Site Overlay

非浸潤ガンの治療

[管理番号:5135]
性別:女性
年齢:46歳
先月6月に、右側乳房部分切除の温存手術を受けました。
非浸潤がん(ステージ0)
リンパ節転移無し(0/3)
核グレード1
エストロゲン受容体+
プロゲステロン受容体+
HER2タンパク(染色)ほぼ陰性(2+)
Ki-67 不明
病期 T(is)N(o)M(o)0期
大きさは、MRIでは1.6×1.3くらいと言われてますが、実際のところはわかりません。
断端陰性と言われてます。
この後、放射線治療の予定ですが、放射線科で副作用の説明を聞いて怖くなり、今から全摘して放射線治療を辞めようかと、迷いが生じてます。
肺炎の心配や、肋骨骨折(骨折まではしなくても放射線治療を受けると、100人中100人が骨が弱くなると言われたこと)、照射による発癌性が理由です。
また、再発率に関しても全摘で2%、温存で5%と聞かされており、温存の場合、実際は100人中6~7人が再発するようで、ホルモン療法をすることにより、そのリスクを半減させられると聞いています。
しかし、非浸潤がんなので、先生はホルモン療法を進めておらず、放射線治療後は無治療で構わないと言われてますが、本人がやりたいならやっても構わないと言われてます。
私自身、やらなかったら再発の心配がわずかでも増えるのであれば、その不安を抱えていくよりは後々後悔しないよう、やるべきかとも思います。
しかし、ホルモン療法には副作用の心配もあり、骨密度の低下や子宮体がんリスク、体重増加、髪が薄くなる、動悸、等々考えればキリがありません。
これらを考えると、全摘すれば、温存よりもホルモン療法の必要性がなくなるのではないかとの心強さも生まれ、放射線治療をする前に全摘+再建にすべきなのかとも心が揺れます。
放射線をかけてしまうと、皮膚が硬くなってしまうため、もしも再発した場合、もう再建が出来ず胸が平らになってしまいます。
そうなると、ますます温存したために、放射線治療、ホルモン療法の副作用の怖さが増す上、将来的に胸が平らになる恐怖も生まれてきます。
再建にもリスクが伴うのでしょうが、放射線治療のリスクと比べ、同時に全摘による再発リスクを減らすメリットも考えて答えを出さなければなりません。
先生のアドバイスを頂ければ幸いです。
全摘か温存かによって、非浸潤がんに対するホルモン療法の必要性度合いは変わるか否かについてもアドバイス頂ければ幸いです。
また、非浸潤がんと診断されても、病理医にも見つけられない微小の浸潤があり、センチネルリンパ節生検で見つけられなかった微小のがん細胞が腋の下に存在してた場合、放射線をかけたことでそれが死滅されるはずが、全摘により放射線をかけないことで遠隔転移の可能性が出ることも危惧すべきでしょうか。
病院の方針で、非浸潤がんの場合は、骨シンチやCTは受けておらず、PETもやってません。
現在、46歳閉経前ですが、身内に乳がんや卵巣がん前立腺がんはいないものの、50歳未満で発症した場合、遺伝性乳がんの疑いがあるとガイドラインで見ました。
そうなると、ますます温存は辞めた方がよろしいのでしょうか。
細かい質問で恐縮ですが、アドバイス頂けますよう、よろしくお願い申し上げます。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
物事はシンプルに考えましょう。
要点は
1.非浸潤癌ではホルモン療法は不要
2.非浸潤癌でも術後照射は原則必要
3.非浸潤癌なら全摘により根治となる
4.術後照射は(ご本人が恐れているほど)危険な治療ではない。 全国で温存乳房照射を年間何万人が受けているか想像してみてください。
「全摘か温存かによって、非浸潤がんに対するホルモン療法の必要性度合いは変わるか否かについてもアドバイス頂ければ幸いです。」
⇒そもそも、非浸潤癌ではホルモン療法は不要です。
「非浸潤がんと診断されても、病理医にも見つけられない微小の浸潤があり、センチネルリンパ節生検で見つけられなかった微小のがん細胞が腋の下に存在」
⇒そもそも「そんなこと」を心配する必要は全くありません。
「全摘により放射線をかけないことで遠隔転移の可能性が出ることも危惧すべきでしょうか。」
⇒そんな可能性の殆ど無い事に頭を悩ませるなど全くナンセンスです。
「病院の方針で、非浸潤がんの場合は、骨シンチやCTは受けておらず、PETもやってません。」
⇒当たり前です!!!
 非浸潤癌でそれらの検査をするとしたら、(私から見れば)「犯罪行為に等しい」と思います。
「50歳未満で発症した場合、遺伝性乳がんの疑いがあるとガイドラインで見ました。」
⇒なんとまあ!
 乳癌の低年齢化がすすんでいるのに、未だにそんなことを考える医師はいないでしょう。
 20歳代なら考えますが…(そもそも質問者は非浸潤癌なので、そんな記事は無関係です)
「そうなると、ますます温存は辞めた方がよろしいのでしょうか。」
⇒全く理由になりません。
 非浸潤癌で全摘なら根治となるので、その方がいいと思えば「全摘でもいい」でしょう(ただ、それは本来、術前に検討すべき事ではありますが…)