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手術後の病理検査結果について

[管理番号:2338]
性別:女性
年齢:61歳
はじめまして。
母の乳がんで心配しておりまして、先生に質問させて頂きます。
主治医の先生から、ここまでお話がありました。
61歳
腫瘍径2.5cm
(浸潤径0.8cm)
細胞グレード(顔つき)2
核異型グレード2
ER 陰性
PgR 陰性
HER2 2+ FISH検査待ち
腫瘍のMIB1-LI 20-30%
リンパ節転移なし
脈管侵襲 陰性
切除断端 陰性
ステージ1A
FISH+であれば、HER2
EC4クール

ハーセプチン4+ドセタキセル4

放射線

残りハーセプチン14
FISH-であれば、トリプルネガティブ
EC4クール

ドセタキセル4クール

放射線
手術前は、ハーセプチンがよく効くから、今はとても治療効果が高く、再発率も抑えられている。
と説明を受けていた。
ここで、トリプルネガティブがでてきたので、びっくりしているところです。
トリプルネガティブだと、ハーセプチンがいらないと聞きました。
ハーセプチンが効いて、再発率も抑えられると少し安心していたのですが、
トリプルネガティブだと、ハーセプチンはいらなくなるので、再発率などどうなるのですか?
顔つきも悪いのですか?
Her2で、ハーセプチン効果が高いと聞いていたところに、初めて手術後にトリプルネガティブがでてきて、不安になっているところです。
どちらにしても、ホルモン療法は効果はないタイプなんですか??
あと、腫瘍径2.5センチとは、癌腫湯が2.5センチ?
浸潤径0.8センチだから、そこが0.8なので、ステージ1の2センチ以下に当てはまるのですか??
質問ばかりで、すみません。。
不安まま治療を進めたくなくて、疑問なことを質問させて頂いております。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
pT1b(8mm), pN0, pStage1, NG2
「ER 陰性 PgR 陰性 HER2 2+ FISH検査待ち」「手術前は、ハーセプチンがよく効くから、今はとても治療効果が高く、再発率も抑えられている。と説明を受けていた。」
⇒この内容から推理するに…
 手術前に行った「針生検ではHER2 3+」だったが、手術標本では「HER2 2+」だった(HER2 2+の場合は必ずFISHで確認します)ということですか?
 ○もし、そうだとすれば「術前針生検」と「手術標本」どちらの検査を信頼すべきか?となります。
  「術前針生検」の方が正しいと思います。
 
「トリプルネガティブだと、ハーセプチンがいらないと聞きました。」
⇒ハーセプチンは「HER2陽性でしか」使えません(無意味です)
 
「ハーセプチンはいらなくなるので、再発率などどうなるのですか?」
⇒質問者のケースにあてはめると

トリプルネガティブだった場合の再発率 HER2陽性であった場合の再発率
無治療 17% 24%
抗がん剤をした場合 11%
抗HER2療法をした場合 12%

 ○この数字を見てお解りのように…
 もともと「トリプルネガティブよりもHER2陽性の方が再発率は高い」わけです。
 ただ「抗HER2療法が大変有効(再発率を半減させます)」なために、「治療後はその差が縮まる」わけです。
 ♯(もともとの)再発率が高ければ、「治療後の再発率は逆転します」が、質問者のように「早期乳癌で(もともとの)再発率が低い」場合には「トリプルネガティブ」の方が再発率は低くなるのです。  
 
「顔つきも悪いのですか?」
⇒トリプルネガティブを「悪者」にする必要はありません。(ネットの見過ぎです)
 
「どちらにしても、ホルモン療法は効果はないタイプなんですか??」
⇒「ER陰性、PgR陰性」なのだから「全くの適応外」です。(効きません)
 
「あと、腫瘍径2.5センチとは、癌腫湯が2.5センチ?」
⇒浸潤部分が8mmで(非浸潤癌を含めた)拡がりが25mmなのです。
 
「浸潤径0.8センチだから、そこが0.8なので、ステージ1の2センチ以下に当てはまるのですか??」
⇒その通りです。
 ステージに必要な大きさは「浸潤部分=8mm」なのです。