Site Overlay

乳癌の遺伝性

[管理番号:1]
性別:女性
年齢:34歳
質問:私と同じ歳の友人が、20代後半で妊娠し、その時に乳癌がわかり、出産時に摘出したそうです。友人のお母さんも乳癌だったため、遺伝性のものなのではないかと心配しています。友人のこどもは女の子なので、子どもも乳癌になるのでしょうか。また、子どもへの検査をいつ頃からしたほうがいいんでしょうか。

A.回答

お答えします。
乳癌の原因の5-10%が遺伝性であると解っており、これらを「遺伝性乳癌」といいます。(その内の80%以上がBRCA1, BRCA2変異であることが解っており、HBOCといいます)
家族歴により検査対象となる人の選択(一次拾いあげ)を行い、該当者には専門家による遺伝カウンセリング(二次詳細評価)を行ったうえで「遺伝子検査」を行います。
●御友人の場合は、若年発症(20代)という時点でに二次詳細評価の対象となりますので(お母さんも乳癌であるので、なおのこと)お近くの実施医療機関を受診されることをお勧めします。「全国の遺伝カウンセリング 検査実施医療機関」で検索すると検索できます。
●遺伝カウンセリングの結果、遺伝子検査を行い遺伝子変異(BRCA1, BRCA2)が見つかった場合は、お子さんたちの乳癌リスクは高くなります。
この場合は通常よりも濃厚な癌検診サーベイランスが必要となります。日本のガイドラインはありませんが、NCCN(全米総合がん情報ネットワーク)での基準を一部紹介します。
・18歳から月に一度の定期的自己検診
・25歳から半年ごとの医師による視触診
・25歳(もしくは、家族内で最も早く発症した年齢から設定した年齢)から毎年のマンモグラフィー及び乳房MRIスクリーニングの開始
但し、これら全ての検査は保険適応でないため、高額であること。またBRCA1/2変異陽性者の若年での診断用放射線被爆による乳癌リスクの増加の報告もあり、主治医との相談が必要です。
お子さん方だけでなく御本人の対側乳癌や卵巣癌リスクの問題もあるため、重ねて実施医療機関受診をお勧めします。