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貧血

[管理番号:2991]
性別:女性
年齢:48歳
初めまして。
3月下旬、初めての乳がん検診を受け悪性の乳がんと診断されました。
左胸に大小2つのしこりがあります。
組織診を受け現在わかっている事は、
腫瘍の大きさ 約1.6×1.4
浸潤ガン
ホルモン受容体 陽性
ハーセプチンの必要性 あり/なしの中間
顔つき 1
勢い  1
小さい方は約9㍉で大きい方と5㌢程離れてるようです。
九州の○○病院という乳がんでは有名と言われる病院ですが、診察に行く度に先生が違います。
主治医と呼ぶ先生がいないのが少し不安です。
乳がんと告知を受けた先生からは手術してから薬物療法と放射線治療と言われています。
手術は全摘です。
先生への質問ですが、今わかっている診断ではどのような治療をされますか。
抗がん剤は必要ないですか。
血液検査で貧血にひっかかり、造血剤を服用するように言われています。
数値が改善されないと手術が延期になったりしますか。
手術は来月中旬の予定です。
告知からもうすぐ2ヶ月経つのですが、何もしなくて大丈夫でしょうか。
右胸には嚢胞があるらしくガンにならないか不安です。
私は根治はできますか。
どうかお返事頂けますよう、よろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「九州の○○病院という乳がんでは有名と言われる病院ですが、診察に行く度に先生が違います。主治医と呼ぶ先生がいないのが少し不安」
⇒私も不安です。
 本当にこんな診療をしていて「まともな乳腺外科医が育つ」と思っているのでしょうか?
 乳腺外科医として一人前となるために最も大事なことは「初診から、診断(超音波も全て自分自身で行わなくてはなりません)、手術、術後治療」まで全て一人で責任を持って診療することです。
 
 ○患者さんが行くたびに「違う医師が診療」とは、(医師側からみると)「一貫して一人の患者さんを診断~治療まで行っていない」ということです。
 私が今回「今週のコラム 28回目 癌の診療さえできない医師よりは、「まだマシ」かもしれませんが、癌の診療しかできない医師ばかりでは困ったものです」で嘆いた内容です。(愚痴になってすみません)
 
「手術してから薬物療法と放射線治療と言われています。手術は全摘です。」
⇒この内容には問題があります。
 まず基本的に「全摘」であれば「術後放射線照射は原則、不要」となります。
 ○全摘後に放射線照射を行う条件としてはリンパ節転移4個以上(推奨度A)がありますが、このメール内容からは「リンパ節転移が4個以上有りそう」には思えません。
 そうでなければ(全摘後に)「放射線照射は不要」と思います。
 
「先生への質問ですが、今わかっている診断ではどのような治療をされますか。」
⇒ホルモン療法単独(抗癌剤は不要と現時点では考えます)
 
 
「抗がん剤は必要ないですか。」
⇒現時点では「不要」と思います。
 ルミナールタイプで核グレード1(顔つき1+核分裂1のようです)だから「ルミナールA」である公算が高いです。(最終的には手術標本でのKi67の結果を待ちましょう)
 ルミナールAであれば、「リンパ節転移が4個以上」出なければ「抗ガン剤は不要」となります。
 
「血液検査で貧血にひっかかり、造血剤を服用するように言われています。
数値が改善されないと手術が延期になったりしますか。」
⇒大丈夫です。
 乳癌手術は「出血しない」ので、全く問題になりません。
 
「告知からもうすぐ2ヶ月経つのですが、何もしなくて大丈夫でしょうか。」
⇒大人しいタイプなので、全く心配ありません。
 
「右胸には嚢胞があるらしくガンにならないか不安です。」
⇒嚢胞は癌にはなりません。(乳管が詰まって液体が貯まっているだけです)
 
「私は根治はできますか。」
⇒圧倒的に根治する可能性が高いと思います。(数字は術後の病理結果が出るまで正確には解りませんが…)
 
 

 

質問者様から 【質問2】

おはようございます。
先日は回答頂きありがとうございました。
左胸に大小2つの腫瘍あり
ステージ1 約16㍉
リンパ、他臓器への転移なし
(術前検査)
手術の日がまだ決まらず不安な毎日を過ごしています。
告知を受けてから2ヶ月が過ぎました。
最近になって左胸の奥、鎖骨の下、左脇腹の上に痛みがあります。
乳房、乳輪辺りも腫れてるというか張ってる感じがします。
肩甲骨の辺りも痛みがあり不安でたまりません。
検査では転移なしと言われていますが、手術までの間に転移したりしないのでしょうか。
貧血で造血剤を服用していますが、喉や胃が痛くなったりしますか。
よろしくお願いします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
乳癌は、初期治療の段階で「余程の状況でなければ遠隔転移などない」ことを私は経験的に知っています。だから骨シンチとかPETは無駄な検査といっているのです。
心配ありません。
「最近になって左胸の奥、鎖骨の下、左脇腹の上に痛み」
「乳房、乳輪辺りも腫れてるというか張ってる感じ」
「肩甲骨の辺りも痛み」
⇒これらは全て「女性ホルモンによる刺激症状」です。
 全く「転移による症状」ではありません。
 無関係です。
 
「検査では転移なしと言われていますが、手術までの間に転移したりしないのでしょうか。」
⇒絶対にありません。
 乳癌は、そう簡単には転移しないのです。
 
「貧血で造血剤を服用していますが、喉や胃が痛くなったりしますか。」
⇒鉄剤ですよね?
 胃が痛くなります。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

おはようございます。
6/(下旬)に左胸全摘手術をし、昨日病理結果が出ました。
浸潤性乳管癌
広がり55㍉ 浸潤径16㍉
リンパ節転移なし0/3
グレード1
ki67 13%
ホルモン受容体 陽性
HER2受容体 グレーゾーン
HER2が術前、術後共にグレーゾーンでもう一度検査にだしてあるとの事で結果がまたグレーゾーンだった場合はホルモン療法のみ、陽性になった場合はハーセプチンと抗がん剤の治療も加わりますと言われました。
私としては抗がん剤は避けたいのですが…。
ホルモン療法は閉経前なのでタモキシフェンという薬のようです。
以上のような結果を見て、先生はどのような治療を勧められますか。
よろしくお願いします。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
この治療の鍵は「HER2が陽性なのか?」その一点に尽きます。
ただし、「グレード1、Ki67=13% 」からは「結局、陰性となる」可能性が高そうです。
「結果がまたグレーゾーンだった場合はホルモン療法のみ、陽性になった場合はハーセプチンと抗がん剤の治療も加わります」
⇒これは「HER2が2+だった」から「FISH検査を追加している」ということですね?
 FISHの結果でグレーゾーン(equivocal 1.8 ~ 2.2)となった場合には再検査して今度は「2.0でcut off」となるので「最終的にグレーゾーンのまま」ということはありません。
 
「以上のような結果を見て、先生はどのような治療を勧められますか。」
⇒担当医のいうように…
 FISH陰性ならば…
  タモキシフェンのみ
 FISH陽性ならば…
  抗HER2療法(ハーセプチン+抗ガン剤)+タモキシフェン