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ホルモン療法の副作用

[管理番号:1254]
性別:女性
年齢:35歳
今ではすっかりQandAが心の支えなので、 再開して下さり大変ありがたく思います。
リュープリンとタモキシフェンを始めてから、もうすぐで3ヶ月目に突入します。
いつ副作用が出るかビクビクしながら過ごしているのですが、まだ出ていません。
薬の効果が出るのが3ヶ月後との事なので、副作用もその頃に出るのかなと覚悟をし
ていますが、
先生の患者さんはホルモン療法を開始してから大体どれくらいから
副作用が出ていらっしゃいますか?
全く副作用が出ない方はどれくらいの確率でいらっしゃいますか?また、どんな方に
多いですか?
リュープリンは今のところ1ヶ月製剤を打っています。
病院で頂いたリュープリンについての冊子に副作用の出る確率が、
1ヶ月タイプは64%、3ヶ月タイプは97%とあり、33%も差があるのは
投与量が増える事で3ヶ月製剤では肉芽腫やシコリ、痛み、赤み、張れの確率が上がり、
それが33%の差異になっているのでしょうか?
それとも、1ヶ月製剤なら出ない更年期症状が、3ヶ月製剤にすると出るという事ですか?
1ヶ月製剤をずっと続けていればこのまま副作用が出ない可能性がありますか?
いずれ出たとして、3ヶ月製剤よりも症状が軽いですか?
他の質問者の回答で「ノルバデックスの副作用は更年期に近い年代の方が強い印象」
とありますが、リュープリンの副作用も同様でしょうか?
年末年始等で投与予定日に病院が長期休みの場合、リュープリンを投与していない空
白の期間が
1週間位できてしまう場合は再発率が上がりますか?それとも前倒しで投与するべき
ですか?
副作用でホットフラッシュやほてり、のぼせ等の症状が出た場合は
体がエストロゲン不足の状態に慣れるまで我慢するしかありませんか?
のぼせやホットフラッシュが辛くてホルモン療法を中止する方もいらっしゃるようですが、
それらの症状には漢方薬やビタミンE、抗うつ薬が有効と聞きました。
先生なら、ホルモン療法を中止する前にまずはそれらで対処する事を勧められますか?
タモキシフェンを服用する事で子宮内膜肥厚症や子宮体ガンになるリスクが
若干上がるそうですが、『子宮内膜ポリープになるリスクは30~60%』と
ネットにありました。
30~60%と言うとタモキシフェン服用者の半数にポリープが発現する事になりますが、
先生の症例から、タモキシフェンの服用で子宮内膜ポリープができる確率は高いですか?
他の質問者の回答の中に子宮筋腫が増大して中止になった人はいないとの事と、
別の質問者の回答で『子宮内膜の肥厚は閉経後の人が多い』との事ですが、
タモキシフェン服用以前に子宮内膜ポリープの手術と、再発の経験があり、
再再発する可能性がある事を婦人科医から言われています。再発を繰り返す様な、
子宮内膜ポリープが出来やすい体質の人は、タモキシフェンを服用する事で
ポリープが出来るリスクが閉経前でもより高くなりますか?
エストロゲンが関係する体ガンリスクの多くの項目に当てはまるので
タモキシフェンの服用が怖いのですが、子宮に影響が出るのはホルモン内服中
だけですか?それとも内服した事でホルモン療法終了後も一生リスクがありますか?
(ホルモン療法が終了して数年後に子宮内膜ポリープができる…とか、20年後に体ガ
ンになる等)?
他の方の回答からリュープリンによる子宮体癌抑制効果は無いとの事で納得しましたが、
『閉経後は肥厚した内膜が月経により排泄されない為、異常細胞が子宮に留まり
発ガンリスクが高まる』と聞いたのですが、
リュープリンとタモキシフェンを併用している間はリュープリンで卵巣機能を
抑制して内膜が薄いので子宮内膜症や子宮内膜ポリープができるリスク、
体がんのリスクがタモキシフェン単独よりも減るという事ですか?
毎日コラーゲンのサプリメントを飲んでいるのですが、問題ありませんか?
再開早々沢山質問をしてしまい大変申し訳ありませんが、
よろしくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「先生の患者さんはホルモン療法を開始してから大体どれくらいから副作用が出てい
らっしゃいますか?」
⇒1カ月以内ですね。
 1カ月(タモキシフェンにしろ、LH-RHagonistにしろ)まず経過をみてOKなら「3カ
月処方及び3カ月製剤」としてしまいます。
 
「全く副作用が出ない方はどれくらいの確率でいらっしゃいますか?」
⇒50%位だと思います(概算)
 30%が「比較的軽い副作用」で20%が「強い副作用だけど、許容範囲内」、のこり
10%以下(だいたい5%位だと思いますが)で「副作用により中止」となる感じです。
 
「また、どんな方に多いですか?」
⇒あくまでも印象ですが…
 子宮内膜症や月経困難症などが無い方、生理不順の無い方と思います。
 
「投与量が増える事で3ヶ月製剤では肉芽腫やシコリ、痛み、赤み、張れの確率が上
がり、それが33%の差異になっているのでしょうか?」
⇒刺入部の問題ではなく、単純に「長期投与だから」だと思います。
 
「1ヶ月製剤をずっと続けていればこのまま副作用が出ない可能性がありますか?い
ずれ出たとして、3ヶ月製剤よりも症状が軽いですか?」
⇒副作用の頻度ではなく、あくまでも(最初の様子見では)「すぐに中止できるよう
に」1カ月製剤を用いて、OKならば「利便性を考えて」3カ月製剤にするという使い分
けです。
 「長期間」となれば「副作用には差はない」と思います。
 
「リュープリンの副作用も同様でしょうか?」
⇒同様です。
「1週間位できてしまう場合は再発率が上がりますか?それとも前倒しで投与するべ
きですか?」
⇒再発率に差は無いでしょう。
 むしろ、「前倒し」にすることによる「体への負担」が心配となります。
 
「先生なら、ホルモン療法を中止する前にまずはそれらで対処する事を勧められますか?」
⇒私であれば「一旦休止」して、症状が改善したら「再開」というやり方をとります。
 
 
「先生の症例から、タモキシフェンの服用で子宮内膜ポリープができる確率は高いですか?」
⇒高くありません。
 実際は10%以下だと思いますが…
 
「子宮内膜ポリープが出来やすい体質の人は、タモキシフェンを服用する事でポリー
プが出来るリスクが閉経前でもより高くなりますか?」
⇒可能性はあります。
 ただし、定期的に「内膜をチェック」して対処するのが現実的でしょう。
 「あくまでも良性疾患」だとすれば、「癌治療(予防ですが)を優先」する立場を
とります。
 
「子宮に影響が出るのはホルモン内服中だけですか?それとも内服した事でホルモン
療法終了後も一生リスクがありますか?」
⇒これについては「殆どデータが無い」というのが正直なところです。
 ただし、「1000症例以上での検討」では「タモキシフェン投与により、投与終
了後少なくとも5年間は子宮体がんの発症リスクを下げない」という結果がでています。
 「癌の発症」には「癌細胞が生じてから5年程度はかかる」という一般的事実から
考えても「最低5年間」はリスクが高いと認識すべきでしょう。
 ♯一生影響がでることは「生物学的に無い」と考えます。
 
「リュープリンとタモキシフェンを併用している間はリュープリンで卵巣機能を抑制
して内膜が薄いので子宮内膜症や子宮内膜ポリープができるリスク、体がんのリスク
がタモキシフェン単独よりも減るという事ですか?」
⇒理屈の上ではそう思いますが、実際に「LH-RHagonistの併用が子宮体癌のリスクを
相殺する」というデータは無いようです。(製薬会社にも確認しました)
 
「毎日コラーゲンのサプリメントを飲んでいるのですが、問題ありませんか?」
⇒問題ありません。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

お忙しいところ、沢山の質問に丁寧に答えて下さりありがとうございました。
ネット上では副作用に苦しんでいる人が情報を発信しているケースが非常に目立つ為、
3ヶ月製剤だと必ず副作用が出るものと思っていたので、50%もの人には現れないと聞き、
非常に恐れていた副作用に対しての不安が払拭されました。
先生が常々おっしゃっている「出ない人はネットでわざわざ言わない」という事ですね。
3ヶ月製剤は「長期投与だから」1ヶ月製剤に対して33%の差があるという事は
冊子に載っている副作用のデータは投与開始から3ヶ月に対しての数字で、
投与開始から3ヶ月以内は何かしら症状が出る可能性があるという解釈で良いですか?
むしろ始めの3ヶ月を症状がないまま過ごす事が出来た場合は、
それ以降に副作用が途中から現れる事は少ないという事ですか?
今月のリュープリンは10月6日に投与し、次回の投与が11月12日です。
投与と投与の間に1週間リュープリンを打っていない空白期間が出来てしまっても
再発率が上がる事は無い事とのご回答を頂き、大変安堵致しておりますが、
今回の投与から次の投与までの間に1週間の空白期間が出来る事で、
閉経と同レベルまで下げていたエストロゲンが回復してしまい、
次のリュープリンを投与した時に再び閉経と同レベルまでにエストロゲンが下がる事で
更年期症状等の副作用が強く出たりはしませんか?
上記の通り、年末年始に限らず、病院側の都合で普段の診察でも
リュープリン未投与の期間が出る事が分かったので、今後も度々あると予想されます。
空白期間が何度も重なることは問題ありませんか?
また、それが何日までなら再発率に影響しませんか?
リュープリンの前倒し投与は体への負担になるとの事ですが、
1回目の投与は8月11日、2回目は9月8日、3回目は10月6日と
今まで前倒しで投与してきましたが、前倒しは何日前までなら安全ですか?
いずれ3ヶ月製剤に切り替わる予定ですが、3ヶ月製剤の前倒しは大丈夫ですか?
質問者への回答の中に、リュープリンを5年投与した方が良いとの方がいらっしゃいました。
「指摘投与期間」は不明とはいえSt.Gallen 2015 では「半数以上が、5年投与 」と
しているとの事ですが、リュープリン投与は2年間ではなく、5年間を覚悟しておく
必要がありますか?
質問のタイトルとずれてしまい申し訳ありませんが、
同時に放射線の質問をさせてください。
今月末から放射線治療が始まります。
トモセラピーでは 照射の前にCTやMRIの撮影があるとの事ですが、
病院で説明を受けた限りではリニアックだからか、CTの撮影しかしない様です。
リニアックはCTしか撮影しないのが普通ですか?
6週間の照射予定ですが、MRIの撮影が無いことで腫瘍床の照射がズレる等、
不利になる事はありませんか?
お忙しいところ申し訳ありませんが、どうぞよろしくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「出ない人はネットでわざわざ言わない」質問者の言う通りです。
同様に「再発しなかった人は、ネットでわざわざ私は再発しませんでした」みたいな情報発信はしないでしょう。(発信している人もいるかもしれませんが、あまり世間的な興味はひきそうもありませんね)

回答

「投与開始から3ヶ月以内は何かしら症状が出る可能性があるという解釈で良いですか?」
⇒その通りです。
 
「むしろ始めの3ヶ月を症状がないまま過ごす事が出来た場合は、それ以降に副作用が途中から現れる事は少ないという事ですか?」
⇒私の経験上は、その通りです。
 
「今回の投与から次の投与までの間に1週間の空白期間が出来る事で、閉経と同レベルまで下げていたエストロゲンが回復してしまい、次のリュープリンを投与した時に再び閉経と同レベルまでにエストロゲンが下がる事で更年期症状等の副作用が強く出たりはしませんか?」
⇒リュープリンについてはデータはありませんが…
 同じLH-RHagonist製剤としてゾラデックスのデータでは『1ヶ月製剤の単回投与時に、いつまで血中E2濃度を抑制できるか検討した試験では、6ー8週後まではE2濃度を抑制できることが報告』されています。
 このことから、「1週間の空白期間」くらいでは「エストロゲンの回復は無い」のです。
 
「空白期間が何度も重なることは問題ありませんか?」また、それが何日までなら再発率に影響しませんか?」
⇒そのような事を比較した試験はありませんが、
 ZOL-LA アジア共同第Ⅲ相比較試験(承認に引用された試験)の用法用量では、『ZOL-LAを12週毎、(±7日)に1回皮下投与、ZOLを4週毎(±7日)に1回皮下投与』と規定されています。
 つまり、そもそも「1週間程度のブレ」は最初から想定されているのです。
 
「また、それが何日までなら再発率に影響しませんか?」
⇒前述したように「1カ月製剤」であれば、最低2週間は大丈夫ということだと思います。
 
「今まで前倒しで投与してきましたが、前倒しは何日前までなら安全ですか?」
⇒前述した様に「1週間程度は大丈夫」のようです。
 ちなみに『投与間隔の短縮を想定した場合のZOLの血中濃度や内分泌抑制効果について、進行再発乳癌患者を対象としたZOLの用量比較試験では投与時の内分泌抑制効果、安全性に差は認められなかったことが報告』されています。
 
「いずれ3ヶ月製剤に切り替わる予定ですが、3ヶ月製剤の前倒しは大丈夫ですか?」
⇒全く同様です。
 
「リュープリン投与は2年間ではなく、5年間を覚悟しておく必要がありますか?」
⇒ホルモン療法の「長期投与化」の流れは確実です。
しかし、製薬会社が「臨床試験で比較試験を組まない」限り、「投与期間は医師の裁量に任され」たままだとは思います。
 
「病院で説明を受けた限りではリニアックだからか、CTの撮影しかしない様です。リニアックはCTしか撮影しないのが普通ですか?」
⇒(私の専門外なので、参考程度にしてください)
 私が今まで「リニアックで照射」をお願いしていた放射線科では、「殆どがCTのみ」だったと思います。
 リニアックの精度ではCTで十分ということではないかと思います。
 
「6週間の照射予定ですが、MRIの撮影が無いことで腫瘍床の照射がズレる等、不利になる事はありませんか?」
⇒もともと「リニアックの精度」からすれば、「MRIが無いことによる影響」は大したマイナスにはならないと思います。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

ご多忙にも関わらずいつもご回答下さりありがとうございます。先生にはいつも救われています。
現在放射線治療中なのですが、21回目の照射が終了した現時点の皮膚の状態は患側が全体的に四角く赤くなっていて、更に全体的に小さな赤いブツブツができています。
特に脇は黒くなり、痛いので塗り薬を処方されています。そんな中、一部分(手術の傷周辺のC、D領域)は卵くらいの大きさの面積が赤くなっておらず、ブツブツもできていません。これはその部分には放射線が当たっていないという事でしょうか?
腫瘍床付近から局所再発が起こる可能性が高いとの事ですが、腫瘍床にしっかり照射されていないかもしれないので、局所再発の覚悟をしておいた方が良いですか?
お忙しいところ恐縮ですが、ご回答頂けたら幸いです。どうぞよろしくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
放射線照射による皮膚炎ですね。
「全体的に四角く赤くなっていて、更に全体的に小さな赤いブツブツができています。特に脇は黒くなり、痛いので塗り薬を処方されています」
⇒通常の経過と言えます。
 
「一部分(手術の傷周辺のC、D領域)は卵くらいの大きさの面積が赤くなっておらず、ブツブツもできていません。これはその部分には放射線が当たっていないという事でしょうか?」
⇒その部分は「手術により皮膚を剥がしているから」だと思います。
 「肝心なところだけ照射されていない」ようなことを想像するだけでも「放射線科医に失礼」と思います。
 
「腫瘍床にしっかり照射されていないかもしれないので、局所再発の覚悟をしておいた方が良いですか?」
⇒そんなに心配ならば「放射線科医に直接」聞くといいです。