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ホルモン治療の副作用ついて

[管理番号:1709]
性別:女性
年齢:49歳

いつも拝見させて頂いています。
ホルモン治療の副作用について、質問お願いします。

今年一月温存手術をしました。
手術後の検査結果は
浸潤径 1.7センチ×1.2センチ
リンパ節 24分の2個
組織型 浸潤性乳管癌
核異型度 1  リンパ管侵襲 1
Ki-67 21%   HER2 1+
ER 99% PgR95%

放射線後三月末から抗がん剤治療はせずホルモン治療タスオミ
ン20ミリをはじめました。
服用後三カ月目辺りから胃のムカつき、吐き気、体のだるさが強くなり午後からは横になって過ごす日が多くなりました。
先月ホルモン治療開始から初めて血液検査をしました。
治療開始から7カ月経っています。
結果肝臓に関する全ての数値が基準値最高の5倍ほど有りました。
主治医の先生とお話して、一か月程お薬を中止し、肝臓の回復を見る事になりました。そこで幾つか質問をお願いします。
再度ホルモン治療を開始する時はタスオミンに変わるお薬が有りますか?
それとも、またタスオミンを服用する事になるのでしょうか?
同じお薬では同じ副作用が出ませんか?
他のお薬に変えても、もしまた合わない時は治療をしない選択はありますか?
乳癌のためにホルモン治療をしても肝臓が悪くなってしまうのは心配です。

ホルモン治療を5年した場合再発率は15%位、治療をしなければ30%位とお聞きしています。
先生はどのように思われますか?ぜひアドバイスをいただけたらと思います。
どうぞ宜しくお願いします。

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

「ホルモン療法による肝機能障害」ですね。
閉経前のホルモン療法は適応の有る薬剤が
①タモキシフェン(タスオミン、ノルバデックスなど)
②LH-RHagonist(ゾラデックス、リュープリンなど)
に限定されています。

しかも「標準治療」としては①であり、②単剤はありえないこととなって追います。(データとしては②単剤での有効性を示すものもあるのですが十分ではないのです)
②はあくまでも①の「+α」としての役割なのです。

回答

「再度ホルモン治療を開始する時はタスオミンに変わるお薬が有りますか?」
⇒冒頭で示したように「標準療法としては」ありません。
但し、「適応症」として②を用いることはできます。

「またタスオミンを服用する事になるのでしょうか?」
⇒タスオミンを「半量(10mg)」投与して様子をみることはできます。

「同じお薬では同じ副作用が出ませんか?」
⇒半量(10mg)であれば、大丈夫な可能性があります。

「他のお薬に変えても、もしまた合わない時は治療をしない選択はありますか?」
⇒勿論、そのようになります。

「先生はどのように思われますか?」
⇒肝機能改善を待って「タスオミン10mg」で再開して様子を見ます。(1週間後の採血、2週間後の採血、1カ月後の採血、2カ月後の採血などと、大丈夫なら期間を2倍ずつにして肝機能チェックします)
その上でOKならば「タスオミンを20mgにもどしてみる方法もある」とは思いますが、LH-RHの併用を行っても(この場合はいい)と思います。

質問者様から 【質問2】

田澤先生、お忙しい中お返事を頂き有難うございました。

タスオミンが閉経前の標準治療である事、代わりになるお薬が無い事など良く解りました。
そこで、幾つかご質問お願いします。
手術時に、2015年版乳癌診療ガイドラインを購入しました。その本の中に,抗エストロゲン薬でトレニフィンと言う
お薬が書いてありました。このお薬は一般的に使用出来るお薬では無いのでしょうか?気になりお尋ねしました。

今月末、再度血液検査をして今後の治療を決める事になると思います。お薬を10ミリにして治療を続ける事が出来ないかをお話してみます。
それでも副作用が有りお薬を止める事になった時、私の様な術後の結果の方で無治療で過ごされている方、副作用でお薬を止められた方はどの位いらっしゃいますか?
何もしなければ、再発率はやはり30%くらいでしょうか?
主治医の先生がリンパに転移が無ければ…とポツリと言われた言葉がとても気になっています。
癌のステージやルミナルの説明は有りませんでしたが、
私の場合どの位でしょうか?

お忙しい中、何度もすみません。どうぞ宜しくお願いします。

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

回答

「抗エストロゲン薬でトレニフィンと言うお薬が書いてありました。このお薬は一般的に使用出来るお薬では無いのでしょうか?」
⇒トレミフェンは「閉経後」しか適応がありません。
何故なら「閉経前投与のデータがない」から適応症として「閉経後乳癌」となっているのです。
ただし、「公知申請」されて、「適応ではないけれど、使用可能」な状態となっています。

タモキシフェンが「CYP2D6の結果で使いたくない」方にも使われているようです。
♯詳細はQandA管理番号951「CYP2D6テスト結果について」を参照してください。

「術後の結果の方で無治療で過ごされている方、副作用でお薬を止められた方はどの位いらっしゃいますか?」
⇒10%位です。

「何もしなければ、再発率はやはり30%くらいでしょうか?」
⇒感覚的な数字となって申し訳ありませんが「20%程度」と思います。

「癌のステージやルミナルの説明は有りませんでしたが、私の場合どの位でしょうか?」
⇒pT1c(17mm), pN1, pStageⅡAとなります。
luminalAです。

質問者様から 【質問3】

昨年三月から十月までタスオミンを服用し七か月後の血液検査で
肝機能に関する数値のほとんどが200~300を超え即治療中止になりました。
現在ぼちぼちですが、数値は下がりAST102,ALT124,r-GTP124です。
念のために一月末に肝生検をした所,非アルコール性脂肪肝炎で、現在、強度の脂肪肝で薬剤疑うとの事でした。
十月から無治療状態です。
主治医の先生は、今の肝臓の状態でも治療は出来ますと言われてましたが、私は一度肝臓を正常な状態に戻したいと思っています。
このまま肝臓の回復を待ち無治療状態なのは、再発のリスクをたかめますか?
主治医の先生の今後のお考えは、タスオミンはリスクが大きそうなので再び使用は考えていない。
が、閉経前なのでタスオミン以外標準治療が無いとのことでした。
注射で卵巣機能を止める方法もあるけど、単独だと標準治療ではないそうです。
田澤先生なら、私のような体調の場合どのような治療をお考えになりますか?
これから乳がんとも長く付き合っていかなくてはいけませんが、肝障害も怖い病気だと説明があり色々と迷っています。
アドバイス宜しくお願いします。

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
「昨年三月から十月までタスオミンを服用し七か月後の血液検査で肝機能に関する数値のほとんどが200~300を超え即治療中止になりました。」
⇒当然の判断です。

「一月末に肝生検をした所,非アルコール性脂肪肝炎で、現在強度の脂肪肝で薬剤疑うとの事でした。」
⇒薬剤性の肝障害(脂肪肝)です。

「主治医の先生は、今の肝臓の状態でも治療は出来ますと言われてましたが、私は一度肝臓を正常な状態に戻したいと思っています。」
⇒その方がいいです。
術後補助療法は「体を壊してまで行うべきでは無い」のです。

「このまま肝臓の回復を待ち無治療状態なのは、再発のリスクをたかめますか?」
⇒数パーセントはありますが、「体の方が大事」なのです。

「主治医の先生の今後のお考えは、タスオミンはリスクが大きそうなので再び使用は考えていない。」
⇒当然の判断です。

「閉経前なのでタスオミン以外標準治療が無いとのことでした。注射で卵巣機能を止める方法もあるけど、単独だと標準治療ではないそうです。」
⇒その通りです。

「田澤先生なら、私のような体調の場合どのような治療をお考えになりますか?」
⇒選択肢が限られているので…
LH-_RHagonistの投与とします(標準療法では有りませんが仕方が有りません)

質問者様から 【質問4】

こんにちは。
お世話になります。

以前、ホルモン治療の副作用の件でご質問お願いしました。
ホルモン治療を中止して、10カ月になり、肝臓数値もやっとγ―GTP73,AST36,ALT45まで下がってきました。

無治療の心配はありますが、現在も肝臓の数値が元に戻るのを待っている状態です。
次の受診が9月の末なのですが、治療を止めて一年になるので、私はそろそろなんらかの治療をしたいと思っています。
主治医の先生は、一向に次の治療方針を話されません。
以前ご質問しました時に、閉経前には使える薬が限られていて LH-RHアゴニスト単独では標準治療では無い事はわかりました。

主治医の先生は今の状態では使える薬がない事で迷われているのでしょうか?飲める薬が無いのなら、このまま閉経を待って閉経後の薬をためす選択はありますか?それより、標準治療では無いですがLH-RHアゴニスト単独で治療をしていたほうが良いのでしょうか?以前の質問で田澤先生からは単独でもとお返事を頂きました。

三週間ほど前から、手術をした側の手の甲に少し浮腫みを感じ受診しました。
ヨガやストレッチ教室など運動を始めた時期と重なりますが、術後全く運動をして無かったので少し無理があったという事でしょうか?何か治療をするほどでは無いとのことですが。
どうぞ宜しくお願いします。

田澤先生から 【回答4】

今日は。田澤です。

「ホルモン治療を中止して、10カ月になり、肝臓数値もやっとγ―GTP73,AST3
6,ALT45まで下がってきました。無治療の心配はありますが、現在も肝臓の数値が
元に戻るのを待っている状態」
⇒十分正常に戻っています。
そろそろ
①タモキシフェンを半量で再開
内服開始したら(2週間程度で採血チェック)OKなら、次は「1カ月後に採血」⇒OKなら、今度は「2カ月後に採血」などのように採血チェックが必要です。
暫く大丈夫ならば、「通常量に戻す」ことも視野に入れます。
②LH-RHagonistで開始

「このまま閉経を待って閉経後の薬をためす選択はありますか?それより、標準治療では無いですがLH-RHアゴニスト単独で治療をしていたほうが良いのでしょうか?」
⇒上記①ではどうでしょうか?

質問者様から 【質問5】

いつも有難うございます。
以前ホルモン治療の副作用についてご質問させていただきました。

タスオミンの副作用で非アル
コール性脂肪肝炎NASHと診断され、一年二カ月の休薬しました。
昨年の九月からリュープリン注射単独で生理を止め今月末からフェマーラを併用する予定です。
タスオミン単独で一錠から始めれないかと主治医にお尋ねしましたが肝臓の副作用が強かった事、肝臓数値が戻るのに一年以上掛ったことなどからタスオミンは使用しない事になりました。

そこで、お尋ねですが、リュープリン注射とフェマーラとの併用は標準治療から外れるのでやはり行わない方がよいのでしょうか?
行った場合体に何らかの影響があるのでしょうか?
行わなかった場合他に予防として行える方法が有るのでしょうか?主治医も使えるお薬が無くて・・・と話されていました。

先生のご意見をお聞かせ頂けたら幸いです。
よろしくお願いします。

 

田澤先生から 【回答5】

こんにちは。田澤です。

「リュープリン注射とフェマーラとの併用は標準治療から外れるのでやはり行わない方がよいのでしょうか?」
⇒その通りです。

「行った場合体に何らかの影響があるのでしょうか?」 
⇒それは解りません。
だから適応外なのです。

「行わなかった場合他に予防として行える方法が有るのでしょうか?」
⇒ それであれば、リュープリンのみ先行させて、(ゆっくりと)タモキシフェンを少量から併用していく(肝機能の経過を見ながら)方法もあります。

 
 

 

質問者様から 【質問6 】

再発全摘後抗がん剤治療
性別:女性
年齢:55
病名:再発乳がん
症状:全摘手術済み
投稿日:2021年6月30日

宜しくお願いします。
7年前乳がんになり、温存手術をしました。
ルミナールA、グレード2a、ki-20のホルモン由来の乳がんで放射線30回とタモキシフェンでの治療をしました。
今年4月の検診で傷跡の下に7㎜×8㎜のがんが見つかりました。
局所再発との事でしたが、今回はホルモン感受性が0%、
Ki67も70%とまったく違うタイプのがんに変わっていましたが局所再発のときは、タイプやグレードは良く分からないとの事。
既に全摘手術を済ませ2週間。
主治医からは抗がん剤三週間に一回を四回提案されています。
20%の再発率を10%にすることが出来るそうです。
全摘したので根治ですよね?
抗がん剤は遠隔転移の予防?今、抗がん剤をせずに将来遠隔転移があればずっと抗がん剤治療をすることになります。
と言われました。

 

田澤先生から 【回答6】

こんにちは田澤です。

「主治医からは抗がん剤三週間に一回を四回提案されています」
⇒ホルモン療法により(ホルモン感受性のある癌細胞が選択的に駆逐されてしまい)少数生き残っていたトリプルネガティブの癌細胞が増殖したようです。

 基本的には「温存後の乳房内再発は、全摘すれば(最初から全摘した場合と)予後は一緒」なので、(提案されている)術後の抗がん剤は必須とはいえませんが、(サブタイプも変化して:上記)いるので(質問者自身が)モチベーションあれば「あり」だと思います。