の場合です。
 葉状腫瘍と解っていながら「3cmまでは様子をみる」というのは「患者さん側に立った見方では無い」と思います。
 担当医も、葉状腫瘍について「大きくなることがあれば手術で切除した方がいい、大きくなったのをそのままにして他のところに移ってしまう方が怖い」という認識はあるようです。
 つまり「大きくなってからでは遅い」可能性がある訳です。
 そんな危険なものを「3cmまでは切除しない」というのはナンセンスです。
 『爆弾を抱えているようなもの』と患者さんが感じたとしたら、「大きくなる前に切除する」のが当然です。
 
「3ヵ月待たずに切除のお願いをした方がいいのでしょうか?」
⇒実際問題として「3カ月程度」では、それほど大きさは変わらないでしょう。
 重要なのは「担当医の、小さいうちは摘出しなくていいんじゃない?」みたいな事に流されずに「是非、摘出したい」という意志だと思います。
 その意志がしっかりしていれば、「3カ月待っても、待たなくても」大差はありません。
 
「しこりは日ごとに大きくなるものですか?」
⇒そこまでの増殖スピードはありません。
 
「今のまま変わらないという事もありますか?」
⇒葉状腫瘍の場合には「いずれは増大」すると思います。
 数年変化無く、その後「急速に増大」というケースが良くあります。(いつ増大し始めるのかは、誰にも解りません)
 「線維腺腫と(細胞診で)診断」された9年後に「10cmを超す悪性葉状腫瘍となった」例も最近、経験しています。