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ひだり乳癌 ステージ1と診断されました。

[管理番号:5865]
性別:女性
年齢:56歳
お世話になります。
田澤先生の前任地が私の地元だったと知り、今もいらっしゃるなら駆けつけたい思いで質問させて頂きます。
2016/10
検診では、石灰化に変わりなしで異常無し。
2017/10
石灰化が増えている、カテゴリー3でステレオガイド下マンモトームを行いました。
2017/11/(下旬)
結果、左浸潤性乳管ガン ステージ1 との診断でした。
石灰化で見つかるガンは、ほんとんどが非浸潤性(0期)の方が多いようで、毎年かかさず検診をしていたのにとてもショックでした。
ガンのタイプがHER2(+)のscore3+ということで、進行が早くて1年の内に浸潤してしまったのでしょうか?
1月下旬か、二月上旬の手術まで2ヶ月半位は待たなければならず、この間に進行しリンパ節転移など起こさないでしょうか?
(病院側はみなさん、これ位待っていますとの事)
担当の先生は浸潤が5mm以下だと、抗がん剤は使わないと言っておられました。
ガンのタイプを考えても乳房を残すのが不安で、全摘しようかと考えています。
(担当の先生は全摘までしなくてもいいのでは、と言っておられます)
全摘するという事は、放射線照射と同じ様な効果があるのでしょうか?
また、この先に右乳房にガンが出来たとしたら、サブタイプは同じものなのでしょうか?
最後に転移に関してですが、私のようなステージ1の病状でも血行性転移はあり得るのでしょうか?
以前、先生のコラムで「触知しない乳がんが全身に転移する事はありえません」と拝見しましたが、改めてお聞きしたく思います。
病理結果
2017/11/(下旬) 第1報
病理診断:invasive ductal carcinoma of the left breast,mammotome biopsy
所見:左マンモトーム生検
(1)2時 著明に腫大した核を有する異形細胞が乳管内で充実性に増生しており、noninvasive ductal carcinomaの所見です。
malignant.
(2)4時 (1)同様のnoninvasive ductal carcinomaの所見が主体ですが、
microinvasionを考えさせられる部分も見られます。
malignant.
(3)6時(4)8時異形細胞が小型胞巣状に増生しており、invasive ductal
carcinomaと考えられます。
(5)10時 1個の乳管内に異形細胞が見られ、carcinomaのintraductal
spreadの可能性が否定出来ません。
suspicious for malignancy.
(6)12時 著明に腫大した核を有する異形細胞が乳管で充実性に増生しており、noninvasive ductal carcinomaの所見です。
malignant.
2017/12/07 第2報
病理診断:ER-,PgR-,HER2+,Ki-67 Li ca.20%
所見:4で免疫染色を行いました
HER2(+):score3+
Allred score ER:(-):TS 2=1(PS)+1(IS)
PgR(-):TS 0=(PS)+(IS) J-score ER 1, PgR 0
Ki-67 ca.20%
以上になります。
よろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「ガンのタイプがHER2(+)のscore3+ということで、進行が早くて1年の内に浸潤してしまったのでしょうか?」
⇒非浸潤癌のグレードは「浸潤しやすさ(浸潤するまでの期間が早い)」と同義と考えて結構です。
 ただ、一つ指摘しなくてはいけないのは「昨年までは変化なし」⇒「今年増加」だから、この1年で「非浸潤癌から浸潤癌」というわけではないということです。
 (画像を見てはいませんが)「石灰化が増加」というのは「乳管内を拡がっていく過程」をみているわけであり、「浸潤の時期」をみているわけではありません。
 実際には「癌による石灰化」だったわけですから、(昨年まで)「変化なし」と言われていたその前から(少なくとも石灰化を指摘される前から)癌が存在していたわけです。(いつから浸潤し始めたのかは誰にも解らないのです)
「1月下旬か、二月上旬の手術まで2ヶ月半位は待たなければならず、この間に進行しリンパ節転移など起こさないでしょうか?」
⇒大体今の時期だと、そのくらいの時期にはなると思います。
 状況的には心配ありません。
「担当の先生は浸潤が5mm以下だと、抗がん剤は使わないと言っておられました。」
⇒それは正しい認識です。
「全摘するという事は、放射線照射と同じ様な効果があるのでしょうか?」
⇒逆です。
 正しく質問するとしたら、「放射線照射をすれば、全摘と同じ様な効果があるのでしょうか?」となります。
 ⇒同等とまではいきません。
  全摘すれば(乳腺がないのだから)乳房内再発のリスクはゼロとなりますが、温存では(いくら放射線をかけても)乳房内再発のリスクはゼロとはなりません。(10年で5%程度と認識してください)
「また、この先に右乳房にガンが出来たとしたら、サブタイプは同じものなのでしょうか?」
⇒1000%無関係です。
 左右の乳腺は「天と地」ほどに離れているのです。(絶対に左乳癌が右乳腺に転移することはありえないのです、もしも将来的に右乳癌ができるとしたら間違いなく「新規」となります)
「最後に転移に関してですが、私のようなステージ1の病状でも血行性転移はあり得るのでしょうか?」
⇒1期の乳癌で言えば…
 10年生存率が95%だとして「5%」遠隔転移があることは事実です。そうですよね?
 ただ、質問者は1期とは言っても「限り無く0期に近い」状況だと推測します。
 その意味で回答は「あり得る」が「非常に低頻度」となります。
「以前、先生のコラムで「触知しない乳がんが全身に転移する事はありえません」と拝見しましたが、改めてお聞きしたく思います。」
⇒どうも、質問者は勘違いされています。
 私が言っているのは「その時点」つまり、乳癌は初診の時点で遠隔転移が存在していることは極めて少なく、ましてや「触知しない様な乳癌が(初診の時点で)遠隔転移を伴う事はありえない」ということです。
☆(初診時に遠隔転移を伴っている)「転移性乳癌」と、(初診時、手術の時点では遠隔転移がなかったが)術後数年たって再発した「再発乳癌」を分けて考えて欲しいのです。
 1期の乳癌でも10年生存率が95%なので、「術後数年たって再発という形で遠隔転移する」ケースは1期でもあります。それと(私がしばしばコメントしている)
「初診時に遠隔転移を伴う事は殆どない」ということは全く別であることを(是非)御理解ください。
 
 

 

質問者様から 【質問2 手術を終えて】

性別:女性
年齢:56歳
管理番号:5865
こんにちは
田澤先生のお言葉で手術までの時間を穏やかに過ごすこととができ、1月下旬に無事全摘手術を終えました。
ありがとうございました。
手術を終えて幾つかお聞きしたいことがありまして、質問させて頂きたく思います。
1:手術の時間は1時間予定のところ、時間は55分、出血は35gでした。
出血量が100gを超えると多いといわれましたが、全摘手術ではこのようなものなのでしょうか。
2:担当の先生は「おとなしいガン」と仰っていましたが、マンモトーム生検では、HER2(+)3+ Ki-67 ca20%でしたが、
術後は、Ki-67 high(ca40%)と、ガンの増殖能力が高くなっているのではないでしょうか。
核のgrade1ということで「おとなしいガン」なのでしょうか。
3:結果、0.4㎜の微小浸潤。
無治療となりましたが、今後の再発・遠隔転移についてお聞きします。
担当の先生が仰った訳ではないのですが、ガンの位置が少し深く、胸壁に近かったようです。
脂肪層もあるし、切除部分も大丈夫ということでした。
再発しやすいガンなので、遠隔転移しやすいのでしょうか。
マンモトーム生検の際に(内出血が結構あったようで一か月以上も跡が残った)ガン細胞全身に広がってしまうことはありますか?
田澤先生の仰る、経験上、微小浸潤での全摘は「ほぼ根治」と考えてよろしいでしょうか。
4:最後に、ガンとは別に、病理報告書に担鉄細胞が3㎜程度、集簇性に認められる部分とはどういう事でしょうか。
担当の先生にお聞きすれば宜しいでしょうか。
その場で病理報告書に目を通す時間もなく、帰宅後疑問に思った次第です。
最期に、病理報告書を記載させていただきます。
1/(下旬)
病理診断:FSS sentinel LN negative
所見:FSS
sentinel LN:0/1
 
2/(中旬)
病理診断:FSS sentinel LN negative
所見:迅速診断標本を永久標本(LNはAE1/3染色併用で)再評価しました。
診断に変更はありません。
FSS
sentinel LN:0/1
 
2/(中旬)
病理診断:Left breast cancer;ductal carcinoma, see d description
所見:1-24:追加切り出しも実施しています。
病変部は切片e,fです。
3・20・22でDCISや乳管内進展と考えられる乳管がみられます。
特に22ではこれらの乳管内成分が7㎜程度にわたりみられます。
この近くにみらえるDCIS周囲では微小な浸潤を疑う部分がみられます。
ductal carcinomaです。
筋上皮構造の確認等も実施し、追ってご報告いたします。
周囲ではADH、FEA相当の部分も見られます。
背景腺管ではadenosisの過形成、fibrocystic changeなどが見られます。
脈管浸潤は見られません(D2-40 EVG)。
断端は陰性です。
2/(中旬)
病理診断:Left breast cancer;microinvasive ductal c carcinoma, see description
所見;microinvasive ductal carcinoma,
pT1mi,g,DCIS+,Iy-,v-,nuclear grade 1,margin(-),pNO
22で施行したp63染色とHE所見を合わせると、2ケ所で微小浸潤が認められます。
最大径は約400μm程度です。
核異形は2点、mitosis
は認めず1以下/10 HPFで1点、核grade1です。
なお、治療歴はないようですが、上記腫瘍近くに担鉄細胞が3㎜程度集簇性に認められる部分が見られます。
2/(中旬)
病理診断:ER-,PgR-,HER2+,MIB-1,LI High
所見:Allred score:ER(-)(TS=0(PS)+0(IS)=0),PgR(-)(TS=0(PS
(PS)+0(IS)=0)
ER:J score0,PgR:J score0
HER2(+):score3+
Ki-67:high(ca.40%)
以上になります。
宜しくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「1:手術の時間は1時間予定のところ、時間は55分、出血は35gでした。 出血量が100gを超えると多いといわれましたが、全摘手術ではこのようなものなのでしょうか。」
⇒私と比較しても仕方がありませんが…
  35gは十分多すぎです。(100gなど、とんでもないことです)
  出血無(多くても5cc)とすべきです。
「ガンの増殖能力が高くなっているのではないでしょうか。」
⇒針生検(一部での評価)と手術標本(病変全体での評価)の違いだけです。
「再発しやすいガンなので、遠隔転移しやすいのでしょうか。」
⇒言っている意味が不明です。
 0.4mmの微小浸潤で「遠隔転移」を心配する必要はありません。(だから「無治療」なのです)
「ガン細胞全身に広がってしまうことはありますか?」
⇒ありません。
「田澤先生の仰る、経験上、微小浸潤での全摘は「ほぼ根治」と考えてよろしいでしょうか。」
⇒その通りです。
「4:最後に、ガンとは別に、病理報告書に担鉄細胞が3㎜程度、集簇性に認められる部分とはどういう事でしょうか。」
⇒不明です。
 「担鉄細胞?」始めて聞きました。