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非浸潤がんか 乳頭腫か

[管理番号:4460]
性別:女性
年齢:50歳
田澤先生よろしくお願いします。
なかなか診断が確定せず、不安です。
時系列でお話しします。
*2年毎にマンモを受けていたが異常なし。
*2015年11月健康検診オプションのエコー検査で腫瘤がみつかり要精密検査の指示
*2015年12月乳腺専門クリニックを受診。
マンモ、視触診も異常なし。
乳頭分泌なし。
ドクターのエコーで乳首近くに縦型の腫瘤が一つあり(6~8mm)怪しいので細胞診。
針を刺した時に『柔らかい』とのコメントあり、結果は乳管内乳頭腫。
半年ごとに経過観察。
*2017年1月ドクターにエコーしてもらい、一年経つが特に拡大していないから経過観察?組織診断?迷うとのこと。
現在、クリニックでは針生検を実施していないとのことだった。
私から確定診断したいとお願いしたところ、○○の○○先生に紹介状。
*2017年2月○○受診。
技師によるエコー検査。
ドクターからは『乳首に近い、太い乳腺にできた腫瘤だから良性の可能性もあるけどバコラをやって確定しよう』とのことで予約を入れました。
*バコラ予約日は非常に外来が混んでいて、結果的に○○先生でない他のドクター2人(一人がエコーを見ながら針を入れて、もう一人が吸引?
して検体を取る感じ?)でバコラ生検。
4本標本を取りました。
○○先生は他の患者さんの対応を終えて、途中で来てくださいましたが、間に合わなかったようでした。
大きい病院は手分けをして診療してしまうんだなぁ~と残念な思いがありました。
*10日後に病理結果が出ました。
説明は○○先生が行いました。
非浸潤ガンの疑い
(報告書のコピーはもらってきました)
報告書のコメントから考えて、良性の可能性も捨てきれないから、乳腺腫瘤摘出して確定診断するといわれました。
2週間後に外来で手術予定です。
乳頭分泌はありません。
田澤先生に質問させてください。
1)このまま腫瘤摘出してしまって大丈夫でしょうか?手術をキャンセルして腫瘤を残したまま田澤先生に診ていただいた方がいいでしょうか?
2)バコラ生検でも鑑定結果がグレーなことはあるのでしょうか?私の場合は稀なのでしょうか?
3)悪性が確定した場合は、どのような治療を覚悟しは方がいいのでしょう。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「乳首近くに縦型の腫瘤が一つあり(6~8mm)怪しいので細胞診。」
「結果は乳管内乳頭腫」

⇒ここで、そのまま組織診(針生検)していたら、物事はシンプルに進んだのでしょうが、ここが『質問者にとって第1の』残念なところです。
 細胞診で「乳管内乳頭腫」というのは(線維腺腫などの他の良性腫瘍と診断されることに比べて)「何とも心もとない」もの(しかも今回は画像上「怪しい」わけですから)であり、その状況で「経過観察」するよりも「きちんと組織診」する方が「お互いに安心できる」という感覚を持ってもらいたいものです。
 ♯いまだに「針生検を怖がる乳腺外科医が存在する」ことは残念に思いますし、患者さんにとって不利益となることです。
「ドクター2人(一人がエコーを見ながら針を入れて、もう一人が吸引?して検体を取る感じ?)でバコラ生検。4本標本を取りました」
⇒2人がかりで行う事自体、手技の危うさを想像しますが…
 (ある程度広範囲の)「腫瘤非形成性病変」であれば、まだしも…
  6~8mmの腫瘤であれば、(正直な話)マンモトーム(バコラも含む)で確定診断とならなかったことは『質問者にとって第2の』残念な事態でした。
「1)このまま腫瘤摘出してしまって大丈夫でしょうか?」
⇒外科的生検することは「最も確実な診断方法」であり、間違いではありません。
(さすがに、外すことはないでしょう)
「手術をキャンセルして腫瘤を残したまま田澤先生に診ていただいた方がいいでしょうか?」
⇒確かに、私がマンモトームすれば確定診断とはなりますが…
 これが、「半年後の経過観察とされた」というのであれば、迷うことなく「当院を受診してマンモトームで確定診断をつけましょう」とコメントするところですが、
 「2週間後の外科的生検」であれば、(結果として)「混雑した当院での診断より早い」ということになりますので…(ご本人次第でしょう)
「2)バコラ生検でも鑑定結果がグレーなことはあるのでしょうか?私の場合は稀なのでしょうか?」
⇒先にコメントしたように…
 6~8mmの病変であれば、(本来は)診断が着く筈です。
 (相手が線維腺腫のように、どこを採取しても診断がつくものという認識で)「乳管内乳頭腫のような病理学的に微妙な病変をバコラした」のかもしれないし、ただ単に「精度が悪い」のかもしれません。
「3)悪性が確定した場合は、どのような治療を覚悟しは方がいいのでしょう。」
⇒手術が必要となります。
 かなり小さな病変(しかも悪性度が低い)ものが予想されますので、「部分切除」を考えることになります。
 ♯ここで「乳頭から近いから乳頭を残せない」などと「誤った判断をされない」ように気をつけてください。