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非浸潤癌の再発リスクについて

[管理番号:5121]
性別:女性
年齢:36歳
乳がんと診断されてから、毎日拝見しています。
色々と勉強になります。
お忙しい中、ありがとうございます。
私も教えていただきたく、質問させてください。
ホルモン陽性、HER2陰性、Ki67=12%の浸潤癌と診断され、10mm程であるとの事から、温存手術とセンチネルリンパ生検を受けました。
しかし、手術後の病理検査で、実は、非浸潤癌だったとの診断を受けました。
手術前の針生検では、バネの勢いで組織が壊れ、一部浸潤の判断となっていたのでしょうとの事でした。
また、手術部分は断片陰性で、リンパ節転移も見られないとの事でした。
妊娠の予定が無い間は予防的に飲んだ方が良いとの事で、ノルバデックスの予防的投与5年を開始しました。
また、もうすぐ放射線治療にも通います。
主治医の先生から、非浸潤だけは、局所的な病気と捉えるから、完治する可能性がとても高いでしょうという話をされ、安心していたのですが、ネットブログや、このページでも非浸潤からの再発という事が出ていて、また不安に駆られています。
非浸潤でも、微小癌が体に散らばっていて、
いつ再発するか分からないという考え方を取るのでしょうか。
それとも、温存手術で、取り残しがあった場合のみと考えるのでしょうか。
また、この取り残しとは、断片陽性の場合が、それに当たりますか。
それとも、病理検査では分からない事なのでしょうか。
また、もし全摘手術したなら、再発の心配は無いのでしょうか。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「非浸潤でも、微小癌が体に散らばっていて、いつ再発するか分からないという考え方を取るのでしょうか。」
⇒ありません。
 非浸潤癌では(癌が乳管内に留まっているので)その外にある「血管やリンパ管に入り込んで、全身へ転移する可能性」はないのです。
「それとも、温存手術で、取り残しがあった場合のみと考えるのでしょうか。」
「また、この取り残しとは、断片陽性の場合が、それに当たりますか。」

⇒再発を「局所再発」と「全身の遠隔転移再発」に明確にわけなくてはなりません。
 「局所再発」は温存手術である以上、浸潤癌/非浸潤癌にかかわらず、(少ないながら)「ある頻度で発生」します。(断端陽性はリスク因子ですが、それだけではありません)
「それとも、病理検査では分からない事なのでしょうか。」
⇒病理検査で解らないことを想像する必要はありません(極めて無駄なことです)
 
「また、もし全摘手術したなら、再発の心配は無いのでしょうか。」
⇒局所再発の可能性はなくなります。
 (そして)非浸潤癌ならば(全摘により)「遠隔転移再発の可能性も無くなる=根治」となります。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

非浸潤がんの再発リスクについて
性別:女性
年齢:36歳
先生、ご回答ありがとうございました。
追加で質問させてください。
今日、放射線治療の初診に行ってきました。
そこで、もし全身に当てたら死亡する程の放射線量を胸部に当てると説明されました。
皮膚も固くなり、萎縮すると。
もし、全摘した場合も、(人工なので)汗腺などなくなり、放射線治療を受けた場合と似た状況になるのでしょうか。
放射線治療に対する恐怖が大きく、避けたい気持ちが生まれました。
非浸潤は乳菅内にとどまっているのに、温存の場合は放射線照射が必要なのは、そもそも、何故なのでしょうか?
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
温存手術は(術後)温存乳房照射が前提となる術式です。
それを避けることは(単純に)「温存乳房内再発のリスク因子」ということです。
「もし、全摘した場合も、(人工なので)汗腺などなくなり、放射線治療を受けた場合と似た状況になるのでしょうか。」
⇒違います。
 皮膚自体への直接の損傷はありません。
「放射線治療に対する恐怖が大きく、避けたい気持ちが生まれました。」
⇒有害事象ばかり強調する放射線科医の話を聞くと、そうなるのでしょうが…
 実際には術後照射は安全に、多数の人が行っている「極めて一般的な治療」であることを忘れない様にしましょう。
「非浸潤は乳菅内にとどまっているのに、温存の場合は放射線照射が必要なのは、そもそも、何故なのでしょうか?」
⇒局所と全身に対して理解が不十分なようです。
 「乳管に留まっている=血管やリンパ管を介して全身へ行かない=全身療法は必要ない」となりますが、「乳腺内の乳管に広範に拡がっている可能性はある=乳腺全体の治療(手術+放射線)は必要」となります。